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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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11/114

第一話 英雄の曲が流れる時 11

 陽は月に目を向けると

「月がこういう仕事をしていたなんて全く知らなかった」

 と心の中で呟いた。

 

 考えれば13年間まったく連絡を取っていなかったのだ。

 都合よく覚えておいてもらってるなんて思う方が甘かったのだ。

 

 月は陽を一瞥し戸を閉めると

「……陽は……何も変わってないな。俺だけが変わってしまった。本当は俺にこそ……革命のエチュードの思いが必要なんだろうけど……」

 だけど、と呟き、視線を伏せて

「でも……陽が警察官になっていたなんて……よりにもよって警察官なんかに……」

 と心で呟いて家の中へ入ると小さな棚から袋に入ったハンカチを取り出した。

 

 あちらこちらに血痕がついたハンカチ。

 両親が死に際に月に渡したモノだ。


 何も考えずに幸せに暮らしていた日々の最期の思い出に陽の姿がある。

 燃えてしまった手紙の最後の言葉が胸の奥底に眠っている。


『10年後! 約束守るからな!』

 たどたどしい文字で書かれていた。


……俺は守れなかった。待てなかった……

 

 月は目を細めると

「本当は……全てを明らかにして真実を知りたい。でも、俺にはお義父さんの名を貶めることは出来ない」

犯人を求め始めたら客先を探ってしまうことになるだろう、それはこれまでのスタンスを壊してしまうことになる。と唇を噛み締めた。

「……俺は……お義父さんが授けてくれたこの仕事を……守ることを優先する」

 そう小さく呟いた。

 

 陽は閉められた戸を見て小さく息を吐き出すと

「今は、仕事に専念だ。また落ち着いたら……ちゃんと月と向き合おう。約束守ってなくてごめんって謝らないとな」

 と呟いて気持ちを切り替えると、残っていた機動隊の第3小隊の面々と神津警部の前へ進んだ。

 

 勇介も陽が気持ちを切り替えたのを理解すると同じように前に進み敬礼し

「この度は単独行動をすみません」

 と告げた。

 

 陽もそれに慌てて

「同じくこの度は単独行動をすみません。赤木警部補に関しては俺が巻き込みました」

 と告げた。

 

 勇介はそれを横目に小さく笑みを浮かべた。

 

 神津警部は敬礼をして

「報告は警視庁警備部警護課の成澤警視正から受けている。それと我々の目的はシェール王子の保護。その任を果たしてくれた。問題ない」

 と告げた。

 

 その後、二人は小隊の面々と共に警視庁第一機動隊の本部へ戻った。

 シェール王子が問題なく帰国の途についたと報告を受けたのである。

 

 しかし。

 翌日、陽と勇介に突然辞令が下りたのである。

 

 機動隊ではなく警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課……つまりソタイだ。

 ただこの辞令の裏では警視庁警備部警護課の成澤警視正の助言があった。

 

 陽は姉の日和に連絡を入れると

「ごめん、日和姉……あのさ……寮出ることになった」

 と告げた。

 

 日和は驚いて

「まさか、追い出されたの!? 何やったの!?」

 と思わず叫んだ。

 

 陽は慌てて

「ちがっ」

 と言うと

「配属が決まって……寮に住む必要がなくなったから」

 と告げた。

 

 日和は苦笑しながら

「わかったわ」

 と言い

「荷物置いたままだし、この部屋を使いなさい」

 と答えた。

 

 陽は安堵の息を吐き出し

「それから、月と会ったんだ」

 と告げた。

 日和は驚き

「ええ!? 月くん?? そうなの? 懐かしいわね元気だった? 私も会いたいわ」

 と微笑んだ。

 

 陽は中野にある日和のマンションへ行くことが決まり、勇介は実家が東京なので実家へ戻ることになった。

 

 勇介は陽に

「同じ部署に配属になったからこれからも宜しく」

 と笑みを見せた。

 

 陽も頷くと

「ああ、宜しく」

 と答えた。

 

 2人は辞令を受け取り寮監に挨拶をして、その足で寮を出た。

 

 そして、二日後。

 2人は警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課へと出向いた。

 

 そこに成澤警視正と同期の組織犯罪対策部長の等々力警視正と彼の配下の精鋭刑事達が待っていた。

 季節は桜が盛んに咲き誇る4月から新緑の5月へと移り変わろうとしていた。


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