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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第三章 [自然の摂理は波瀾万丈]
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分担小話 店主さんのお手伝い

「うーむ。迎撃するには火力が不十分……火薬も冒険者も心もとない。討伐は愚か、撃退すら可不可不定。他国に救援を求めるか……うーむ。」


 ギルドマスターは部屋を彷徨うろつき回り、最適解を導き出していた。珍しく苦渋に満ちており、女性役員は不器用に少々驚いた。嵐でも来るのではないかと。


「……よし、ゲイルよ」

「ケイルです」

「冒険者に火薬や燃料の採取依頼を進呈するのだ。急速な事態、貿易船にも可能な限り要請し、物資を確保しろ。大陸内の商人にも伝達せよ。エルメスが壊滅されては、安眠出来るベッドが怪物の庭になってしまうのでな」

「了解しました」




─隠れた雑貨屋─

 お客様用の机を囲む、店主さんと俺。アイシャとロンゴは、もう一つの机を挟んでボードゲームで再戦をしている。


「しっかし驚いたよ。君とルイシュが同じ村出身だなんて。もしかして君も、実は隠された能力があるとか?」

「これっぽっちもないです。そんじょそこらにいる、一般男性と同じスペックしかないんだな、これが」


 れて頂いたコーヒーをグイッと飲み、自分の才能の無さを痛感する。


「へ、へー……てっきりエルメンの村出身の人は多才なのかと……あ、そうだった。君たち、私の仕事、手伝ってくれないかい? というか、手伝う約束だから手伝ってね」

ガタッ……スタスタ……ギイッバタンッ。

「「「……………………」」」


 絶句。


 アイシャは『仕事を手伝う』と聞き入れると、対戦相手を放置して席を立ち、一心に扉へ向かい、縛りのない自由へ歩み出した。


「……二人は手伝ってくれるよね?」

「そりゃもちろん」「合点承知!」


 赤髪に制裁の鞭を打つのは、帰還後すぐにしよう。……と思っても、いつもやってないが。


「でね、内容なんだけど……護衛をしてもらいたいんだ。ちょっと遠くのお得意様に、要望の商品を配達しなくちゃいけなくてね。でも道中は怪物だらけ、そこで君たちだ」

「だったらよぉ、依頼として貼ればいいじゃねぇか?」

コレ(・・)が掛かるんだよ」


 店主さんは人差し指と親指をくっつけ、小さな輪っかを作った。


「あー……」


 人間による『金』を意味するジェスチャーを理解する鬼人オーガ


「本当は全員来て欲しかったけど、銀髪のセリスは無理だね……」

「店主、これって無償でやれってことだよな?」

「あったりまえじゃん」

「そうですか」


 護衛か……俺に出来るのは危機察知ぐらいかなぁ……。剣を振り回すだけでも効果はあるだろうけど、隙を晒す大間抜けになるからどうしたものか。

 急襲は全部ロンゴに任せて、俺は店主さんの荷物管理とでもいこうか。


「……ん? なぁおい、確かオメェ、転移魔法テレポートが使えるねーちゃんの知り合いだろ? だったら送ってもらえりゃいいじゃなぇか?」


 俺も思った。わざわざ危険な旅路を通らずに、一瞬で行って帰れる転移魔法テレポートを使った方が圧倒的にリスクがない。

 結局、本人が一番理解しているだろうし、何かしらの理由があるんだろう。


「ルイシュに悪いなってのもあるけど、一番の理由はルイシュ本人なんだよね。彼女は魔法を乱用するのを良しとしない性格だから、私も無闇矢鱈むやみやたらに使わない方針にしてるんだよ」

「その割には転移魔法テレポートを多用してたけどな、あのねーちゃん」

「あれは緊急事態だったから、しょうがないのさ。……じゃあ行こうか。結構な長旅になるから、荷物をまとめといてね」

「長旅ってどのくらい? 片道一日ぐらい?」

「んー、休憩も入れて二日ぐらいかな?」


 あーやだなー。

 屋根裏で、必需品を指差し確認をして準備万端にする。セリスは『うーんうーん』と蚊のようにか細い声で唸っている。

 女子専用と査定された禁足地は、御用だとしても侵入が許されないため、カーテン越しにお出掛けの挨拶をする。


 聞こえているか分からないが、留守番とアイシャを頼んだぞと布告。女の子一人は無用心にも程があるが、こんな所を泥棒する物好きはいないだろ。


 店主さんは、袋小路で荷車に商品を積み重ねていた。雪崩なだれが起きぬよう布を被せ、太めのつなで固く締め付ける。


「うん! 支度は終わったね? じゃ、出発しましょ」


 さて、赤髪は職務放棄したが、愉快で不快な長旅が始まる。


「どんな怪物が襲ってきても、オレ様の魔法でイチコロよ」

「おいバカやめろ。絶対使うなよ? 絶対だからな?」

「……?」



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