第二話 別れの曲が流れる時 1
等々力旬警視正は鷹司陽と赤木勇介が警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課のフロアに姿を見せると笑顔で出迎えた。
「君たちを組織犯罪対策部へ押したのは成澤でな。ぜひ力を借りたい」
陽も勇介も同時に
「「力を借りたいと言われても」」
と心で突っ込んだ。
今まで交番勤務。
少しだけ機動隊。
これから組織犯罪対策部の仕事を学んでいくのだ。
陽も勇介も敬礼すると
「「力の限り頑張る所存です」」
と答えた。
2人の処遇についてはかなり揉めた経緯がある。
組織犯罪対策部か。
刑事部捜査二課か。
公安部公安第一課か。
理由は『持明院月』との関係であった。
警備部警護課の成澤も2人の力が借りたくないわけではなかった。
これまで警察内部で全くと言っていいほど持明院月とのパイプがなく……先日のように海外の要人が忍びで来た時に彼の家に引き篭もり保護しようにも保護できない案件が少なからずあった。
要人に万が一のことがあった場合は否応なく国際問題に発展するのだ。
持明院月は不思議なほど国内外の要人VIPにパイプを持っているが
『ただの調律師』
という立場を崩すことがなかった。
彼の関係者の中には巨大な国内外を通じた犯罪がらみの人物がいるがそう言う人間ほど用心深くガサ入れすることすら難しい。
と言って、そこへ出入りしている彼に協力を要請しても『俺は調律師なので』と袖に振られてグギギと奥歯で歯噛みした人間は何人もいた。
だから、先日のエルバドロス王国のシェール王子の件は上層部に衝撃を与えたのである。
成澤は他の課の面々に
「我々は必要な時に彼らを借り出せれば問題ない」
と暗に必要な時はレンタルすると言い、その所有を退いたのである。
そして、最終的に国内外の組織的な動向を取り締まる組織犯罪対策部が二人を奪い取ったのである。
つまり陽と勇介の配属には様々な思惑が絡み合い交差していると言う訳である。
二人が配属された組織犯罪対策部は国内外の組織的な犯罪に対応する部署で組織犯罪対策五課は特には銃器や薬物などを担当している。
もちろん、それだけとは部長の等々力は考えていない。
主には国内外のVIPにパイプを持つ持明院月の繋がりからの組織犯罪組織の突き崩しを考えているのである程度幅を考えての配属であった。




