第二話 別れの曲が流れる時 5
田口は女性と男を見て
「署まで来て話を聞かせてもらいます」
と告げた。
成分を調べれば違法薬物であることが証明されるだろうことは火を見るよりも明らかであった。
女性は呆然としたまま、男は舌打ちをして警察官に連行されて立ち去った。
田口は萬田を見ると
「中々、見込みのある新人が入ったな」
と告げた。
陽と勇介は顔を見合わせて互いに手の甲を軽く合わせた。
萬田は笑むと
「まあ、まだまだだが期待の新人だ」
と言い
「だが、この手口はアレのような気がするが見逃さずに済んで良かったと思っている」
と告げた。
陽はそれに
「あれというのは?」
と聞いた。
田口は三人に
「署の方で話をするか」
と歩き出した。
取り調べを受けた女性の方は会社の同僚の女性にアメリカの往復の運賃とホテルの宿泊代とお小遣いを渡すので端切れを入れた荷物を運んで空港で水崎と言う男性に渡してほしいと言われて荷物の運び屋になったのである。
同僚の女性は自分が行きたかったが行けなくて……と言っていたと言う事であった。
もちろん、端切れ以外のモノが入っている事は知らなかったのである。
男性は空港での言動などから詰め寄られて全てを自白した。
女性の同僚の女性は直ぐに警察が確保して捕まったが、彼女はネットの闇バイトに応募してそう言う運び屋を3人用意するように指示されたという事であった。
彼女の方は確信犯である。
陽と勇介は空港警察署の応接室で萬田と共に田口からその話を聞き驚いた。
萬田は腕を組み
「アメリカと日本にある組織が結託して一般の人間を巻き込んで薬物売買をしているんだが日本での組織の主犯と見られているのが東京の世田谷に住んでいる佐藤周という男なんだが」
と告げた。
「ITベンチャー企業の社長と言う触書だがな」
陽はそれに
「踏み込めないんですか? 逮捕状とかとって」
と告げた。
田口は肩を竦めて
「証拠がないということだ。遣り取りはプライベートチャットで時間を設定して数時間で消えるようになっていて足が掴めない」
と告げた。




