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第31話:星影の誓い、新たなる旅立ち。私たちの物語は、まだ終わらないわよ!

学園の上空に亀裂のように走った巨大な闇。そこから響き渡る、底知れぬ邪気を放つ黒幕の宣戦布告は、私たちの心に新たな恐怖と、そしてそれ以上の闘志を刻み込んだ。それは、もはや学園だけの問題ではない、世界の運命を左右するような、壮大な戦いの始まりを告げていた。その声は、男とも女ともつかない、不気味で歪んだ響きを持ち、聞いているだけで魂が凍てつくような感覚を覚える。


「…夏海さん、大丈夫かい?顔色が…真っ青だぞ」

激しい戦いの後、私は秋月先輩の腕に支えられながら、ようやく立ち上がった。全身が鉛のように重く、呼吸もまだ荒い。でも、先輩の温かい手が、私の背中を優しく支えてくれている。その温もりが、私の心に力を与えてくれる。彼の甚平は所々破れ、その白い肌には痛々しい擦り傷が見える。それでも、彼は私を心配そうに見つめていた。

「…はい、先輩。私、大丈夫です。それに、先輩がいてくれたから…先輩こそ、お怪我は…?」

私は、少しだけ掠れた声でそう答えると、先輩の顔を真っ直ぐに見上げた。彼の瞳には、私への深い愛情と、そして共に戦う覚悟が宿っている。その眼差しだけで、私の心は満たされていく。

「僕の方こそ、君がいてくれて良かった。君のその勇気と、美しい輝きが、僕に力をくれたんだ。ありがとう、瑠々…君は、僕の…希望の光だ」

先輩が、私の名前を、まるで大切な宝物のように、優しく呼んだ。その響きに、私の心臓は甘く締め付けられ、頬が熱くなるのを感じる。もう、この気持ちに嘘はつけない。私は、先輩のことが…好きだ。この気持ちを、いつかちゃんと伝えられる日が来るのだろうか。


「…フン、いつまで感傷に浸っているつもりだ。奴は一時的に退いたに過ぎん。すぐに次の手を打ってくるぞ。それに、夏海瑠々、お前のその力は、まだ完全に制御できているわけではない。油断すれば、また暴走する可能性もある」

冬城が、腕を組み、壁に寄りかかりながら、相変わらずのぶっきらぼうな口調で言った。でも、その声には、どこか焦りのようなものが滲んでいる。彼の赤い瞳は、今は元の黒曜石の色に戻っていたが、その奥にはまだ赤い残光が揺らめき、そして深い疲労の色を隠しきれていない。彼もまた、限界寸前まで戦ってくれたのだ。彼の黒い浴衣も、あちこちが擦り切れ、彼の激しい戦いを物語っていた。

「冬城…あんたも、ありがとう。助かったわ。…その、赤い目のこととか、色々聞きたいことは山ほどあるけど…今は、やめておくわ。あんたも、ボロボロじゃない」

私は、少しだけ照れくさい気持ちを隠しながら、彼にお礼を言った。すると、彼は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにふいと顔を背け、「…別に。俺は俺の目的のために動いただけだ。勘違いするな。それに、俺の心配など無用だ」と、いつもの調子で言い放つ。でも、その耳がほんの少しだけ赤くなっているのを、私は見逃さなかった。この男、やっぱり不気味なくらい不器用なんだから。

「瑠々ちゃん!先輩!冬城くん!みんな、無事でよかったよぉ!もう、心配で心配で、心臓が止まるかと思ったんだから!」

そこへ、緋和が涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、私たちに抱きついてきた。その小さな体は、まだ小刻みに震えているけれど、その瞳には確かな安堵の色が浮かんでいる。彼女は、さっきの戦いの間、ずっと物陰から私たちの無事を祈っていてくれたのだ。

「緋和…!心配かけてごめんね。でも、もう大丈夫だから。ね?」

私は、緋和の頭を優しく撫でてあげた。彼女の太陽みたいな笑顔が、私の心を温かく照らしてくれる。この笑顔を、絶対に守り抜きたい。


戦いが終わり、破壊された私の部屋には、不気味な静けさが戻っていた。窓の外は、まだ闇に包まれたままだが、東の空がほんの少しだけ白み始めている。それは、新たな始まりを告げる夜明けの光のようにも、あるいは、さらなる絶望への序曲のようにも見えた。

私たちは、リビングでおばあ様と向き合っていた。おばあ様は、これまでの経緯を静かに聞いた後、深いため息をつき、そして決然とした表情で私たちを見据えた。その瞳には、夏海家当主としての厳しい光と、孫娘を想う深い愛情が宿っていた。

「…瑠々、そして秋月くん、冬城くん。よくぞ、今回の危機を乗り越えた。じゃが、あれはほんの序章に過ぎん。古文書に記された“七つの星の封印”の全てが解かれれば、この世界は真の闇に飲み込まれるじゃろう。それを阻止できるのは、星影の印を持つ瑠々、お前と、そしてお前を支える仲間たちだけじゃ。お前たちに残された時間は、そう多くはない」

おばあ様の言葉は、厳しく、そして重い。それは、私たちに課せられた、あまりにも大きな宿命だった。

「瑠々、お前に夏海家当主としての使命を授ける。それは…古文書に記された“七つの星の封印”の全てを巡り、それを守護し、そして可能ならば強化すること。そして、“黒き月影”の陰謀を阻止し、その黒幕を討つことじゃ。これは、お前にとって、そしてこの世界にとって、あまりにも過酷な旅になるやもしれん。じゃが、お前ならできると、わしは信じておる。お前のその瞳には、かつてのわしと同じ、決して諦めない強い光が宿っておるからのう」

その言葉は、私にとって、あまりにも大きな責任だった。でも、もう私は逃げない。自分の運命から、目を背けない。この力が、みんなを守るためにあるのなら、私はその力を受け入れ、そして使いこなしてみせる。

「…はい、おばあ様。私、やります。必ず、この学園と、私たちの日常を、取り戻してみせます!そして、黒き月影の野望を、絶対に打ち砕いてみせます!」

私は、力強く頷いた。その瞳には、もう迷いの色はなかった。私の白い肌は、決意の光で内側から輝いているように見えた。


「僕も行くよ、夏海さん。君を一人にはしない。それに、僕の家系にも、この戦いに関わる使命があるはずだから。あの古い木箱の秘密も、解き明かさなくてはならないしね」

秋月先輩が、私の手を強く握りしめ、そう言ってくれた。その瞳は、私への愛と、そして共に戦う覚悟で輝いている。彼の大きな手が、私の手を優しく、しかし力強く包み込む。

「…フン、仕方ないな。お前たちだけでは心許ない。俺がついて行って、監視してやる。それに…あの“黒き月影”には、俺自身にも片付けなければならない借りがあるんでな。奴らが集めている“魂の欠片”と、俺が追っている“光る欠片”の謎も、解き明かさなくてはならないしな」

冬城もまた、ぶっきらぼうながらも、私たちと共に行くことを承諾してくれた。その瞳の奥には、何か深い決意と、そしてほんの少しだけ…私たちへの信頼のようなものが宿っているように見えた。彼の言葉の端々には、まだ多くの謎が隠されている。

「もちろん、私も行くよ!瑠々ちゃんの親友として、そして星影高校の平和を守る特捜部員(自称)、そして、この物語のヒロインのサポート役としてね!瑠々ちゃんの美少女っぷりを、もっと世に知らしめないと!」

緋和も、いつもの元気な笑顔で宣言する。その笑顔が、私たちの未来を明るく照らしてくれるようだ。…って、最後の言葉は余計よ、緋和!


こうして、私たちの新たな、そして本当の戦いが始まろうとしていた。

古文書に記された「水の記憶に眠る古の社」とは、一体どこにあるのだろうか?「星詠鳥の導き」とは、あの謎の少女のことなのだろうか?そして、冬城が回収した「透明な光る欠片」と、刺客が残した「魂の欠片」、秋月先輩の「古い木箱」の謎は?「黒き月影」の真の黒幕“あの方”の正体とは?そして、私のこの力の「代償」とは一体…?さらに、夢で見た秋月先輩の冷たい瞳と、冬城くんの黒い翼の影は、一体何を意味しているのだろうか…?

たくさんの謎と、そして大きな不安を抱えながらも、私の心は不思議と晴れやかだった。なぜなら、私の隣には、信じられる仲間たちがいるからだ。この絆がある限り、どんな困難だって乗り越えられるはずだ。

朝日が昇り始め、学園を覆っていた闇が少しずつ薄れていく。窓から差し込む最初の光が、私の顔を、そして私たちの未来を、優しく照らし出していた。

私の手首で、「星影の印」が、まるで新たな旅立ちを祝福するかのように、温かく、そして力強く輝いている。この胸の高鳴りは、きっと止まることを知らない。私たちの物語は、まだ始まったばかりなのだから。そして、このドキドキする想いの行方も、きっと…。

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