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痛くて、悲しい
『小さな夢の御伽噺』
【《それは小さな子供の、とても小さく、そしてささやかな夢のお話。》
小さな子供は、いつだって幸せでした。
何故なら、大好きな人たちと共に、ずっと仲良く、平和に暮らしてゆけたからです。
無邪気な子供は、『ずっと、ずっと。 永遠に、みんなと一緒に居られる』ものなのだと、思っていました。思い込んでいました。
小さな子供には、二人、『魔女』と呼ばれる、強い魔力を持ったおともだちがいました。
一人は、物を作るのが上手な、元気な魔女。
もう一人は、花の芽をすぐにお花にできたり、枯れそうなお花をタネにまで戻せる、優しい魔女。
小さな子供は、その二人とお友達なのがじまんでしたが、『同じくらいのおともだちもほしいな』と、思っていたのです。
その願いはかなって、小さな子供には、同じくらいの女の子のおともだちができました。
めでたし、めでたし。】
小さな子供は問いかけます。
「君はすぐに大きくなるんだね」
女の子は言います。
「あなたは変わらないのね」
小さな子供は言います。
「君は子供を産んだんだね」
女の子は答えます。
「あなたみたいに可愛い女の子よ」