第二話
祁答院楓は無職ではなくなっていた。
新たな肩書は、「民間防衛アドバイザー」
(※肩書のみ。職務内容:なし)
世間の熱は冷め、かつてのファンも今や別の炎上系チャンネルに夢中だった。
祁答院楓は悶々としていた。
「……私の正義は、賞味期限が切れたのか」
そのとき、一本のDMが届く。
『あなたの正義、もう一度使いませんか?
報酬:再生数×10円。内容:違法闇バイト現場の摘発。詳細は現地で』
文面からして胡散臭い。しかし、燃えた。
「カメラがまた血が欲しがってる」
指定された廃工場では、マスク姿の男たちが仕事をしていた。
いわゆる「地下闘技バイト」逃げられない、辞められない。
祁答院楓は、ボディカメラとマイク、ドローンを装備して突入。
「お前ら、今すぐやめろ。これは正義の市民による民間摘発だッ!」
棒を振り回す。叫ぶ。
そして飛ぶ。ドローンが。
「撮れてるか? 画角に入ってるか?」
だが、場内にいたのはただの素人だけではなかった。
闇バイトの用心棒として雇われた本物の元格闘家が、仁王立ちで言った。
「動画配信者だろ? だったら俺に勝ったら撮影OKってルール、守れよな」
元格闘家にヘッドロックをかけられるが‥。
「この程度かッ!見くびられては困るッ!」
ポケットからやたら火力が強いライターで元格闘家の腕を炙る!
「あっつ!」
ヘッドロックからあっさり抜け出す祁答院楓。
「お股がゆるゆるだぞっ!」
再起不能レベルの金的が炸裂。元格闘家ダウン。
ドローンが、血煙と共に勝利を撮影した。
動画は48時間で800万再生。
真の正義が帰ってきたと祭り上げられ、祁答院楓ついに復活した。
「これはもうテロだろ」 「好き。結婚してほしい(24歳 無職)」




