表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/124

039 ――ようやく来たか、小僧!

「――ようやく来たか、小僧!」


 牡丹の言う「小僧」とは、救援として送られた魔法少女の事だ。

 飛行魔法を使い、超音速で飛べる唯一の人間……魔法少女こそが、牡丹達が待ち望んでいた救援なのである。


 魔法少女側だけでなく、玄武に乗っている蓬莱仙幇側の、索敵魔法を使っていた魔法使いにも、高速で飛来する何者かの存在は、探知されていた。

 蓬莱仙幇側の魔法使いが拡声器を使い、西の空から飛来する敵に対する迎撃命令を、中国語で発する。


 滞空しつつ、一刻不落を攻撃していた、九百を超える数の魔法使い達が、ざわめきながら一斉に、西の空を向く。

 魔法使い達の目に、猛スピードで迫り来る、青い閃光の如き青装束の魔法少女の姿が映る。


「鬼惣(グィゾン!)!」


 多数の魔法使い達の口から、同じ言葉が発せられる。

その言葉は、中国の魔法主義革命家達にも、世界最強の魔法少女として恐れられている、日本の魔法少女……鬼宮惣左衛門の略称だ。


 援軍の魔法少女は、惣左衛門だったのである。

 愛智あいち県名古屋市での、小規模魔法主義革命家団体のテロ活動を鎮圧直後、規格外犯罪対策局のICから連絡を受けた惣左衛門は、浦賀水道を目指して超音速で、東に向かって飛び始めた。


 超音速飛行を続けた惣左衛門は、ガス・ホライズンと二匹の玄武を視認し、減速を開始。

 ガス・ホライズンを守る一刻不落への空襲を続ける、九百を越える魔法使いの大群に向かって、突撃して来たのだ。


 急接近して来る惣左衛門に向け、魔法使い達が次々と、稲妻や炎……暴風などを放ち、迎撃を開始。

 まさに雨霰あめあられといった感じの魔法攻撃が、惣左衛門に襲い掛かる。


 だが、押し寄せる膨大な魔法攻撃を、惣左衛門はアクロバティックな飛行で、片っ端から平然とかわしてしまう。

 敵艦隊の対空砲火の雨を物ともせず、平然とかわして敵艦の懐に入る、凄腕のパイロットが操る戦闘機の様に、惣左衛門は一発の攻撃魔法も食らわずに、魔法使いの大群の中に飛び込むのに成功。


 惣左衛門は次々と魔法使い達に襲い掛かると、四肢を使った打撃技だけで、次々と倒してしまう。

 筋斗雲に乗る魔法使い達を、回し蹴りによる一撃で薙ぎ払ったかと思うと、直後に襲い掛かって来た、功夫服姿の魔法使いによる、剣による斬撃をかわし、カウンターの掌打を叩き込んで仕留める。


 続いて、剣に乗って突撃して来る、功夫服姿の魔法使いに向かって突進すると、剣をかわして擦れ違い様に、肘打ちを鳩尾に叩き込んで気絶させる。

 そのまま、進行方向を飛んでいた筋斗雲に襲い掛かり、乗っている魔法使い達を、目にも留まらぬ早業の連続突きで、これまた気絶状態に追い込んでしまう……。


 この様に、惣左衛門は次々と、魔法使い達を打撃技だけで、撃墜し続ける。

 筋斗雲に乗っている魔法使いの中には、創造魔法による防御障壁を展開する者達もいるのだが、惣左衛門の打撃技に、あっさりと防御障壁を破壊された挙句、直接打撃を食らって撃墜される。


 飛行魔法を使用中の惣左衛門は、創造魔法を使っている事になる。

 つまり、現象魔法を利用する纏魔を、惣左衛門は使う事が出来ない。


 そんな惣左衛門が、何故……魔法使いが作り出した防御障壁を、打撃技で打ち破れるのか?

 その理由は、惣左衛門の飛行魔法は、アーマーアビリティを持つタイプだからだ。


 飛行中に鳥と衝突して、飛行機が危険に曝されるバードストライクの様に、高速飛行中に何かと衝突するのは、魔法少女や魔法使いにとって、とても危険な事だ。

 それ故、何等かの物体と衝突しても、深刻なダメージを受けたり、墜落したりしない様に、魔法少女や魔法使いは飛行時、纏魔程では無いのだが、セフィルの鎧でも着ているかの様に、防御能力が強化される。


 この飛行時に防御能力が強化される能力こそが、アーマーアビリティである。

 アメリカの魔法少女で初めて発見された為、アーマーアビリティという英語名が定着している(天遁剣法の「セフィルによる身体の防御」とは、このアーマーアビリティの事)。


 飛行速度が速い飛行魔法の使い手程、強力なアーマーアビリティがなければ、危険過ぎて高速飛行が出来ない。

 それ故なのだろうか、飛行魔法の最高飛行速度と、アーマーアビリティの防御能力の高さは、正比例の関係にある。


 つまり、最高速の飛行能力を持つ惣左衛門の飛行魔法は、最高の防御能力を誇るアーマーアビリティを持っている訳だ。

 だからこそ、蒼天の二つ星作戦を阻止した時、高速飛行したまま国会議事堂に衝突しても、惣左衛門は無傷だったのである(ちなみに、一定以上の速度で飛び始めると、アーマーアビリティは発動し、その後は発動したままになる)。


 本来は飛行時の魔法少女や魔法使いの身体を、防御能力を引き上げて守る為のアーマーアビリティを、惣左衛門は空中戦の攻撃にも利用する。

 アーマーアビリティ発動状態になった惣左衛門は、セフィルの鎧を身に纏ったかの様に、強度が引き上げられた身体の部位を使い、敵を打撃技で仕留めてしまうのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ