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004 銀の星教団、最後の四天王も、魔法拘置所送りになったか……

「まぁ、大阪からここまで飛んで来るのは、超音速飛行能力を持ってる俺でも、ちょっとばかりヘヴィーではあったけどな」


 バツが悪そうに、天井に穿たれた大穴を、惣左衛門は見上げる。


「減速に失敗して、国会議事堂の天井に、衝突しちまったし」


「――あれだけの大部隊を費やしても、貴様達の動きを二十分、封じる事すら出来ないとはな……」


 己の甘さを痛感したクロウリーは、口惜し気に表情を歪めて言い放ってから、惣左衛門に問いかける。


「ルドラは、どうした?」


「四天王、暴風のルドラ……奴なら、俺が倒した。仲間が連行して行ったから、今頃は魔法拘置所まほうこうちしょに送られてる途中だろうさ」


 答を返してから、ルドラに関する正直な感想を、惣左衛門は口にする。


「以前は結構、苦戦した相手だった気がするが、弱くなったもんだな。魔法の方はともかく、奴は武術の方が衰え過ぎだ。歳には勝てないって奴なのかねぇ」


 逮捕された魔法使いが、裁判で刑が決まるまで拘置される特別な拘置所が、魔法拘置所である。

 魔法使いは魔法を使えば、簡単に脱走出来るので、通常の拘置所では拘置する事が出来ない。

 それ故、魔法使いを封じ込める事が出来る存在……魔法少女が配備された、魔法使い専用の拘置所が用意されたのだ。


 睡眠中は魔法使いも魔法少女も、魔法を新規に発動させる事は出来ない。

 魔法拘置所では、強力な魔法少女達によって、魔法使い達を封じ込めつつ、薬物的処理によって、魔法使い達を常時睡眠状態に置いて、長期間拘置する。


 魔法使い達を洗脳した魔法教典を破壊すれば、魔法使い達の洗脳は解け、魔法は封じられる。

 逮捕された魔法使い達は、自分を洗脳した魔法教典が、魔法少女達の手によって破壊され、魔法の力を失うまで、魔法拘置所で睡眠状態のまま、裁判を待つのだ。


 魔法教典が破壊されて消滅した後、逮捕された魔法使い達は目覚めさせられ、裁判を受け、罪に応じた罰を受ける事になり、近くにある魔法刑務所に移される。

 洗脳された上で犯した罪とはいえ、洗脳を理由に情状が酌量される場合はあっても、罰を逃れる事は出来ない。


 魔法主義思想に洗脳された人間の全てが、非合法活動に身を投じる訳では無い。

 合法的な活動によって、民主的に魔法主義国を目指そうとする魔法主義者……魔法主義活動家も多いので、洗脳された上での犯罪だからと言って、魔法主義革命家達の罪が、免責される訳では無い。


 こういった魔法拘置所には、魔法主義者達によるテロ対策要員も含め、常時五人の魔法少女達が配備されている。


「銀の星教団、最後の四天王も、魔法拘置所送りになったか……」


 クロウリーは、口惜しげに呟く。


「安心しろ。お前もすぐに、後を追わせてやる」


 そう言いながら、惣左衛門は身構える。


「ゲフエクト!」


 惣左衛門は、現象魔法の発動コマンド……ゲフェクトを宣言する。

 直後、惣左衛門の足下に現象魔法陣が出現し、惣左衛門が装着している首輪……セフィロトの首輪が、金色に輝きはじめる。

 セフィロトの首輪が、惣左衛門の魔力をセフィルに変換し、チャージしているのだ。


 セフィロトの首輪などの、マジックオーナメントと総称される魔法装身具を装着している魔法少女達は、魔法を使う際、魔法使い達とは違い、長い呪文を唱える必要が無い。

 呪文を唱えずとも、特定のコマンドを口にしてから、普通に母国語を喋るだけで、魔力をセフィルた変換したり、セフィルに属性を与え、操作する事が出来るのである。


 魔法使いも、セフィルに与える属性を、母国語で口にする事が多いのだが、これは母国語で魔法を補助する言葉を口にした方が、魔法の発動の確実性が上がり、効果が上がると信じられているからで、口にしなければ魔法が発動しないという訳では無い。

 魔法使いの場合、魔法の発動は、呪文の詠唱を終えて魔法陣を出現させ、魔法陣にセフィルを投入するだけで、完成するのだ。


 ちなみに、呪文の超高速詠唱を行えるクラスの魔法使いの場合、魔法の補助を行う為の言葉も、超高速で唱えられる。

 それ故、魔法を補助する言葉を口にしても、魔法の発動時間は殆ど変わらない。


「我がセフィルよ、雷となりて、我が身を包め!」


 現象魔法陣を出現させ、セフィルのチャージを終えた惣左衛門は、母国語である日本語で、セフィルに与える属性を指定し、発生させたい魔法現象を口にする。

 すると、セフィロトの首輪の中央にある、目の様な紋様の部分から、光線状に収束されたセフィルが放たれ、現象魔法陣に照射される。


 直後、現象魔法陣の中から雷が放たれ、惣左衛門の身体を包み込む。

 雷の属性が与えられたセフィルを、稲妻で編まれた服の様に身に纏う、纏魔てんまと呼ばれる状態に、惣左衛門はなったのだ。


 雷のセフィルには、強烈な電撃能力が有るので、人間が触れると、確実に感電する。

 しかし、雷のセフィルを身に纏った惣左衛門には、何の影響も無い。


 何故なら、魔法で発生させた現象は、現象を発生させた魔法を使った人間には、決して害を及ぼさないからである。

 其れ故、惣左衛門が発生させた雷のセフィルは、惣左衛門には無害なのだ。


 全身に雷のセフィルを纏った惣左衛門は、鋭い気合いと共に、一瞬で二十メートル近い距離をジャンプして、クロウリーに跳び蹴りで襲い掛かる。


「食らえ! 雷撃隼爪脚らいげきしゅんそうきゃく!」


 雷のセフィルを纏った惣左衛門の、強烈無比な跳び蹴り技が、雷撃隼爪蹴である。

 惣左衛門が継承している古武術、鬼伝無縛流に伝わる高速の跳び蹴り技……隼爪脚しゅんそうきゃくを、雷のセフィルを纏う事によって強化した技なのだ。


 惣左衛門は本来、技の名を口にしたりはしない。

 だが、魔法を使う際に技を放つ場合は、技に相応しい言葉を口に出した方が、魔法が安定的に発動する為、魔法を使っている時は、技や魔法の名を口にする場合がある(口にしない場合もある)。




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