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070 クロウリーと銀の星教団は、サンジェルマンと不死連盟に戦いを挑み、半年に渡る激戦を続けた

 所属する魔法使いの数が、三千人に達していた不死連盟は、当時の日本において、最大の魔法主義革命家団体であり、サンジェルマン自身も、世界有数の大魔法使いであった。

 それ故、サンジェルマン達を倒すという目的を達成する事は困難を極め、幾つもの魔法主義革命家団体が、返り討ちに遭う有様であった。


 この困難な目的を達成したのが、大魔法使いであるアレイスター・M・クロウリー率いる、当時は千人程の魔法使い達が集う、大規模魔法主義革命家団体となったばかりの、銀の星教団であったのだ。

 クロウリーと銀の星教団は、サンジェルマンと不死連盟に戦いを挑み、半年に渡る激戦を続けた。


 銀の星教団と不死連盟の、最後の戦いの場となったのは、関東地方の秩武ちちぶ山地。

 秩武山地での戦いにおいて、不死連盟は大敗を喫し、重傷を負ったサンジェルマンは、部下達を見捨てて逃亡。サンジェルマンが逃亡を計ったのは、自らが作り出した、神山DZPMであった。


 自ら作り出したが故に、神山DZPMで死なずに行動出来る、何等かの手段を持っていたらしく、サンジェルマンは神山DZPMに逃げ込んだのだ。

 神山DZPMの中であれば、クロウリーや銀の星教団による追撃を、受けずに済むと考えて。


 だが、サンジェルマンの目論見は、甘かった。

 クロウリーは決死の覚悟を固め、サンジェルマンを追撃する為、独りで神山DZPMの中に足を踏み入れたのである。


 その結果、レベルS以上の魔力を保有する大魔法使いである、クロウリーとサンジェルマンの、最後の戦いが始ったのだ。

 禁忌魔法により空間ごと捻じ曲げられ、別の世界と繋がってしまったらしい、異常過ぎる場所……神山DZPMの中で。


 サンジェルマンとクロウリーの戦いは、すぐに終わった。

 最初からサンジェルマンは重傷を負っていたし、クロウリーはサンジェルマンを追跡する為、神山DZPMの中を移動するだけで、右腕を失う程の重傷を負ってしまっていたので。


 重傷者同士の戦いに勝利し、神山DZPMから生還したのは、魔力の殆どを消耗し、瀕死の重傷を負っていたクロウリーだけであった(後に右腕は、魔法で再生した)。

 神山DZPMから姿を現したクロウリーの左手には、サンジェルマンの生首が握られ、ポケットからは、サンジェルマンの所有していた魔法教典である、「ムルティ・ムンディ」の残骸が、顔を出していたと言われている。


 サンジェルマンはクロウリーに殺害され、所有していた魔法教典を破壊されたのである。

 秩武山地での戦いにおいて、サンジェルマンに見捨てられた部下達は、全て殺害されていた為、サンジェルマンの死をもって、不死連盟は完全に壊滅したのだ。


 当時の構成員の七割を失う程の激闘の末、サンジェルマンを倒し、不死連盟を壊滅させた事を切っ掛けとして、銀の星教団は日本の魔法主義革命家団体の、中心的な存在となる道を歩み始めた。

 その後、惣左衛門が魔法少女となる直前には、総数五千人を数える、日本最大の魔法主義革命家団体となり、日本で魔法主義革命を実現してしまいそうな程の存在にまで、上り詰めたのである。


 クロウリーに処刑されたサンジェルマンの他にも、禁忌魔法に手を出した魔法使いは、幾人も存在する。

 その結果、普通の人が入れば命を失いかねない地域が、世界中に幾つも存在する事になってしまった。


 それ故、旧神山町と周辺地域の様な、禁忌魔法の使用により、危険過ぎる状態となった地域は、魔法汚染危険地域(Danger Zone Polluted by Magicの略称……DZPM)に指定され、一般人の立ち入りが禁止される事になった。

 DZPMの周囲には大抵存在する、、パウリ効果地域もしくは、略称のPEZペズと呼ばれている(Pauli Effect Zone……略してPEZ)も、大抵は立ち入り禁止となっている。


 当然の様に、世界で最初にDZPMに指定されたのは、旧神山町と周辺地域である、神山DZPMであった。

 世界最初にして、最大最悪のDZPMである神山DZPMは、世界的に知られた存在なのだ。


 機械類が動作しなくなる、DZPMに出入り出来るのは、索敵魔法によって、DZPM内での危険箇所を避ける事が出来る、魔法使いと魔法少女だけである。

 それ故、魔法使い達は、魔法を使えない捜査機関の者などから追跡された時などに、DZPMに逃げ込んで、追跡者をまいたりする場合がある。


 ただし、惣左衛門ですら、まともに行動出来ない、最も危険な神山DZPMの場合は、その様な利用法は出来ないという考えの方が、常識的と言える。

 規格外犯罪対策局においても、魔法主義革命家団体の魔法使いが、自ら神山DZPMの中に足を踏み入れる様な真似などする訳が無いと、殆どの者達が考えている。


 主に一刀斎の警備を担当していた、鬼宮家警備担当者の中ではリーダー格である才蔵も、殆どの者達と同じ考えだった……ほんの少し前までは。

 だが、一刀斎を誘拐した、銀の星教団の魔法使いと思われる者が、車を走らせている先に、銀の星教団とは深い因縁がある神山DZPMが存在する事に気付き、才蔵の頭に別の考えが浮かんだのだ。


 神山DZPMから、生還を果たした大魔法使いであるクロウリーや、その部下の魔法使いなら、追い込まれたサンジェルマンが、神山DZPMを利用すべく逃げ込んだ様に、神山DZPMを何等かの形で利用するかもしれない……という考えが。

 故に、一刀斎を攫った者の車が、神山DZPMに向かう可能性を警戒した才蔵は、それを防ごうとしたのだが、失敗に終った。




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