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~河戸隆二の場合~ 4




「お前には特別に見せてやろう」



そう言うと奴は、『うおぉぉぉぉ!』と気合をためる。


そして――、


「これがわしのフルパワーだ!!」


気合を一気に開放した。


吹き飛ばされそうになるくらいの、すさまじい気合の圧力だった。


クラスの奴等は全員吹っ飛ばされて、車に轢かれた蛙みてえな格好で壁に張り付いてる。


俺だけが辛うじてそれを耐え切った。


そして、俺が顔を上げるとそこには、全身に凄まじいオーラを纏った奴が立っていた。



奴は「ふぅーー」と大きく息を一つ吐き、ポキポキっと腕を鳴らした。


「フルパワーで戦うのは久しぶりだからな。手加減は出来んぞ」


そう言うやいなや、奴の姿は一瞬にして消えやがった。


気づいたとき、奴は俺の目の前に立っていた。


奴の拳が俺の腹にめり込む。


「うおあああ!」


俺は思い切り吹き飛ばされて壁に激突。


「ぐは!」と口から血を吐いて崩れ落ちた。



「おいおい、まさかもう終わりじゃないだろうな」


奴は嘲るように言うと、こっちに歩いてくる。



「ち、ちくしょう…、まだだ…」


俺はよろよろと立ち上がった。


「まだ終わってねえ!」


俺は酔っ払いみたいな足取りで奴に近づくと、奴の顔面にパンチを放つ。


奴は避けようともしなかった。


「お前の力はこんなものか…」


哀れむような目で俺を見ていやがる。


――ちくしょう


俺はもう一発パンチを打ち込む。


だが、まったく効いてねえ。


奴は俺の胸倉掴むとぐいっと持ち上げ、俺に顔を近づけて言う。


「お前には秘めたるパワーがあるはずだ。もっと怒れ、そしてそれを解放してみせろ」


奴は俺を床へと放り投げた。


そして、机をバリケードにして俺達の戦いを見ていたクラスの奴等の方へと歩いていく。


「確かお前だったな」


そう言って一人の女を掴み上げた。


「いや! はなして!」 


襟元を掴まれて、足をバタバタとさせ抵抗しているのは亜美だった!


「助けて、隆二くん!」



奴は俺の前へ亜美を突き出し宣言する。


「お前の力を引き出すために、この娘には死んでもらうことにしよう」


「て、てめー、この野郎!!」 


俺は怒りに任せて殴りかかった。


だが俺の拳が奴に届く前に、俺は奴の蹴りを喰らい吹っ飛ばされた。


「ぐっ…、ち、ちくしょう…」


情けねえことに、俺にはもう立ち上がる力も残ってなかった。



奴は亜美の襟元を掴んだまま自分の目の前に立たせ、そして、


「やめろー!!」


俺の叫び声も空しく、ドン、と奴は亜美の心臓を指で一突きにした。


俺の周りの世界がスローモーションみたいになった。




奴は笑みを浮かべたまま、亜美を俺の方へ放り投げる。



ドサッと俺の目の前に落ちた亜美は目を閉じたままぴくりとも動かねえ。



俺は這い寄って、亜美の安否を確認する。



亜美は息をしていなかった。



亜美の心臓は止まっていた。



亜美は死んでいた。




奴がゆっくりと俺の方へ歩いてくる。



俺は魂を抜かれたみてえに動けなかった。



奴が俺の前に立って言った。




「お前の無力さがその娘を殺したのだ」




その瞬間、俺の中で何かが吹っ切れた。



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