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陽と月  作者: 如月いさみ
全国巡回駐在員

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決心 3

 だが。

 陽は駐在所の中に入り上着を脱ぐと

「今日は全国巡回駐在員としての仕事じゃないが、大きな問題に発展していないか心配で寄った」

 と告げた。

「だが、上手く捌いているみたいだな」


 小宮郁夫は首を振ると

「そんなことありません。鷹司さんが帰られて暫くは彼らも大人しいんですけど流石に恫喝が聞いたみたいですから」

 と笑った。

「俺じゃ反対に『若輩もんが―――!』って怒鳴られてしまいますからね。なので、のらりくらりです。それでもダメな時は全国巡回駐在員の鷹司さんが来られる頃だって言ってます」


 陽は苦笑しつつ

「やり方は人それぞれだ。だが、俺の名前が利くのか?」

 と告げた。


 小宮郁夫は笑いながら

「利きますよ、『そうか、まあ、お前も怒られたら可哀想だからな』って立ち去ってくれます」

 と告げた。

「ただ一番大変なのは地区祭りの時ですね。今日はタイミングが悪くて同じ時に来たので言い合いになってましたけど別々の時は何とかなってます」


 陽は頷いて

「それを聞いて安心した」

 と告げた。


 小宮郁夫は首を振ると

「いえ、俺が配属されて直ぐ祭りだったんで……あの時にこう言っては何ですけど鷹司さんが来て喝を入れてくれなかったらどうなっていたか。俺はきっと今のように中立は保てていなかったです」

 と告げた。


 地区で言えば駐在所は東地区であった。しかも、最初に挨拶に来たのも東地区の人間でその区域のことを全く知らない駐在員に西地区の人間のあることないことを親切そうに話して気安い人間を装って近づいてくるのである。


 しかも、それを撥ね退けると村八分になるのである。こういう閉鎖されたところの村八分はかなりキツイ。

 挨拶どころか毎日業とらしくヒソヒソ話をした挙句にあることないことを噂として広め、最後は所轄へ電話を入れるのだ。


 それで小宮郁夫も3か月ほどでギブアップしかけたところに所轄からの要請で陽が全国巡回の一環として一週間ほど滞在したのである。


 その時に西地区と東地区の会長と副会長がそれぞれの地区の人間が犯罪をしたと言いに来たのである。


 その連続で気力を失って小宮郁夫が

「はい、わかりました」

 と言った瞬間に怒鳴られたのである。


『現場にも行かず、確かめもせずに犯罪者を作るなら今すぐ警察官を辞めろ!!』


 その音量に全員が凍り付いたのである。


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