焼けるように、
「……」
何故だか震える手で、『時と魔法道具の国の歴史』の表紙をめくった。
ーー『リクラリカ』。 それは、大人は言わずもがな、子供達までもが知っている、『時と魔法道具の国』。世界中の殆どの魔道具を生産し、魔導機発祥の地である。
しかし、リクラリカは忽然と世界から姿を消した。少しだけの魔導機を残してーー
彼女は、内容に愕然とし
「……、」
だが、頭の隅の方で『やはりそうだった』と思った。
薄々気が付いていた。自分が少しおかしい事に。
周囲は「田舎から来た新米魔導師」と思っているのか、誰も変だとは指摘しなかった。
魔道具は、魔導機は。もう既に過去の遺物であり、使う者などそういない事を。
それらに代わる、より効率の良い魔法道具が存在する事を。
あの雑貨屋の店主はきっと、
『随分と昔の金を使うんだな』
そう言っていたに違いない。
「……(それじゃあ、)」
ーー何故、私は古いお金を持っていたのだろうか。
何故、消失した国から来たのだと、そう思っていたのだろうか。
「…っいた、」
チクっと、頭が刺されたかのように、一瞬だけ、痛んだ。
ーーこの国が変わったきっかけとして、研究者達が参考にする、『小さな夢の御伽噺』。これは、特殊な魔法で編まれた本で、如何してだか、あの本以外に文を移す事が難しい。そのため良く知られた冒頭部のみの記載となるが、リクラリカをより良く知る為には、一度目を通しておくことを推奨するーー
「(何か……、思い出すきっかけになる、はず)」
『小さな夢の御伽噺』に手を伸ばし、ページをめくった。