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No Name's Nexus  作者: 大道福丸
Nexus
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天駆ける

 今回の事件の主犯であり、テロリストの首魁ネクロことノブユキ・セガワと父、ムツミ・タイランが自分のことで、問答を繰り広げている時を同じくして、ナナシ・タイランは恐怖と戦っていた。

「……意外と怖いな……これ……」

 オノゴロに向かって天を駆ける紅き竜!と、端から見る分にはカッコいいが、飛んでいる本人は内心ブルブルのガクガクだ。

(別に……高所恐怖症ってわけじゃないんだが……さすがにぶっつけ本番だからな……)

 初めて使うジェットパック……正直、舐めていた。小一時間でいいから練習したかったと、今さら言ったところでどうにもならない考えが頭を支配する。

(今が夜で、下が海だから、まだマシだが、これがもし………やめよう……)

 景色がよく見える昼間で、地面の上を飛んでいたとしたら……想像しただけでゾッとする。そして、怖がれば怖がるほど“奴”の凄さが再認識される。

(ネームレスの野郎もこれ、初めてだったのかなぁ……あいつとは一勝一敗……もし、再び俺の前に立ちはだかるなら……)

 ガリュウの装甲に熱が帯びる。スタジアムでの借りは豪華客船で返したが、ナナシの感覚ではまだ決着はついていない。むしろ、フルリペアなんてナナシ自身知らない力が、偶々、運良く発動しての棚ぼた的勝利だ。いまいち達成感がなく、胸を張れないのだ。

(次があるなら………ん!?)

 漆黒の好敵手への対抗心を燃やしていると、視界に何かが入って来る。“何か”としかいいようができない得体のしれないものが目的地オノゴロの方向からこちらに向かって来たのだ。

「おい!なんだ!てめえは!」


……………………………


 ナナシの問いには沈黙しか返ってこなかった。若干、いやかなり苛立ちながら再度問いただす!

「お前ら!何も…………」


バシュウッ!!!


「――ッ!?うおっ!?」

 突然、何かが光ったと思ったら、それがそのまま近づいて来た!攻撃だ!警戒していたおかげでギリギリ回避をすることができた。しかし、それで終わりじゃない!


ブゥン……


 羽音のような音がした。それもかなり近く……恐る恐るそちらを向くと……。


ビュン!


「くっ!?」

 ナナシガリュウの頭ぐらいの大きさのメカ……ドローンのようなものが、いつの間にか接近していて、さらに光の弾丸を放つ!

 しかし、ナナシはこれまた回避!加えて……。

「ナメるんじゃないよ!」


バシッ!!! ドゴォン!!!


 回避運動しつつ、尻尾のように生やした鞭をふるい、謎のメカを破壊する!付けてて良かったガリュウウィップ!

 体勢を立て直し、再び前方の“何か”を凝視する。先ほどよりさらに近づいていたため、ようやく“何か”が何なのか判明した。

「……オノゴロ搭載の防衛用のアーティファクトか……?よくわかんねぇな……」

 わからないことがわかった。

 その造りから既存の……少なくともナナシが把握している技術での製造品ではないことが、かろうじてわかったというところだろう。

 大きさはナナシガリュウと変わらない。しかし、その形は全く違う。両腕……と言っていいかわからないが、それは銃の砲身のようであり、足はない。その部分には箱のような、浮遊ユニットだろうか……が付いている。そして、頭部と呼べるものもまた見当たらない。代わりに胴体部で光が右、左と忙しなく動いている。それで、敵を感知しているのだろうか……。

 何にせよナナシの知識では理解できない存在ということだけがわかったのだ。

(……敵は一体……いや、よく見りゃ、周りを小さな……さっきの奴か!それが……五……!)

 観察を続けると謎のアーティファクトの周りに五体、先ほど撃破した小さなメカが漂っている。ナナシは敵の数を把握し終えた……とすれば、次に考えるべきは、どうやってこいつらをスクラップにするかだ!

(……デカイの一、小さいの五……なら!)

「ガリュウマシンガン!かける2!」

 両手にマシンガンを出現させる!そして、そのまま!

「喰らいやがれッ!!」


ババババババババババババッ!!!


 ありったけの弾丸をばらまきながら鋼の翼から火を吹き出し、ナナシガリュウはアーティファクトに突進していく!

 だが、ターゲットはあくまで周りの小型メカだ!


ドゴォン!ドゴォン!


 小型メカは回避しようとするが、二体ほど逃げ切れず爆散する!

 デカイのは流れ弾に当たっているが、全く効いている様子はない。もちろん、効かないからといって、じっとし続けているわけではない。


バシュウ!バシュウ!


「おっと」

 光の球を連続して紅き竜に対して放つ!竜は予想通りといった様子で空中できりもみ回転をしながら難なく回避した。

 けれど、生き残った三体の小型メカがその隙に近づいて来ていた!そしてそのまま仲間の敵討ちを開始する!


ビュン!ビュン!


「その程度!」

 ナナシは急ブレーキをかけ、二体の攻撃を避ける!そして……。

「ガリュウショットガン!」

 両手に今度はショットガンを呼び出し……。

「よいしょ!」


バァン!バァン!ドゴォン!!


 散弾で二体を同時に撃破!けれど、まだ残り一体……。


ブゥン……ビュン!


「フィールド展開!」

 目の前に現れた最後の一体!だが、ナナシは慌てずエネルギーフィールドで攻撃を防ぎ……。

「ほいっと」


バシッ!!! ドゴォン!!!


 最初の一体と同じように尻尾鞭で叩き潰す!これで小型メカは全て排除した。

 残るは……。


バシュウ!


「しつこいんだよ!」

 飽きもせず、光の球で攻撃してくるアーティファクト。飽きているナナシは面倒くさそうに対処する。

(あいつはどうするか……傭兵は無駄に使うなって言ってたけど、うまく使えるか試しとくのも大事だよな……)

 何か決断をしたナナシは空中で静止する。ガリュウの装甲が熱を帯び、そしてあの武器を呼び出す。

「ガリュウマグナム……」

 右手に握られたマグナムを敵に向け、グリップを両手で包み込む。あの時と同じだ。

 アーティファクトも何か察したのか、再度攻撃を開始する!


バシュウ!バシュウ!


「太陽の弾丸」


ドシュウゥゥゥゥゥゥ!!!


「??????」


ドゴォォォン!!!


 アーティファクトが放った二つの光の球を、そしてアーティファクト自身をナナシガリュウが放った光の奔流が飲み込んだ!

 アーティファクトは自身に何が起きているかも理解できずに夜空に炎の花を咲かせ、眩い光の中で長きに渡る生を終えた……。

「よし……とりあえずは自分の意思で使えるようだな」

 不意の襲撃だったが、ちゃんとできるか不安だった力完全適合と必殺技の使い方の確認できたので結果オーライ!大満足のナナシガリュウはウキウキ気分で当初の目的地オノゴロへ向か……。

「んじゃ!い…… 」


ビュン! ドォン!


 後ろの方で爆発音がした……違う!背部のジェットパックが爆発したのだ!ガクンと高度が一気に下がる!

「くそっ!」


ガシャッ!


 ジェットパックをパージすると、ガリュウ自身に付いている空中での姿勢制御用スラスターを吹かして、爆発が起こった方に視線を向けた。

「……ちっ!もう一体いたのかよ!?」

 視界に映ったのは先ほど六体撃破した小型メカと同じもの……七体目がいたのだ!

「やってくれたな!」


バン!


 落下しながら、マグナムで七体目撃破!やったぜ!……ってそれどころではない!

「どうする俺!?どうするナナシガリュウ!?」

 自問自答するが答えは出ない、ただ海面が近づいただけ!

「どうする!?どう……」


グン!


「うおい!?」

 突然落下が止まった。何か腰の後ろの方が引っ張られている……というか吊られている感覚がある。

「大丈夫かい?ナナシ」

「コマチ!」

 追い付いたコマチが、ルシファーが落下するナナシガリュウの尻尾のように装備された鞭を掴んで助けたのだ!

 付けてて良かったガリュウウィップ!仲間で良かったコマチルシファー!


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