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第103章第5話【問題用務員、現実を見せる】

 そんな訳で、本日の夕飯である。



「新鮮な魚介類が食料保管庫にあったので、本日はシーフードパエリアです。ショウ坊がこの前食べたいって言ってたから」


「わあい」


「ユーリ完全復活だね!!」


「よかったワ♪」


「覚えておいてくれて嬉しい」


「今日も美味しそうです、母様!!」



 巨大な鉄鍋に魚介類と米を一緒にスープで炊き上げたシーフードパエリアに、問題児と聖女様のスプーンが殺到する。

 米の硬さと魚介類の旨みを同時に味わうことが出来て、全員満足げであった。ユフィーリア自身もまともに食事当番を全うできてよかったと安堵している。


 小さな口いっぱいに米を頬張るリリアンティアは、



「でも母様と学院長様がそのようなことになっているとは、身共も知りませんでした」


「アタシもまさか暗示にかかってたなんてな」



 入れ替わり騒動の正体は、まさかの階段から落ちた衝撃による暗示だったとはユフィーリアも想定外だ。結果として簡単に戻ることが出来てよかったが、あの時の衝撃を忘れることは今後ないだろう。

 出来れば二度とご遠慮したい事件である。頭を何度もボコスカとぶつけると、本格的に馬鹿になりそうだ。


 リリアンティアはふとユフィーリアを見つめ、



「……母様と階段から一緒に落ちれば、身共は母様と入れ替わることが出来るのでしょうか?」


「リリア?」



 不穏なことを言い始めた聖女様にユフィーリアが眉根を寄せると、その横でハルアが何かに気づいたような表情を見せた。



「じゃあオレはエドと一緒に落ちればエドになれるってこと!?」


「ならば俺は父さんと一緒に落ちて父さんになれば背が高くなる……!?」


「身共も胸が……夢の巨乳になれますか……!?」



 お子様たちが希望に満ち溢れた表情で目をキラッキラと輝かせる様を眺めていた大人組は、互いの顔を見合わせた。



「そう都合よくいかねえよな」


「だよねぇ」


「世の中って上手くいかないものヨ♪」



 とりあえず、世の中を都合のいいように考えている夢見るお子様たちの目を覚させる為にも、ユフィーリアたち大人組は彼らの脳天をぶっ叩いて正気に戻してやるのだった。

《登場人物》


【ユフィーリア】もう入れ替わりは懲り懲り。

【エドワード】入れ替わるんだったらグローリアか、ショウがいい。道具を借りずに空を飛びたい。

【ハルア】入れ替わるなら断然エドワード。高い位置からの景色が見たい。

【アイゼルネ】入れ替わるならユフィーリア。魔力量が少ないので、大量の魔力を使ってショーを1人で完遂したい。単独ライブ♪

【ショウ】入れ替わるならキクガ。ハルアと理由は同じ。


【リリアンティア】入れ替わるならユフィーリアかアイゼルネ。夢の巨乳美女な大人になりたい。

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