獅子蟹合戦、竜観戦
それはランボやシルバーウイングと食事に行った日よりも以前の話……。
シルルはヤルダ宮殿の一室でラミロ・バレンスエラと対峙していた。
「貴様が十二骸将にしてくれと乗り込んで来た馬鹿か」
「馬鹿とはひでぇな」
「大人しく帰るように促した衛兵達を叩きのめすような奴を他にどう形容すればいいんだ?」
「あいつらクビにした方がいいぜ。あまりにも弱過ぎる」
(お前が強いんだよ!!)
シルルは心の中で突っ込むに留めた。口に出すのは何だか癪だったので。
「で、オレを十二骸将にしてくれるのか?」
「ワタシにそんな権限はない」
「そう言えば試練だかなんだか受けなきゃ駄目なんだったな。なら、それを受けさせてくれよ」
「駄目だ」
「何でだよ」
「お前の実力ならきっと突破してしまうからだ」
「はぁ?だったらいいじゃねぇか?」
「良くない。かつて腐っても皇帝であったラエンに戦いを挑み、直近で神凪の帝暗殺に加担したような奴を十二骸将という権力まで与えるなど……とてもじゃないが怖くてできんよ」
「あ、そっちか」
「そっち?」
「てっきりオレは、オレの力じゃ物足りないのかって。オレはここの衛兵を一網打尽にできるくらいには強い。きっとあんたと戦っても余裕で勝てるくらいにも強い」
「悔しいがその通りだろうな。ワタシではお前の相手にはならない」
「だけど神凪の近衛の団長相手には無粋な奴が卑怯な罠を仕掛けてなければ、殺されていたし、ネームレスにも……負けた!!」
「ッ!?」
悔しさからラミロが拳を握りしめると、全身からプレッシャーが迸り、一流の戦士と言って差し支えないシルルを戦慄させた。
「おっと……悪いな、つい気持ちが荒ぶっちまった」
「……話し合いの場でそんな殺気を出す奴は十二骸将には相応しくない」
「そっか。やっぱりまだまだ未熟ってことだな。あんたもグノスの民も負け続けの奴にふんぞり返っていて欲しくないよな。心機一転、さらに強くなるためにと里帰りしたんだけどな~」
(こいつは……)
何気なく呟いたラミロの言葉だったが、それがシルルの心に波立たせ、大きな変化をもたらした。
「……今のままではてんで駄目だな。誰も認めない」
「だよな~……ん?今のままではって言った?」
「あぁ言った。気が変わった。しばらくワタシの下につけ。お前が十二骸将の名を背負えると判断したら試練を受けさせてやる」
「そりゃあ嬉しいが、急に負け続けのオレになんで?」
「むしろ敗北を知っているからだよ」
「はぁ?全然わかんねぇ?」
ラミロは頭の上に大量の?マークを浮かべ、首を傾けた。
「結局、あんたが何で心変わりして、オレにチャンスをくれたのかいまだにわからんが、もらえるもんはもらっとくのがオレの主義だからな。きっちり働かせてもらうぜ」
ラミロは腕をブンブンと回しながら、シルルギリュウの前に出た。その顔には満面の笑みが張りついている。
「フッ、ワタシのことなんてどうでも良くなっている癖に」
「バレたか。久しぶりに楽しめそうな相手と出会えたからな。オレもこいつももう我慢の限界だ……!」
舌なめずりをしながら、ラミロは指輪を嵌めた手を顔の前に翳した。そして……。
「猛り狂え!ネメオス・レオーン!!」
咆哮と共に指輪の真の姿を解放する!光と共に出現した銀色の装甲は鍛え抜かれたラミロの身体に装着されていった。
山のように大きく、鋼のように硬い、強さだけが存在証明な銀の獅子、ネメオス・レオーン、鏡星の首都命至に顕現!
「……何か注文があるか?できる限りのことはやるぜ」
「これ以上被害を広げたくない。だからできる限り速やかにあの金ぴかを排除しろ。ワタシがお前に望むのはそれだけだ」
「OK。んじゃ、ちゃっちゃっと始めましょうか」
N・レオーンが肩で風を切りながら歩き出すと、それに呼応するように金色の蟹人間スーパークシミヤも銀色の獅子に向かって歩を進めた。
「舐められたもんだな。この私にすでに勝った気でいるのか?」
「気分を害したなら謝る。だが、オレはお前ごときに手こずってる場合じゃないんでな」
「そういう強い言葉を使う奴を私は何度も叩き潰してきた」
「外ればっかり引いて来たんだな。良かったじゃねぇか、最初で最後の大当たりだぜ、オレは」
「どうだかな」
両者はお互いに手の届く距離まで近づくと、足を止めて、真正面から睨み合った。そして……。
「さてと……始めますか?」
「あぁ……精々私を楽しませてくれよ!!」
ゴスッ!!
「「――ッ!!?」」
同時にパンチを放つ!凄まじい衝撃が両者の全身に走り、強制的にお互いを後ずさりさせた!
「このオレを後退させるか……!!」
「いいじゃないか……いいじゃないか!お前!!」
「あんたもな!!」
ゴスッ!!
「――がっ!!?」
「ぐっ!?」
再び接近してパンチ!結果は変わらず、銀と金の巨体がたじろぎよろめいた!
「腰の入ったいいパンチを打つじゃねぇか……!」
「初めて褒められたよ。私の攻撃をまともに受けた奴は良くて悶絶、ひどい時はそのまま絶命して、感想なんて言える状態じゃなかったからな」
「はっ!本当に運がねぇ!いや、あるのか?そんな雑魚どもとばかり戦ってよ!!」
ガギッ!!
「「――ッ!!?」」
続いて、ローキック!お互いに軸足に強烈な蹴りを食らったが、どちらも揺るがない。
「脚も硬いな……!」
「そっちもな」
「打撃戦だと時間がかかりそうだ」
「では……斬り合いといこうか」
そう言うと金色の蟹は自慢の鋏をジャキンと広げた。
「最初に見た時から思ってたけどよ……お前、じゃんけんは弱そうだな」
「そんなことはないよ。だって私のチョキはあらゆるグーを斬り裂く!!」
この戦いで初めてスーパークシミヤが先んじた!自慢の鋏でN・レオーンの首を切りつけようとする!
ガッ!!
しかし、鋼の獅子は相手の手首に腕をぶつけガード。さらに……。
「そんななまくらで粋がるな!てめえのチョキよりオレのパーの方が切れ味いいってんだよ!!」
反撃の貫手!真っ直ぐ揃えた指先をスーパークシミヤの首に抉り込……。
ヒュッ!!
「!!?」
抉り込もうとしたが、あっさりと避けられてしまった。
「ショックか?だけどこれが現実!私と貴様の力の差だ!!」
スーパークシミヤは今度は下から鋏を斬り上げる。
「ちっ!!」
対するレオーンは咄嗟に回避運動を……。
ガリィィィィン!!
「……な!!?」
回避運動を取ろうとしたが間に合わず。銀色の表皮が抉られ、キラキラと目の前に舞い散った。
(これが噂のブラッドビースト特有のキレとノビって奴か……!?それとも……とにかくここは一旦距離を取って態勢を立て直す!!)
獅子は地面を抉れるほど蹴り、一気に蟹から離れた。
「逃がすか!!」
ビシュウッ!!
だが、それをただ見ているクシミヤではない。鋏から高圧水流を発射した。
「ヴリヒスモス!!」
レオーンは対抗するように全身から衝撃波を発生させる。結果……。
バシュウン!!
高圧水流は弾き飛ばされ、両者の間に小雨が降ることになった。
「獅子斬衝!!」
ザンッ!!
それをかき消す爪撃!振り抜かれた獅子の爪から放たれた衝撃波は雨粒を蹴散らしながら、スーパークシミヤに迫る!
「いい攻撃だ……だが、当たらなければ意味はない!!」
「くっ!?」
言葉の正統性を証明するかのようにクシミヤは衝撃波の間をくぐり抜け、再びN・レオーンの目と鼻の先まで接近した。
「野郎!!」
銀の獅子が迎撃のパンチを放つ!しかし……。
「効かん!!」
ガァン!!
「――ッ!?」
金色の甲殻には傷一つつけられず、逆に腕を痺れさせる情けないことに……。
(レオーンの打撃がここまで通用しないなんて、いくらなんでも硬過ぎだろ!?どうなってやがんだ!?)
「残念だよ」
「ッ!?」
「結局、貴様も私を満足させる戦士ではなかったようだ!!」
ガリィィィィン!!
「ぐっ!!?」
振り下ろされた鋏は銀色の表皮に新たな傷を刻みつけた!いや……。
「はあぁぁぁぁぁッ!!」
ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!!
新たな傷を刻みつけまくる!攻撃は単発では終わらず連続で畳みかけられた!獅子の身体は金色の鋏によってどんどんと削ぎ落とされていく!
「この!好き勝手しやがって!!」
N・レオーンも黙ってやられっぱなしでいるわけない!傾いた戦況をひっくり返してやろうと、こちらも絶え間無く打撃を繰り出し続ける!しかし……。
ヒュッ!ゴスッ!ヒュッ!ゴスッ!ゴスッ!!
獅子の拳は、貫手は、蹴りは時として躱され、時として強靭な甲殻によって防がれ、一向にダメージを与えられなかった。
「てめえ……きっちりヤバそうな関節への貫手は避けて、逆に打撃はオレの無力さを煽るためにわざと当たって……性格ねじ曲がってんな!!」
「意地悪の一つでもしたくなるさ……こうも期待を裏切られてはな!!」
ガリッ!ゴスッ!ガリッ!ヒュッ!ガリッ!!
至近距離での激しい撃ち合いは素人目には拮抗しているように見えるが、よくよく見ると傷が増えるのは銀色の方だけ……N・レオーンが苦戦を強いられているのは明らかだった。
そんな彼の姿を、シルルは……。
(面白いな……!)
非常に楽しんで見ていた。
(やはり格闘技はヘビー級に限る。あの重い打撃音を聞く度に血の気が引いて行く感じがたまらん!アイムの前では口が裂けても言えんがな)
アールベアーとウルスブランの時とは打って変わって、シルルは立場を忘れ、一人の視聴者として二人の強者の戦いを心の底から楽しんでいた。
それもそのはずあの時と違って彼女はこの戦いがどうなってもいいのだ。
(悲しいが、秩序を守るためには暴力が必要なのが現実だ。特に混乱し、実権を握ろうと狙っている者が蔓延っている今のグノスにはな。バレンスエラがそれらの抑止力になる圧倒的な暴を見せてくれるなら、それはそれで良し。我が下で存分に働いてもらおう。だが、いまいち信用できんあいつがあの金ぴかに負けてくたばるなら、それもそれで良しだ。危険分子を排除する手間が省けたと大いに喜ぼう。今のところワタシ的にはどっちでもいい。ただせめて負けるなら、クシミヤにダメージを入れてから負けて欲しいものだ――)
「オラアッ!!」
バギィン!!
「――がはっ!!?」
「………え?」
シルルの想いが通じた……というわけではないが、N・レオーンの放ったボディーブローがスーパークシミヤの甲殻を粉々に砕いた。
「……やっぱりそうか」
何かに気づいた獅子は拳を引き抜くと、感触を確かめるように、握っては開いてを繰り返した。
(こいつ!!のんきに!!)
その姿はクシミヤには挑発に見えて、彼を激昂させた!
「まぐれ当たりくらいでいい気になるなよ!!」
スーパークシミヤは怒りに身を任せて、獅子の首を切断しようと、左の鋏を広げた……が。
「オレのパーはチョキより強いって言ったよなぁッ!!」
ザシュウゥゥゥゥゥゥゥッ!!
「ぐっ、ぐぎゃあぁぁぁぁぁっ!!?」
獅子の貫手が開いた鋏から侵入し、左腕を縦に引き裂いた!
思わず悲鳴を上げるクシミヤ!だが、同時に戦士として芯まで染み込んだ経験が反射的に身体を動かした!
「この野郎!!」
反撃の蹴りを放つ!その蹴りのスピードは先ほどまでN・レオーンを一方的に嬲っていた攻撃と遜色なく、普通に考えれば、綺麗にヒットするはずなのだが……。
「おっと」
ヒュッ!!
「なっ!?」
いとも容易く躱され、逆に……。
「うりゃっ!!」
ゴンッ!!
「――ッ!!?」
逆にカウンターパンチを顔面に叩き込まれ、スーパークシミヤは吹き飛び、無様に地面を転がった。
「こ、この私がこんな一方的に……!?」
「不思議だよな。一気に逆転されてよ」
「くっ!?貴様何を……!?」
「いや、ちょっとズレを調整したんだ、ズレをな」
「ズレ?まさかブラッドビーストの反射速度にこの短時間で対応したというのか!!?」
「まぁ、そういうこったな」
その声色には一切の淀みもなく、ラミロがはったりではなく事実を述べているのは明らかだった。
「あり得ない……私の反応スピードについて来るなど……」
「ん?何か勘違いしてねぇか?」
「え?」
「オレが攻撃や回避のタイミングに苦労したのは、お前が速いからじゃねぇぞ。むしろその逆で遅いからだ」
「……は?」
その声色もまた淀みがなかった。ラミロ・バレンスエラは決して挑発や侮蔑ではなく事実を語っているだけ……だからこそクシミヤ的にはタチが悪かった。
「ふざけるな!!言うに事欠いて私が遅いだと!!?」
「あんたの反射速度は一流だ。それは素直に認めるよ」
「なら!!」
「だけど幸か不幸かオレは超一流のスピードを持った奴らと立て続けにやり合ったんでな。そいつら相手にイメトレしていたからあんたの動きはどうにもトロく見えて、うまいこといかなかった」
「この……!!」
クシミヤはこれまでに感じたことのない怒りを感じていた。そしてその限界を超えた怒りが彼のアイデンティティーでもあるプライドを捨てさせる。
「……いいだろう。結果としてこの様だ。貴様にとって私の動きは緩慢極まりないのだろう……」
「わかってくれたか」
「だとしても最後に勝つのは私だ!!」
スーパークシミヤは飛び起きると、即座にN・レオーンに突撃!無事な右の鋏を振り上げた!
「だから遅いんだって」
それに対して辟易しながら捌こうとするレオーン。その時だった。
「はあっ!!」
ブシャアァァァァァァァァッ!!!
「――うおっ!!?」
クシミヤは口から泡を吐き出し、獅子の目を覆った!N・レオーンは眼前に泡のアイマスクを張り付けられて、視界を遮られ、敵の姿を見失ってしまったのだ!
(見えなければスピードもくそもないだろ!!私をここまでコケにした報い……その命で償え!!)
視界を奪われたレオーンの左側に回り込むと、クシミヤは容赦なく右の鋏を繰り出した!
ヒュッ!ガシッ!!
「……へ?」
しかし完全なる闇討ちだった鋏は易々と避けられ、さらにクシミヤの右を取ったN・レオーンは左の逆手で敵の手首を掴み、引き寄せると……。
「オラアッ!!」
バギバギィィィィィン!!
右肘を上からクシミヤの右肩に叩き込んだ!
「ギャアァァァァァァァァァァァッ!!?」
砕け散った自慢の黄金の甲殻の中で、だらりと力を入れることのできなくなった右腕を垂れ下げながら、クシミヤは夜空をつんざくような悲鳴を上げる。
「うるせぇよ」
ガシッ!!
「――むぐっ!!?」
そんな彼の口を、というより顔を獅子は右手でわしづかみにして黙らせた。
「ん!んん~ッ!!?」
「ん?なんでお前の動きにオレが対応できたかって?さっき言った超一流の奴らの目眩ましを食らって酷い目にあったからな。視界を奪われても、気配で相手の動きを探る訓練をしてたのよ」
そう言いながらN・レオーンは泡を左手で拭い取った。
「ふぅ、これでお前さんの最期をこの目で見ることができるぜ」
「ん!!?んんん~ッ!!?」
「え?なんて言ってるんだお前?」
「んんん~ッ!!?」
「まさか命乞いか?」
「ん!んん!!」
クシミヤは小さく頭を縦に振った。
「やっぱり違うか。あんだけ啖呵を切ってそんなみっともない真似できるはずないもんな」
「んん~ッ!!」
クシミヤは小さく首を横に振った。
「では、リクエストに応えて……気高き戦士としてお前の人生を終わらせてやるよ……!!」
ビキビキ……
「んん~ッ!!?」
獅子がゆっくりと指に力を込めていくと、クシミヤの顔に稲妻の亀裂が走り、乾いた音が鳴り響いた。そして……。
「んんん~ッ!!んんんん~ッ!!」
「レオーンフィンガー……!!」
バギィン!!!
まるで果実が潰された時のように、内から汁を撒き散らし、弾け飛んだ。
司令塔である頭を失った身体は膝から崩れ落ち、黄金の輝きはくすんで、薄汚い灰色へと変色してしまう。
それが紅涙会最強と目された男のあまりにも惨めでむごい最後の姿である。
「ちょっとばかし舌が肥え過ぎたかな……悪くはねぇが、ちと物足りない」
駄目押しと言わんばかりの感想を呟くと、手についたカニ味噌を払いながら、銀色の獅子は灰色の竜の方を振り返った。
「んで、お気に召しましたかな?」
「概ね満足だ。ただ……」
「ただ?」
「貫手をパーというのは、なんか違くないか?」
「……はっ!」
思わず銀色のマスクの下でラミロは苦笑いを浮かべた。
「フィニッシュはこの手で握り潰したんだから、それで勘弁してくれ」
「まぁ、ぶっちゃけ敵を排除してくれれば何も文句はないんだかな」
「なら、グノスに戻ったら、試練を受けさせてくれるか?」
「それはまだ駄目だ。もう少し様子見してからな」
「うへぇ……まっ、今日みたいに強い奴と戦わせてくれるなら、別にいいけど」
「あんな奴、ポンポンと現れては困るわ。というかまだ戦いは終わっていない。他の場所に応援に行くぞ」
「へいへい」
銀色の獅子を後ろに従え歩き出す灰色の竜。その仮面の下でシルルは口角を上げることを止めることはできなかった。
(予想以上だ!強いとは思っていたがここまでとは……なんと嬉しい誤算!何より先の敗北を糧にできているのがいい。マイナスの状態から立ち上がろうとしているグノスに相応しい……!ケヴィンさん、ヘーグルンド殿にこのバレンスエラ……もしかしたら次の十二骸将は歴代最強の布陣になるかもな)
「フフフ……」
いずれ完成する理想の軍を夢見て、シルルの心は高鳴る。そして彼らがもたらす祖国の栄光を思い描くと……やはり笑わずにはいられないのだった。
(え?こいつ、なんか一人で思い出し笑いしてる?ちょっと気持ち悪いな……十二骸将になるのやめようかな)
その後ろで肝心のラミロの心が離れていることを露知らずに……。
「フフフ……」
(また笑ってるよ……)




