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エスケープ  作者: 一花
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エスケープ

 絶望していた。思考は袋小路。その先なんてない。


 目の前に広がる世界にはユートピアなんて存在しないのだろう。鉄格子の向こう側に出ることは結局叶わなかった。


 ここに来た時は新品だったのに――と手元のタオルを見る。使い込まれてボロボロになり、雑巾のようになり果てていた。


 耐久性に不安が残るが、自分の身体を支える程度は頑張れるだろう。信じるしかない。


 見張りはこちらの状況に気付いていないようだ。今のうちにとボロタオルを格子にくくりつけた。


 この夜が明けたら、自分の身体は冷たくなっていることだろう。でもそれでいい。


 僕はタオルで作られた輪に頭を通す。


 これは現実からエスケープするまでの僕の物語。


《了》

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