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陽と月  作者: 如月いさみ
全国巡回駐在員

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因習の園 11

 その時、香田家の当主である香田和夫が姿を見せて

「仕方ありませんね。駐在員の二人は病死と事故死になってもらいましょうか」

 と医療バックを手に告げた。


 千成久二は慌てて

「ばっ!」

 と声を零した。


 同じ頃、三田村優香は震えながら

「私、こんなことになるなんて思わなかったから……でも、でも、叔母さんがあんな風に亡くなったのに黙ってるって出来なかった。お父さんもお母さんも村の為に黙ってなさいって言ってたけど」

 と言い

「だけど、多津川さんまでこんなことになって……ごめんなさい! やっぱり千成家に逆らっちゃだめなんだよ!」

 と叫んだ。

「逆らわなかったら平和に暮らせるわ。これ以上誰も傷つかなくて済むじゃない」


 湯ノ沢学は泣きながら笑みを浮かべると

「もう、十分傷ついているだろ? いや、この先、ずっとずっとこの村から医者になりたい、こんなことをしたいって子供が誕生したらその度にこんなことが繰り返されるんだ」

 と言い

「優香は家に帰って良い。知らない振りをしてくれ。ただ、その携帯だけは俺にくれ。俺はそれを持って行かなければならない。鷹司さんと多津川さんを助けないと」

 と告げた。

「鷹司さんが言ってた」


 ……この村が変わらないのは村の人が変わろうと、こんな不幸が連鎖しても千成家を恐れて変わろうとしないからだって……

「でも母さんは俺の為に変わろうとしてくれた。だから、俺も変えようと思う」


 ……優香は本当は千成家の親戚なのに変えようと思ってくれたんだろ? 多津川さんに見せてくれたんだから……

「ありがとう」


 三田村優香は唇を噛み締めると

「私もいく! 私も……看護婦になりたい……学くんと一緒に誰かの命を助ける仕事をしたい!」

 と言い手を掴んだ。


 二人は駆け出しかけて前に立った三田村英雄と優子を見た。


 三田村英雄は二人を見ると息を吐き出すと

「行きなさい。多津川さんは俺たちが連れていく」

 と告げた。

「大人の俺たちが変われなくてすまなかった」


 湯ノ沢学は首を振り

「叔父さん、おばさん、ありがとうございます!!」

 と駆けだした。


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