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申し訳なさそうに上目遣いで謝る姿にも、胸がときめいた。
彼女は偶然にも、僕の向かいに座った。
自然と話しかけられる位置だったから、嬉しかった。
最初は軽い挨拶から。
そしてお互いの大学のことに話は移った。
彼女は有名お嬢様大学の2年生だった。
僕の通っている大学名を言うと、彼女は目を丸くした。
「スッゴイです! あそこの大学、超難問なんですよね?」
「まっまあ僕のとりえは勉強だけだから」
僕は彼女の驚く表情が見たくて、幼稚園からの名前を言った。
「だからエリートなんですね。将来は何になるんですか?」
「うん、一応弁護士目指しているんだ」
「カッコ良いです!」
キャッキャっ♪とはしゃぐ彼女の姿を見ていると、僕まで嬉しくなってしまう。
いつも近寄ってくる彼女達は化粧が濃くて、その匂いもダメだった。
話し方も相手を煽てる為にオーバーリアクションばかりで、うんざりしていた。
でも彼女はナチュラルメイクで、仕種も可憐だ。
まさに僕の理想の女神!
僕は自分の気持ちが彼女に向いていることを自覚していた。
その後、合コンが終わるまでずっと彼女と話をしていた。
僕がずっと成績で1番を取り続けていること。
本当は運動はあまり得意ではないけれど、努力で何とかなったことなど。
彼女は終始笑顔で、聞き入っていた。
だから思いきって、帰る時に彼女に言った。
「あの、また話をしたいから、ケータイの番号とメルアド教えてくれないかな?」
自分から申し出ることははじめてだった。
「良いですよ。わたしもまた、あなたと話がしたいですから」
彼女は笑顔で、受けてくれた。
それから彼女との付き合いがはじまった。
毎日メールをして、電話をした。
休日なんかは二人っきりでデートをした。
僕はハッキリと気付いていた。
彼女に惹かれていることを。
そして彼女もまた、僕に興味を持ってくれていることに。
デートはいつも、僕の言い出した所に付き合ってくれた。
偶然にも、彼女が興味を持っていた場所と重なっていたからだ。
いつもお菓子を作って来てくれたり、お弁当も時々作ってくれた。
どれも僕好みの味で、嬉しかった。
まるで彼女と波長がピッタリ合うようだった。