第二話 別れの曲が流れる時 6
陽は腕を組んで
「だとすればあの水崎って人がそれを受け取っても佐藤って人にはどうやって渡すんだろ」
と呟いた。
萬田がそれに
「一応、同じような手口で薬物を入手した奴らを事情聴取したら薬物は本人たちが捌いているという事だ」
と告げた。
陽は驚いて
「けどそうしたら、佐藤には何も手に入らないじゃ?? やる意味がない気がするけど」
と告げた。
それに勇介が少し考えて唇を開くと
「と言うよりその薬物の金を前倒しで徴収しているのでは? だとしたら金とモノの流れが分かります」
と告げた。
田口と萬田が顔を向けた。
勇介は冷静に
「これはあくまで俺の想像ですが。例えば向こうに金を払うのは佐藤で受け渡しの手配もする。受け取りは運び屋にされたあの女性と売人の男。男は先に決めた薬物の元金を払っていて売値は自分が決める。つまり、前金で払った薬物の金よりも高く売れば男は儲かる。もちろん佐藤は上前を入れた金を要求しているしアメリカの売人の売値も同じだとすれば」
と告げた。
陽はハッとして
「皆儲かる!」
と告げた。
勇介は頷き
「男が金を払わない限り佐藤は手配をしないし……途中で抜けようとすれば勿論処罰するから逆らえない。男は海外の伝手がないからどのみち逆らいようがない。佐藤自身は自分が国内で遣り取りしないから危険も少ないのでメリットも大きい」
と説明した。
田口は唸りながら感心した。
萬田は勇介を見て
「なるほど、こいつは切れる男だな」
と心で呟き陽を一瞥した。
陽については未知数なのだ。
「持明院月との関係もあるし……先の勘の良さや事件に当たる運っていうのは見逃せないが」
という事である。
萬田は田口に
「我々はその線から佐藤の金の流れを調べてみます」
と告げた。
「恐らく佐藤はあの水崎や他の売人との間に誓約書か何かをやり取りしているとは思っているが……それが手に入らない限り踏み込めないのがな。奴も海千山千だからな」
そう言う事であった。
陽は勇介と萬田と共に警視庁へと戻り今日の出来事を報告した。




