分担小話 アイシャの気まぐれ人助け
─アイシャ視点─
いやぁ、不本意ながら人の手伝いをするほど屈辱的な事ってないよね。誰かにこき使われてさ。なんで自分よりも弱いヤツに服従しなきゃならんのか、これが分からない。
ただ単に街をほっつき歩くのは退屈なだけ。困ったときは、集会所へ行けば良いのさ。酒を飲むのもヨシ、つまみを齧るのもヨシ。冒険者や受付嬢にちょっかい出すのもヨシ。
でも、流石の私でも自重はする。必要の無い揶揄いは、戦を生むと、ここ最近学んだ。
「相変わらず野郎ばっかだねぇ」
変わり映えしない、相変わらずの憩いの場。
やることねぇし、疲れない依頼でも請けるか。
……私が単独行動しているのが珍しいか。断続的に視線を感じるんだが。
ところで、アイツら何を頼まれたのかな? 手伝いってからには、雑用か仕事の補助か。どちらにせよ、私の性に合わないね。
「依頼、どうしよっかな」
どこを見ても駆除討伐。強いて変化があるとすれば、その駆除討伐系統の依頼が多い事だ。いつも以上に殺到している。
その殆どがエルメス城の周辺。勿論、遠く離れた地域からの依頼もあるが、比べて圧倒的に上回っている。
「皆々様にご報告があります」
受付奥の扉から、ギルドマスターと言う名のオジさん……ではなく、若く気品のあるお姉さんが出て来た。随分焦った御様子だ。いやぁ、仕事って大変そうですね。
「近々、『大地』の復活が訪れます。しか、今現在の設備や物資では太刀打ちが出来ない状況下にあるのです。そこで、皆々には資源の調達を依頼します。報酬は出来高制となります。是非とも、よろしくお願い致します」
ぺこりとお辞儀をして、また奥へ戻っていった。
「おい、どうする?」
「は? 別にやる必要なんてねぇよ。蓄えなんて一ヶ月以上もあるしな。やることなんて、ここで飯食って酒飲んで……」
考える脳がないのかな。冒険者らはカニで儲かったばかりだろ。炭鉱夫の真似事なんて、裕福になった今じゃやるヤツなんているはずが無いだろ。
……そもそも、『大地』が復活するってんだったら、一般人の避難とかを優先すべきだろ。
あと、多額の報酬金で釣るんだったら超有能な魔法使いとか雇えよ能無し国家様が。燃料補給よりも、圧倒的にコスパいいだろうがよ。
終わってんなこの街。夜逃げの準備しとこっかな。
「……これにすっかな」
脱力しながら、依頼が載せられた紙を引き剥がす。いつものように、左端の受付嬢さんへ依頼の申請を。
「あ、アイシャさん……ですか」
「おうよ。そんな気まずそうな表情するなって。取って喰う事もねぇしよ」
「あはは、では依頼の確認を……プフッ!? あ、あなたがコレを!?」
「おい笑うなコラ。『お前には似合わねぇ』ってか? 割と深刻だろコレ」
「い、いえ……プフッそのような否定は……プフフッ……」
なんだこのアマ。ここがバトルリングだったら、顔面にエルボーかましてたぞ。
プルプルと笑いを堪えながらも、朱肉に判子を沈ませ、紙にタンッと押した。
「で……では、『迷子捜索』、頑張ってプフフッ」
「おうこらそのデケぇ乳揉んでやろうか? ……たくよぉ」
気分を害したので、これは慰謝料を請求しなければ。集会所にも個人にも訴訟を起こして、徹底的に地の底へ叩き落としてやる。
……てのは冗談だが。私流ジョークってやつだ。
「……そうだ。おい受付嬢、私の好評を広めといてくれねぇか? 少しでもイメージを向上させてぇんだ。生活し辛いからな」
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