花瓶の花
「おはよう!!」
今日も教室の隅っこで寝たふりしてる、お前に声かける。
「おはよ……。」
いつも疲れきった顔で力なく返ってくる返事。
「なぁ、大丈夫か?」
小学校から一緒のお前は、見たこと無いぐらい疲れてる。
「何が?大丈夫だか…」
見るからに不機嫌だ。
「俺、お前に何かしたか?」
お前は、そっぽ向いて
「ほっといてくれよ……」
とボソッと言った。
理由ぐらい教えてくれたっていいだろと
少しムッとした。
でもコイツのことだから何かあるんだろうと
コイツを信じてる自分を信じた。
「なぁ、お前、もし……」
肩に置こうとした俺の手は宙を切り
机にぶつかる。
カランと机に置かれた花瓶が揺れる。
お前は、何処にもいない。
その代わり周りの奴らが
今日も平和なんだと笑ってる。
花瓶には、紫の鈴見たいな花が咲いていた。
チャイムが鳴り俺は、自分の席に移動する。
最初から
そこには誰も居なかったと言うように
今日も今日が始まった。
隅っこで寝たふりをしている俺の耳に聴こえるのは、誰かを貶す笑い声。
俺は人の笑い声が怖くなった。
「笑い声が痛い。」
お前はそう言ってたっけな。
寂しそうに笑うお前を俺は……
違う、そうじゃない。
お前は、そんなこと言ってなかった。
俺は、アイツを追い詰めたんだ。
自分が見せた都合のいい記憶。
頭が割れそうに痛い。
もし、あの時自分の感情に任せて
「そうかよ、んじゃ。」なんて、言わなければお前は、まだここに居たんだろうか。
ちゃんと、お前と自分と向き合えてれば
違う結末があったのか。
知らなかったなんて、今も逃げて忘れようとしてる俺へ天罰だろう。
割れ、割れ、割れ、割れ、割れ、割れ。
周りが楽しそうな声が痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い。
○ねよ。
俺は、花瓶をニヤニヤしてる
糞やろうに向かってぶん投げた。
甲高い悲鳴、動揺する奴ら
血を流して倒れた糞やろう。
笑ってるもっと、糞やろうな俺。
紫の花は、枯れる
読んで下さってありがとうございます。
この物語は、フィクションです。