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出口の見えない地下鉄
彼の家は地下鉄の終点にあった
プライベートでも会うようになるのは時間がかからなかった
日の当たらない暗い一筋の線路をひたすらまっすぐに進む電車
地下鉄に揺られながら私の心臓は激しく動いていた
真新しいマンションを訪ねる
男性のわりにはとても綺麗で掃除が行き届いている1ルームのマンション
彼はいつでも優しく迎えてくれた
部屋に入るといつもの優しい眼差し
そっと抱き寄せられ、私の体を強く抱き締める逞しい腕
全てが好きだった
「婚約者がいるのに悪い女だな」
意地悪そうに耳元で囁く彼に私は
「あなたも悪い男だ
ね。奥さまに内緒で単身赴任中に、、でも大好き」
私達はお互い悪い男と女だった