私が知っている旅と違う。
「小さい頃は可愛かったんです。」という事か。
……力の差が有り過ぎて、良く言われる動きがスローモーションってやつで、欠伸が出るとは良く言ったもんだ。
「うおおおーーー!」
俺に突っ込みながら剣を上段に構えているけど、コレって「最初の一撃は上段からします。」って言う予告と一緒なんだよな。
ヒョイって躱して足を出し転倒させた。
「あ……ぶへぇ!」
本当なら、ギリギリに躱して回し蹴りが伝統なんだが、あまりにも弱すぎて、出来なかった。
……こんな雑魚を殺さないといけないのか?
良く漫画やアニメで、クズ野郎相手に「こんな奴、殺す価値も無い!」って言われるシーンとかが有るけど、少し気持ちが分かってしまった。
こんな事を考えながら、顔を怒りで赤くしたガシュナの攻撃を躱しながら、身体に掠り傷を負わしていく。
……そういえば、式がまだ途中だったな。
仕方ない、自分の価値が下がる様な感覚が半端ないが、サクッと終らすか。
それに、上の出入口付近に人の気配がするしな。
「ちょこまかと避けるなぁ!」
「避けるのは当たり前だ。」
「くそ~。この! くの! くぉの!」
「覚悟は出来てないが、『行く』か。」
「何が『覚悟』だ。これから貴様が殺される『覚悟』か!」
「いいや。お前を殺す覚悟だ。」
「貴様が死ね!」
ガシュナの渾身の一撃も軽く躱して、ちょっと力を出して、後ろに回り、腰に近い脊髄を破壊する。
「覚悟は良いな?」
腰に近い脊髄を破壊した為に、下半身は動かず、這う様に逃げようとするガシュナの心臓に目掛けて剣を突き刺そうとすると、上の出入口付近に居た誰かが、駆け寄り身を挺してガシュナを庇う様に被さる。
「止めてください!」
「ビ、ビナ!?」
「ガシュナ様、もうお止めください。」
「何を言うか! まだ勝負は終わっていない!」
「いいえ。終わりました。もう立ち上がる事すら出来ないではないですか。」
此処でお開きが良さそうだな。
「ウーダン子爵様。無関係なメイドは殺せないので、もう良いかと思いますが?」
「……そうだな。」
「ですから、公式に『病死』でお願いします。」
「……分かった。」
この後は、人を呼んでガシュナを運び出し、自室に監禁する事になった。
その後は、俺達やウーダン子爵は、パーティーに戻り、表面上は心配する振りをしていた。
あの後からは、パーティーは滞りなく終わり、翌日には俺達は出発した。
俺達が聞いた予定では、俺達が出発して3日後に正式にガシュナの病死が発表される。
後は、知らね。
俺達は出発したが何処に向かっているかと言うと、ガイラの故郷に向かっている。
大体の位置は、レビィンドラの町から北の方向だ。
北に向かうと鉱山の街「アイアジュエ」がある。
そこは、鉱物や宝石の原石が採れる事で有名な街らしい。
先ずはその街に行き、許可を取らなければダークエルフ達が居る場所に行けない事になっている。
昼頃になり、街道の休憩場に到着した俺達は、昼食の準備を始めた。
普通なら、ここでラノベとかの主人公が、「何か狩ってくるよ。」とか言い出すのだが、俺だと逃げられるからなぁ。
お陰で道中は、ゴブリンとかに絡まれる事が無い移動でした。
ティアが、「私が知っている旅と違う。」とか言っていたげど、旅の邪魔が無い事は良い事だと思うよ。
そういう訳で森の中に入るのは、キサラになりました。
1時間後、焚き火には、串焼き中や鍋に、キサラが狩って来たラビット系の肉を使っている。
匂いに釣られたのか、少し離れていた他の人達が寄って来た。
「旨そうな匂いだな。」
「もし、良ければくれないか?」
「消えな。」
「待て待て! 勿論、只とは言わないさ。幾らだ?」
「個人用の器1つで銀貨1枚。」
「ふざけるな!」
「嫌なら諦めろ。」
「んな……」
「いや、頂くよ。はい、銀貨1枚。」
俺達の飯の匂いに釣られた連中は、商人の護衛中の冒険者で男5人組だ。
たぶん、リーダー格が抑えたお陰で争いが表面化せずに済んだのだが、運が悪い事に同じ進路だった。
道中、適当に理由付けては、「俺のティア」に話し掛けてくる。
……魔界の悪魔ですら、「鬼畜!」とか「冷血!」とか言われる拷問魔法を掛けたろうか!
そんな訳でイライラしながら、進んで行くと本日の夜営場に到着した。
ティアは、ルシアと2人組の冒険者「翼の追及者」時代の塩対応でいたが、向こうは仕事中の凛々しい対応と勘違いしていて、無意味に盛り上がっていた。
流石に向こうも依頼人を無視する訳にもいかず、大人しくしていたが、夕食後の自由時間になると動き始めた。
「ねえ、ティア……」
「名前呼びを許していませんが?」
「そんな事、言わずにさぁ。同じ目的地みたいだから、仲良くしようぜ。」
「遠慮します。」
「ティアがそう言っている。鬱陶しいから消えろ。」
「ガキは黙ってろ!」
「なあ、そんなおっさんやガキと居てもつまらないだろう。」
「そうだぜ。オレ達はそれなりに名の通ったCランク冒険者だぜ。」
「ああ。そこの奴らよりオレ達の方が強いぜ。」
「私達には必要無いわ。」
……そんなやり取りをしていると、周りの森の空気が変わった。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




