第三話 時計の曲が流れる時 6
陽は応接室の戸を開けて、事務所内の壁に貼られていたカレンダーを指差すと
「あの、10月18日に勉強会って書いているんですけど誰が何を勉強するんですか?」
と告げた。
それに萬田と勇介はハッとするとチラリと陽を見た。
木村は「ああ」と言うと笑って
「あれは我々ではなく松城代議士の有志議員の勉強会です。一応行動を把握するのに田胡さんが送ってくれたスケジュールに載っているのを丸写ししたんですよ」
と答えた。
陽は驚いて
「そうなんですか」
と言い
「代議士の人も勉強するんだ」
と呟き
「有志ってことは何人かでするんですよね? リストとかは」
と聞いた。
木村はキョロキョロして
「んー、確か何か入っていた気がするなぁ。何時もは送られて来ないんだが……田胡さんが間違えたのかもしれないけど」
と言うと事務所の机から紙を出すとコピーをして渡した。
萬田がそれを受け取り
「ありがとうございます」
と答えると三人は立ち去った。
勇介は車に戻ると
「よく見ていたな」
と告げた。
陽は「あー」と言い
「なんかキョロキョロしてたら目についた」
とさっぱり答えた。
萬田はリストを勇介に渡して
「どう思う?」
と告げた。
勇介はその一覧を見ると目を細めて
「これは……」
と呟いた。
陽は横から覗き
「何? なに? 自明党の議員と企業の自由参加の勉強会?」
と聞いた。
議員と企業の人間と懇談的に勉強するというだろう。
陽には勇介が驚いている理由が分からなかった。
勇介は不敵な笑みを浮かべると
「議員は年齢や任期がバラバラ。しかも企業側は全て大手ゼネコンの常務」
と呟いた。
萬田は笑みを浮かべて
「流石だな」
と言い
「議員の方は土建関係に強い奴らだ。強ち田胡は間違えて送ったわけではないのかもしれんな」
と告げた。
勇介はハッとすると
「ま、さか……それで襲われたとか」
と呟いた。
萬田は頷いて
「もしその勉強会が勉強会と言う名の談合会で田胡が松城代議士の手を離したのだとしたら可能性はある」
と告げた。
陽は驚きながら
「ってことは、松城代議士が田胡って人を?」
と告げた。
萬田は車を走らせながら
「いやー、それはないかもしれないが」
と告げた。
「今から松城代議士の自宅へ向かう。田胡健一が発見された宝来公園の側だ」
勇介は腕を組むと
「確かに自宅の直ぐ側だと疑われやすい。そんなところで発見されるような真似はしないだろう」
と告げた。
陽は頷きながら
「なるほど」
と答えた。
三人は成城にある松城代議士の自宅へ着くと近くに車を止めて家の前へ行くと丁度出てきた人物に目を見開いた。
「「「あ」」」
持明院月が出てきたのである。




