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No Name's Nexus  作者: 大道福丸
ドラゴンライジング
322/324

サンライズ・アゲイン②

「ギャオッ!!」

 怒りに燃えるヴァイネイジはまた口を開き、エネルギーを集中させた。

「今まで計測したデータを照合……拡散バージョンではなく通常バージョンかと」

「なら俺達もオーソドックスな奴いっとくか!」

 ナナシはマグナムのグリップを通じて滾る精神エネルギーを得物に注ぎ込んだ。そして……。

「サンシャイン・ブラスター!!」

 代名詞とも呼べる圧倒的な光と熱を伴う広範囲攻撃を発射!

「ギャオォォォォォォォォォォンッ!!」

 それと全く同じタイミングでヴァイネイジも溜めたエネルギーを解放する!


ドゴオォォォォォォォォォォン!!


 示し合わせたかのように発射された光の奔流はぶつかり合い、相殺し、両者の間に土煙のカーテンをかけた。

「煙幕に乗じて懐に潜り込む!シャインエッジを使える準備を!」

「了解!」

 ナナシガリュウは臆することなく、煙の中に身を投じようと地面を踏みしめた。その時!

「「「キイィィィィィィィッ!!」」」

「「「ギャルウッ!!」」」

「「「ゲコォッ!!」」」

 ヴァイネイジに種を埋め込まれ、奴隷にされたコリモットやオオカゲート、ドクエカルが紅き竜に先んじて煙幕を突き破り、襲いかかってきた!

「まだいたのか……ベニ!!」

「追尾レーザー……ロックオン」

 ベニがオリジンズの集団を捕捉すると、肩と膝の追加装甲が展開、そこに配置されたレンズが輝き始めたかと思ったら……。

「発射!!」


ビビビビビビビビビビビビッ!!


「「「!!?」」」

 そこから細い光線が大量に発射!オリジンズの軍団に真っ直ぐと向かって行く!

「ガァッ!!?」「ギィッ!?」「ッ!?」

 光線は次々と獣達を貫いた。しかし中には……。

「キィィッ!!」


ヒュッ!!


 上手いこと回避する者も。いや……。


グンッ!!


 真っ直ぐ飛んでいた光線が急遽軌道変更!逃げるオリジンズをしつこく追いかける!さらには他の光線も合流して……。


バシュウゥ!バシュバシュ!!


「――ッ!!?」

 命中!四方八方から取り囲むように降り注いだ光線が一瞬でオリジンズを穴だらけにして絶命させた。

「負担は平気か?」

「お気遣いなく。これぐらいならなんとも」

「それならもうちょいギアを上げるぞ」

「「「キイィィィィィィィッ!!」」」

「「「ギャルウッ!!」」」

「「「ゲコォッ!!」」」

「まだまだ前座がたっぷりいるしな」

「はい!ここは一気に切り抜けましょう!サムライソード・フルアームオン!!」

「俺もサムライソード!!」

「追尾レーザーロックオン継続!シルバーソードテイル起動!」

 四つのサブアームとマグナムを持ってないもう一方の手に刀を召喚。さらには尻尾にも見える蛇腹状の銀色の刃を振り回し、相も変わらず追尾レーザーをばらまきながら敵陣に突っ込む!

「スペシャルマニューバ!サンライズ六連光斬!!」

「はあぁっ!!」


ビビビビビビビビビッ!!ザザザザザンッ!!


「「「!!?」」」

 ある者はどこまでも追っかけて来る光線に貫かれ、ある者は刀、もしくは銀の尻尾に通りすぎ様切り裂かれ、瞬く間にヴァイネイジの奴隷達は壊滅した。

「俺を倒すんなら、お前自身で来い!!」

「ギャオ………!!」

「アーム1、アーム2、ショットガン・オン、アーム3、4、マシンガン・オン!!」

 さらに加速しながらナナシガリュウは背部のサブアームの刀を銃に変更!もちろんその四つの銃口と肩と膝に配置されたレンズが狙うのは、銀色の竜だ!

「スペシャルマニューバ!サンライズフルクロスシュート!!」

「バン」


ビビビビビビビビッ!!バババババババババッ!!

 視界一面に広がる銃弾とレーザー。これに対しヴァイネイジは……。

「ギャオォォォォォンッ!!」

 巨体を光の膜で覆い尽くした!


パシュ!パシュ!パシュ!パシュ!!


 弾丸とレーザーの雨霰はその光の膜に弾かれ、本体に傷どころか届くことさえなかった。

「やっぱりサンバレ派生の攻撃じゃないと無理か」

「でしたらもう一度シャインエッジです!バリアごと真っ二つにしてやりましょう!!」

「おう!!」

 紅き竜の胸部が展開、また光の輪を生成……しようとしたら。

「ギャオォォォォォォォォォォンッ!!」


ブオォォォォォォォォォォォォン!!!


「――ッ!!?」

 シャインエッジの射程に入ろうとした瞬間、自らの危機を理解したのかヴァイネイジは甲羅にも思える重厚な四枚の翼を羽ばたかせて、風を巻き起こした……前回と同じく。

「そう言えばこれがあったな」

「ハルバードとランスで支えます」

 風に阻まれナナシガリュウは突撃を中断。そしてこちらも前回同様、武器を地面に突き立て、踏みとどまる。

「他が強烈過ぎて失念していましたね」

「そんなに俺とお近づきになりたくないか。そこまで嫌わなくてもいいのに」

「それ以上に距離を取っての撃ち合いに自信があるのでしょう。個人的に奴がそう思っているならとても腹が立ちます。この距離での本気の撃ち合いはナナシガリュウが最強であるべきです」

「んじゃその熱い思いに応えますかね」

 ナナシガリュウがネオブラスターをヴァイネイジに向けると、銃身が変形し、発射口が狭まり、特殊な力場を形成した。

「収束モード変形完了。ターゲットロック、誤差修正も完了。お好きなタイミングでどうぞ」

「では……スティングブラスター」


ドシュウン!!


 引き金を引くと、毎度お馴染みの膨大な光……ではなく、シールドバレルを使った時のように一筋の光が銃口から発射された!ネオブラスターユニットにはあれと同じ能力が付随されていたのだ。

「ギャオォン!!」

 前回スティングも見ているヴァイネイジは光の膜を再展開。また全身を覆った。だがやはり……。


バリィン!バシュウン!!


 前回と同じく凝縮された一筋の光はバリアを貫通した。このまま本体と思ったところで前回は翼を盾代わりにして耐えたのだが……。

「ギャオォォン!!」

 今回もまた同じ手!銀色の竜は甲羅と見紛うほどの重厚な翼でさらに身体を覆った!そして結果も……。


バシュ!!


 結果も変わらず。左前方の翼に阻まれて肝心の本体まで届かなかった。正確には前回よりも翼に入ったひびとへこみは大きくなっていたが。

「ギャオ……!」

 ヴァイネイジは前回の再放送に満足したのか嬉しそうにニッと口角を上げたように見えた。その時のことであった。

「スティングブラスター」


バシュウン!!ドゴォッ!!


「――ギャ!!?」

 ナナシガリュウ、スティングのおかわり発射!

 凝縮されたエネルギーは先の一撃で破壊されたバリアを通り抜け、ダメージを受け脆くなっていた左前方の翼を貫き、遂に本体に命中!大きく胸元の肉を抉った!

「悪いな。ネオブラスターならスティングを連射できるんだよ」

「二、三発、立て続けに撃ったら銃身冷却に53秒のインターバルが必要になるのは相変わらずですがね」

「ここで終わらせれば関係無い!ベニ!」

「はい!次の一発で終わらせましょう!!」

「スティング――」

「ギャッ……!!」

「「!!!」」

 刹那、ヴァイネイジの口が光ると、長年の戦いのデータから危機を感じたナナシとベニの身体は意識を飛び越え、反射的にやるべきことを実行した。

「絶対防御気光展開!!」

「くっ!!」

「ギャオッ!!」


ビュッ!!ビュッ!!!


「――ッ!?」

 バリアでは防げず、回避も間に合わず。

 ヴァイネイジが初めて見せるまるでスティングバレットを彷彿とさせるエネルギーを圧縮した一筋の光はナナシガリュウの左肩と右太腿、そしてその背後にあるサブアーム2、3を粉砕した。

「エネルギーを収束してできることを隠していたのか!?」

「もしくはワタクシ達のスティングを見て、学習したか……って、そんなこと言ってる場合じゃありません!もう一発来ます!」

「そうは言ってもまずフルリペアをしねぇと!!」

「回復が間に合わない!?」

「ギャオッ……!!」

 吹き飛んだ紅き竜の腕と脚が目にも止まらぬスピードで再生されていく……が、完全回復より先にヴァイネイジが第三射を。

「おっと!そいつはいけない!!」


ガァン!!バシュウン!!


「リブス!!」

 発射の直前、ギリギリのところでリブスガリュエム強襲!ヴァイネイジの顎を蹴り上げ、とどめの一撃を強制的に空に発射させた。

「悪い。クレナイウイングのアジャストに戸惑った」

「文句の一つも言いたいところだが、助太刀のタイミングが最高過ぎる!」

「まだまだこんなもんじゃねぇ!オレが引き付けるから、その間に回復を!!」


ババババババババババッ!バシュッ!!


「ギャオッ!!」

 目の前を飛び回り、チクチクと攻撃して来る真紅の翼を背負った青緑の竜にヴァイネイジは苛立ち、叩き潰そうと腕を振る。リブスの狙い通り、まんまとナナシガリュウから意識を離すことに成功したようだ。

「フルリペア完了。被害状況は?」

「左肩、右膝の追尾レーザー発射装置破壊、サブアームも2と3が吹き飛ばされてしまいました」

 その間に紅き竜の左腕と右脚は元通りに……とはいかず、本体部分は再生できたがこの決戦のために作った追加パーツは失われてしまっていた。

「まぁ、十分仕事はしただろう」

「ええ、それよりもこの損害を無駄にしないためにもスティングを。先ほどのリブス隊長の不意討ちが決まったことから、ヴァイネイジの感情を読み取る能力は予想通り、複数相手には効果が減少するようですし」

「今度は俺が意表を突けってことだろ。気が散っている野郎に手痛い一発を……!」

 再びナナシガリュウは感情エネルギーをマグナムに伝え、ネオブラスターユニットが特殊な力場を形成すると、間髪入れずに引き金を……。

「ギャオッ!!」

「「「!!?」」」


バシュウン!!


 引き金を引き、スティングブラスターが発射された瞬間、ヴァイネイジは今まで夢中だったガリュエムから視線を移動させ、ナナシガリュウを睨み付けた!

(こいつ……やはり賢い!オレの攻撃は脅威にならないと早々に判断しながら、バカな振りをしてナナシガリュウの攻撃を誘発させた!この射撃は……)

「ギャオッ!!」


バシュウン……


(外れる!!)

 ヴァイネイジはその巨体に似合わぬ華麗なステップでスティングブラスターを回避。それだけに飽き足らず……。

「ギャオッ!!」

 カウンターの一撃を発射……。


ドシュウゥゥゥゥゥッ!!ドゴオォォン!!


「――ギャッ!!?」

 カウンターの一撃を発射しようとした瞬間、右側、リブスガリュエムのいた方向から光の奔流が飛来し、右前方の翼の付け根を撃ち抜いた!

 もがれた翼が地面に落ちると、壊浜が、そしてヴァイネイジの心が揺れた……。

「お前は確かにオリジンズにしては賢い……賢いが、得てして半端に賢い奴ほど動きをコントロールし易いもんだ。オレが合流した時点でナナシガリュウも囮として動く手筈……オレの気配に紛れて虎視眈々とお前を狙っていたもう一人のリベンジャーの一撃のためにな」

 ヴァイネイジの翼を見事撃ち抜いたのはリブスではなく、その背後のスクラップの山に紛れているオレンジ色のピースプレイヤー……。

「グレートサラマンダーバスターは痛いだろ……ファッキンオリジンズ!」

 かつての壊浜の顔役ドン・ラザクの愛機を纏った現顔役、カズヤだ!



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