カズヤ
「………ッ……うぅ…ん…?」
「……気がついたか……?」
「――!?こ、な……痛ッ!?ぐうぅ……そうか俺は……」
目を覚ましたカズヤにランボが優しく語りかける。瞬時にカズヤは状況を把握した。自分は負けたのだ……と。
ノームは解除され、生身で床に倒れるカズヤ。逆にランボはプロトベアーを装着したまま、倒れているカズヤを見下ろしている。
「……フッ……あの時と一緒……いや真逆か……」
ランボはネクロ事変でナナシと戦った時のことを思い出していた。彼の言う通り、あの時とは真逆だった。あの時は負けて倒れたのは自分、そして、そんな自分が起きるのを今のようにナナシは待ってくれていた。
「なん……の……話だ……」
「ん?……あぁ……こっちの話だ……最低で最高の思い出のね……」
ランボにとってネクロに協力したことは、忘れたい、だが忘れてはいけない記憶。この時のことを思い出すと胸が罪悪感で一杯になる。けれど、そのおかげと言ってはなんだがナナシ達と出会えた。
彼らとの出会いは自分の人生において、とても幸福な出来事だとランボは思っている。もちろんそんなことを言葉にしたら、不謹慎だとか、反省していないなどの謗りを受けることになるだろうから、今後も決して口にする気はない。それに何より照れ臭くて仕方がない。
「……ランボと言ったか……?」
カズヤが薄汚れた天井を眺めながら、自分を下した勝者に話しかける。ランボは彼の横顔をただじっと見つめていた。
「……恥を忍んで聞く……俺の敗因はなんだ……?」
まさにプライドをかなぐり捨てた質問。カズヤがランボではなく天井を見ているのは、敵にそんなことを聞いている自分を恥じているから。とてもじゃないが目を見ては話せない。
けれども、 ランボはむしろその質問にカズヤの実直さを感じ取り、自分も誠実にその思いに答えようと顎に手を当て、十秒ほどだが真剣に考えた。
「……うん……あれだな。お前の敗因は大まかに言うと三つある」
「……三つも……か……」
「三つもだ」
さすがにカズヤも三つもあるとは予想外……思わず、乾いた笑いが出る。そんなに問題があるのに勝つ気満々だった自分、そして、敗者に容赦なく鞭を打つランボの真面目さに呆れてしまったのだ。
片やカズヤの心中など露知らず、ランボは淡々と三つの敗因を提示していく。
「まず一つ目は経験……この場合は近接格闘戦のな」
「だろうな……」
一つ目についてはカズヤもわかっている。明らかに自分と相手に練度の差があり、最終的には完全に戦闘をコントロールされていた。
「オレがボクサー目指してたのは内緒だぞ」
「だから、言わねぇって……」
ランボが右手の人差し指で口元の前に、しーっとジェスチャーをするのをカズヤは一瞬だけ横目で見ると、顔がほんの少し綻んだ。ランボもそれを見て仮面の下で口角が上がる。和やかな雰囲気が場を包みこむ。
「………で、二つ目は…?」
「…ん?……あぁ、二つ目ね……」
一足先に緩んだ空気から脱出したカズヤが自分を打ち負かした勝者を急かした。ランボは柄にもなく慌てる。
敗者が勝者に自身の敗因を述べることを要求する……。改めて、不思議な光景である。
「二つ目は、自分のスタイル、ガンファイトを捨てたこと」
「……確かに……な……」
本来のミドルレンジの銃撃戦ではなく、格闘戦を選んだこと。それが敗因だと言われると、一つ目の経験と重なる部分もあり、カズヤは納得できた。
しかし、ランボが言いたかったのはそういうことではない。
「バトルスタイルのことだけじゃない。お前はドン・ラザクの後継者になることに拘るあまり、自分を見失っていたようにオレには見えた」
「――!?」
カズヤはランボの言葉に先ほど食らったパンチ以上の衝撃を受けた。ここに来てようやく気づかされたのだ、自分が道を誤ったことを……。
(ドンが亡くなってからというもの、日に日に乱れていく壊浜を憂いて、それを治めるためにドンの代わりになろうとやってきたが……いつの間にかドンの後継者になることが手段から目的に変わっていた……そんなんじゃあ、こいつには勝てないのも当然か……)
自分の愚かさに腹が立つ。手段と目的が入れ替わって破滅する者をこの街で何人も見て来たが……自分も同じ穴の狢になっていたとは……。
「それに……オレは専門家じゃないし、装着したこともないから、あれだが……そんな奴に……自分自身を信じられない奴に特級ピースプレイヤーは応えてくれない……オレの知ってる奴を見ていると、そう思うよ……」
ランボの脳内にあの日の紅き竜が出現する。今思うと、あの戦いを決定付けたのも、自分を信じられたかどうかだった気がした。
「……そうか……ノームもこんな情けない奴に使われたくないわな……」
一方のカズヤが思い浮かべるのは、ノームを装着し、卑劣な敵と戦う気高きドン・ラザクの姿……。
(きっとあの人は自分のやることに迷いなく、自分を信じて生きて来たのだろうな……)
すぐそばまで近づいていると思っていた背中が、また遠く離れたように感じ、カズヤは目を細めた。
「……そうか……二つ目までは納得できた……で、最後の一つは……」
自分の過ちを指摘してくれたランボに感心し、早く三つ目を聞きたくなる。けれど、三つ目は残念ながらカズヤが望むものではなかった……。
「三つ目は………」
「三つ目は………?」
「オレには勝利の女神がついていたからだ」
「………はぁ~?」
ランボの意外な発言に、思わずカズヤは突拍子もない声を上げてしまう。
「まさか……お前がそんなロマンチストだったとはな……」
「いや……違うんだけどな……」
呆れかえるカズヤに対し、ランボは反論しようと思ったが、思いとどまった。
つい言ってしまったが、彼女のことはあまり話すべきではないことを思い出したのだ。
「安心して、怪我して来いよ!あたしが治してやるから!」
このスクラップ場に足を踏み入れる前にリンダに言われた言葉……彼女なりのジョークだろうがそれが勝利の鍵になった。
(……正面からの殴り合いなんて無茶、リンダの治癒能力がなかったら、選らばなかっただろう……それに、仮にオレが倒れてもこのスクラップ場に一緒に来たナナシやアイム……今は迷子だけど蓮雲とそれを追っかけていったアツヒトがいる。カズヤ……お前の敗因はオレには、オレなんかにはもったいないぐらいの頼れる仲間がいることだ)
ランボは窓の外……スクラップ場の入口の方を見つめ、リンダがいるトレーラーに、そして他の仲間達に思いを馳せた。
「って!黄昏てる場合じゃなかった!」
唐突に自分に突っ込みを入れるランボ!全て終わったような雰囲気になっているが、実際は何も終わっていない。
「カズヤ!君の願いは聞いたんだから、オレの願いも聞いてくれないか……?」
「なんだ?言って見ろ……」
ランボの問いかけに、カズヤは顔を向け、両者の目線が戦いが終わってから初めて交差する。
「…あぁ、まずはここに来る途中で……」
「カズヤさん!!!」
ランボが本題に入ろうとした瞬間、どこかで聞いたことのある声とともに小さな人影が彼には目もくれず横を通り抜けた。
「カズヤさん!大丈夫ですか?」
「ユウか……」
ユウと呼ばれた人物は倒れるカズヤの横に座り込み、彼の身体を頭から足までまじまじと観察し、無事かどうかを確認する。
その目は真剣そのもので、まるで家族を心配しているようだ。そのあたふたと動く小さな背中を眺めながらランボは困惑する。
「…なんだ……君は……子供がなんでここに……?」
「そのリアクション、さっきわたしがやった」
「!?」
戸惑うランボの後方から、今度は確実に聞いたことのある声……仲間の声!アイムの声が聞こえた!
振り返るとそこには多少汚れてはいるが共にこの場所を目指していた黄色いピースプレイヤーが立っていた。
「アイム!無事だったか!」
「当然!……って言いたいところだが、結構大変だったな……まぁ、それはお互い様か……」
アイムはジャガン以上にボロボロになっているプロトベアーを見て、その激闘を慮る。
「……そっちも色々大変だったようだが…そのことは後で聞こう。まずはあの子供は……」
「それは……」
「俺達を襲って来たドローンやトランスタンクを操ってた奴だよ、あいつ」
ジャガンの後ろから、これまた聞き覚えのある声がした。階段を上り、真っ赤なピースプレイヤーがランボの視界に入ってくる。
「ナナシ!……ナナシガリュウ!?」
「それもさっき、わたしがやった」
一瞬、ランボは気づかなかったが、そのピースプレイヤーは二本の角、黄色い二つの眼……かつて自分と戦ったあの紅き竜!
エーラットではなく、ガリュウだ!
「なんで!?ガリュウはうんともすんとも言わなかったはずだろう!?」
「いや、だから!その件、ここに来る道中でアイムとやったんだって!一人ずつ説明するのはめんどくさいからよ、後にしてくれよ……」
興奮するランボにナナシは半ギレで説明を拒否する。
先ほどアイムが思いのほか、ガリュウ復活に食い付いてきて、ならランボはもっと……と思っていたら予想通りの反応。この分ならケニーはもっとひどいし、蓮雲のバカは勝負を挑んでくるかもしれない。そう思うと、ナナシは億劫で仕方がなかった。
「つーか、それよりやることあるでしょうに」
「そうだぞ!人間!貴様は何故、ここに来たんだ?」
「……あぁ、そうだな…………って!なんで、シルバーなんちゃらが!?」
「シルバーウイングだ!!!これだから人間は!」
あまりにも自然に溶け込んでいるから、流しそうになったが、自分達の前に立ちはだかったシルバーウイングが普通にネクサスの会話の輪の中に入っていた。
「……そのリアクションは俺がやった……こいつの話を聞くと長くなるから……それも後で……一人でやってくれ……」
アイムの質問攻めの後に、シルバーウイングのことを本人……本AIに聞いたのが運のつき、ナナシはここに来るまで延々と説明とは名ばかりのギンギラギンな自慢話を聞かされてうんざりしていた。
「……もう、しんどい、めんどくさい、帰りたい……だから……」
ナナシガリュウは愚痴りながら、肩を回していたりしたが、突然、声のトーンが低くなり、真剣な……仮面でランボからは隠れて見えてはいないが、真剣な眼差しでランボを見つめる。
「早く本題に……ランボ、もしかしたら、俺達、嵌められたかもしれん……」
「はめられ……!?……そうか……わかった……何かオレ達の知らないところで……」
ナナシの脈絡のない言葉をランボは瞬時に理解する。
最初こそ野望を持った荒くれ者といった印象のカズヤであったが、拳を交えていくと、そうではなく何かのために必死に自分に鞭を打って戦う、どこか真面目さを感じさせる人物に思えたからだ。そのずっと感じていた違和感がナナシの発言に信憑性を持たせた。
ランボは振り返り、カズヤの元へと歩き始める。ナナシとアイムは黙ってそれを見送る。この場で何が起こったかは、ボロボロになったプロトベアーを見ればわかる。
後から来た自分達よりも激闘を演じた二人が話すべきだと思ったからだ。
「……ユウ君……だったかな?……少し、カズヤと話をさせてくれないか……?」
「で、でも……」
ランボはカズヤの横に座り込むユウの肩を叩き、優しく二人っきりにしてくれと話しかけた。それでもユウはカズヤから離れようとしない。
「ユウ……大丈夫だ……こいつは俺にひどいことなんてしない……というか、もうひどいことし終わった後だ……」
頑なな少年にカズヤも離れるように促す。自虐的に笑みを浮かべながら。
ユウは一瞬、わかってるな!とランボに無言のアイコンタクトを送り、ランボもそれに対して無言で頷いた。ランボの同意を確認して、少年は紅き竜達の方へ歩き出す。
「……ずいぶんと……慕われてるんだな……」
「……少し前に拾ってな……昔の俺を見てるみたいでほっとけなくて……」
ユウの反応、そしてカズヤの言葉を聞いて益々この男がただの悪人だとは思えなくなる。だからその疑問を晴らすために二人っきりになったのだ。
数々の妨害、激闘を乗り越えランボは、ネクサスはようやく、本来のミッションに戻る。
「オレ達はお前が神凪に対して何らかのテロを実行する可能性があると聞いて、ここに来たんだ……」
「――ッ!?な!何!?テロ!?俺が!?何を言っているんだ!?」
カズヤがこれまで見せたことがないほど取り乱す。彼にとっては寝耳に水、まったく予想していなかった発言だった。
「じゃあ……」
「そんなこと考えたこともない!そもそも、ドンが亡き後、この壊浜が荒れて、それどころじゃなかった!俺が見張ってないとバカなチンピラどもが下らない抗争を今にでも始めるような状態だぞ!テロなんか起こして、俺に!この街に!なんの得がある!」
怒涛の勢いでまくし立てる。その必死の形相からとてもじゃないが嘘を言っているようにはランボと、彼の後ろで会話を見守っている仲間達には見えなかった。
「わかった、お前がテロしようとはしてないことは……では、なんでオレ達を襲った?」
ランボがカズヤを落ち着かせるように、穏やかな口調で、新たな疑問を提示する。
「……神凪政府が、壊浜出身者がネクロ事変に協力したとして、それをお題目に俺やユウなんかを排除しようと……どうせ、家族もいないような奴だから、殺しても問題ないだろうって……」
「そんなわけないだろう!!どんな命でも他人が勝手に奪っていいわけなんてない!!……オレが言う資格はないがな……」
落ち着きを取り戻したカズヤの答えに、逆にランボが激昂した!間違った情報を信じたカズヤに対してではない、今の自分が最も許せないことに、かつての自分が加担していたことを思い出したからだ。
テロリストだった自分が他人をテロリスト扱いするなんてこんなにみっともないことはない。後ろで聞いているアイムも同様で人知れずギュッと拳を握り締めた。
「……済まない……興奮してしまって……」
ランボは深呼吸をしてから、再び穏やかな口調でカズヤに謝罪した。カズヤは気にしていない様子で天井を眺めている。
「……俺も一緒さ……テンパってたんだよ……普段の俺ならこんなとんでもない情報、事実かどうかもっと慎重に調べてた……けど、ドンが死んで、この街が荒れて、昔つるんでた奴がネクロとか言う奴と大統領の誘拐なんてしやがって……そして……ハザマが死んで……ん?」
カズヤはランボの視線を感じ、そちらを向く。
ランボは戸惑ったというか、不思議そうにこちらを見ていた。もっと言えば彼の後ろに控えているナナシも……。
「俺の口から、憎きハザマの名前が出たのが意外か?」
「――!?あぁ……ちょっとな……」
心中を見事に言い当てられて、ドキッとするランボ。口に出すのも憚られるほど憎み切っていると思っていたのに、まさかこんなさらっと名前を出してくるなんて全く思いもしてなかったのだ。
戸惑うランボの表情を見ると、カズヤの顔が少し緩み、さすがにずっと寝転がって回復したのか、上半身を起こした。
「確かに……ハザマは自分の私欲のために、この街……壊浜の復興を邪魔してきた……最初の頃は壊浜の住人にとってはただの憎むべき対象でしかなかった……」
「最初……?今は違うのか?」
ランボの疑問にカズヤが首を縦に振り、その後、窓の外に目線を移す。
「オリジンズ襲来から時が経つにつれ、壊浜の中にも独自のルールやコミュニティが生まれ、復興を望まない者も現れ始めた……個人だったらまだしも、そいつらは徒党を組んでギャングやマフィアと呼ばれる組織になっていく……そうなると厄介だ。下手に政府が壊浜に手を出そうものなら奴らは全力で阻止しようとするだろう……例えその結果、多くの血が流れることになっても……」
「じゃあ……ハザマは……?」
カズヤは再びランボの方を向き、また静かに頷いた。
「ハザマはある意味、“必要悪”……壊浜は奴の庇護下にあったんだ。あえて政府として手を出さないことで流血を避けていたんだよ……もちろん下心もあったのだろうが、結果として、ある種の秩序をこの街に与えていたのは間違いない」
カズヤはランボから目を逸らし、壁を睨み付ける。理解はできるが、納得はしていないのだろう。
「でも、そんな状況じゃ……」
「それをなんとかしようとしたのがドン・ラザクだ……あの人は壊浜を統一しようとしたのは、私欲のためじゃない……この街をまとめていた方が、政府との交渉もスムーズにいくと思っていたからだ……いずれ訪れる来るべき時のために……」
「来るべき時……?」
「ハザマが肉体的……もしくは政治的に死んだ時だ……まぁ、その前にドンの方が先に死んじまったけどな……」
カズヤは一瞬、涙をこらえるように目を瞑り、次に開いた時にはランボではなく、後ろのナナシに目を向けた。
「だから、俺は焦っていた……ドン亡き後に、ドンが待ち望んだチャンスが……ハザマを大統領の座から追い落とすムツミ・タイランという存在が現れたからだ。彼が大統領になった後、壊浜復興の交渉の窓口になるために俺がドンの後継者として、みんなに認められなければ……って……」
そう言うと、カズヤは深いため息をついた。
いつの間にかドンの真意を理解しながら、後継者という言葉に取りつかれ、一番大切なことを忘れていた自分に、そして結局、予想外の結末を迎えた大統領選挙に嫌気が差したのだ。
「あいつにも言っておくべきだった……潔癖なところがあるからって言わなかったけど、ドンの想いを知れば……あんなバカなこと……」
きれいな金色の髪と緑色の眼を持った旧友に想いを馳せる。そのバカでどうしようもない友人がすぐ側まで来ていることをカズヤは知らない……。
「……話が逸れたな……」
カズヤは一息ついてから再びランボの、プロトベアーの目を見る。そう、今重要なのはそのことじゃない。重要なのは……。
「そうだな……話を戻そう……カズヤ、君に嘘の情報を教えたのは誰だ?」
そう、重要なのは、カズヤを騙し自分達と戦わせた黒幕とも呼べる存在を突き止めること。カズヤもそれはわかっている……わかっているが、口ごもる。言いたくないのだ!信じたくないのだ!あいつが自分を騙したなんて……。だが、事実が裏付けているあいつが犯人だと……。
意を決して、その名を口に出す。
「……俺に政府の人間が俺達を排除しようとしているって情報を……情報を教えたのは……“シンスケ”………」
「どういうことだぁ!!?」
「「「!!?」」」
突然、大きな怒鳴り声が聞こえた!下の階から、しかも聞き覚えのある……カズヤにとっては懐かしい声が……。
ナナシとランボは瞬時にアイコンタクトをして、下に向かうことにする。
「待て!俺も連れて行ってくれ!!!」
階段へと向かうランボを呼び止めるカズヤ。まだ一人で立って歩くことはかなわないようだ。
「わかった」
ランボはカズヤの下へ戻り、肩を貸す。そうしている間にナナシ達は階段を下に降りていった。




