御気分が優れないのでしょうか?
トラブルさんが向こうの方からやって来る。
暫く、後を歩いていると、狼人族5人組は止まり、俺達も止まる。
「少し此処で待っておれ。先触れを出す。」
キサラが相手した奴が逃げる様に駆けていった。
10分以上待っていると、戻って来て、「行くぞ。」と言うからまた付いて歩いた。
「此処が、我らの村だ。」
思っていた以上の文化的な村だな。
「皆!」
ファラが笑顔で俺達に駆け寄った。
「ファラ、3日振りだな。元気か?」
「ああ。ようこそ、狼人族の村へ。」
この後はお決まりの流れで、ファラの案内で長老への挨拶から始まり、ファラのお母さんにはファラのお婿さん扱いを受け、ファラのお父さんからは敵認定を受け、「猫人族は消えろ!」発言をした奴らを全員を地面にキスさせ、ティアやキサラに求婚した奴らを全て叩き潰した。
その中に、次期長老の息子が居たから、次の次期長老候補に上げられ、辞退するのに、狼人族の野郎共を全てを降した。
……ルシアには誰も来なかった事は、永久封印で話が着いた。
そして、強さを見せ過ぎた為にフラグが立った。
「ゼロさん。少し話があります。」
と、ファラに言われて空き家の1つに入る。
空き家の割に綺麗だし、誰かが使うのかと思える形で整えられていた。
「どうした?」
「実は、今日。もう少ししたら、招待した人達が来るのですが、その人達と協力して欲しいのです。」
「どういう事だ?」
「私が3日前に領主の所に行ったのは、救難要請の為でした。」
「そうだったのか。」
「はい。お陰様で、盗賊に捕まった時はどうなるか分からなかったのですが、ゼロさん達のお陰で、無事に救難要請は通りました。」
「それは良かったな。」
その時、また遠吠えが1つ聞こえた。
「合図の声が聞こえたから、もう直ぐ、此処に来るよ。」
ファラが此処で落ち合うから待ってて欲しいと言われたので、待つ事にした。
ファラからの説明で、この空き家は、これから来る人達用に準備した家らしい。
中の調度品を見ると、かなり偉い人みたいだし、女性かな?
待っていると、外が騒がしくなり、その騒がしさは段々と近付いて来た。
すると……
「どうかされました?」
「御気分が優れないのでしょうか?」
「いえ。大丈夫です。」
そんな声が聞こえて来た。
そして、家の前に到着したみたいだ。
「本当に大丈夫ですか?」
「そうですよ。そんなに汗も掛かれて。」
「大丈夫です。皆、用意した紅い布は有る?」
「……はい。聖女ミケル様。」
聖女ミケルside
私はダンジョンの街「ドラドルーエ」の神殿を預かる聖女ミケル。
数日前に、この街の領主ガルバンさんからの使いが来て、「討伐依頼書」を渡されたわ。
内容は、東の森に狼人族の村があり、そこに悪魔の群れが現れたらしい。
まあ、悪魔と言っても、情報通りなら私達聖女が聖術を使えば、それ程苦労無く討伐出来るわ。
何故なら、彼らが見た悪魔は悪魔ではあるけど、「劣等悪魔」と呼ばれる存在で、外見はモンスターの熊と牛と虎を足した様な感じで、悪魔のなり損ないで知性が低い。
それでも、劣等悪魔が、10匹も居れば聖女が居ない状態だと、3時間あれば王都が廃墟になってしまう。
劣等悪魔が1匹に付き、最低でも、Bランク冒険者パーティーが3組は必要になるわ。
だから、劣等悪魔が出現した場合は、私達聖女が討伐する事になっている。
準備を整えて、狼人族の村に到着したのだけど、妙な寒気がしますね。
村の方に案内をして頂いているのですが、目的地らしき家に近付く程、この寒気が強くなってきます。
此処まで来れば、大聖女じゃない私でも分かります。
少なくとも、子爵……いえ。伯爵級以上の強さを感じます。
なんて事なの!
何時からは分からないけど、この村には悪魔が潜んでいるわ。
しかも、恐らくは、目の前の家の中に。
周りが何とも無いのは、潜んでいる悪魔が外見を、狼人族とかに変えているからだわ。
聞いた事は有るわ。
上位悪魔は自分の姿を自由に出来ると。
「どうかされましたか?」
「御気分が優れないのでしょうか?」
「いえ。大丈夫です。」
何も知らない村人に不安にさせる訳にはいかないわ。
……でも、家の目の前まで来ると強く感じるわ。
「本当に大丈夫ですか?」
「そうですよ。そんなに汗も掛かれて。」
「本当に大丈夫です。皆、用意した紅い布は有る?」
「……はい。聖女ミケル様。」
この「紅い布」とは、周りにバレない様にする必要が有る場合の私達の間での使う隠語で、悪魔が居て、命を捨てて戦う時に伝える言葉。
それが分かっている神殿騎士の皆の表情は青くなり固いわ。
そして、家の中から誰かが出て来て、思わず「ヒィ!?」と漏らしてしまったけど、どうやら、村の住民のようね。
それと、この狼人族の少女に家から少し離れて欲しいと言われたけど、どういう意味かしら?
とりあえず、家の中がどんな状態になっているかも聞けずに指示に従う。
少女が再び、家の中に入る。
あの少女は何故、無事なのかしら?
洗脳されている様に見えないわ。
更に、少し経つと、中から数人の少女達が出て来た。
家から感じる気配は動いていないから、多分、彼女達は悪魔じゃないわ。
……そして、猫人族の少女が何か持っていて、それが手紙だと分かると、その手紙を私に渡した。
読んで良いって事よね?
手紙には、衝撃的な事が書かれていた。
ゼロside
……あ~、はい。
限定された名称が出た事で、ティア達は俺から離れた。
ヒドイわ。
……調度品や家が壊れたら困るだろうなぁ。
「ファラ。」
「何?」
「外に居る方々に、少し家から離れた所で待つ様に言って貰えるか?」
「は、はい。」
そして、ファラが扉を開けると、「ヒィ!?」と悲鳴を上げた後、ファラは外に出て、俺の言った事を伝えてくれた様で、聖女達の気配は離れた。
「離れて頂いたよ。」
「ありがとう。」
外に出て、自己紹介は……無理だな。
俺は、何時もの「手紙」をリンに渡して、ティア達には出て貰い、俺だけが家に残った。
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