第6話 「この柔らかさ、触ってみてください♡」
プリン♡ プリン♡
朝。わたしはパンティー一丁で鏡の前をうろうろしていた。
今日は狩りの日。
動きやすい服装にしなければ。
最近トマトとか、野菜ばっかりだったからな。ご主人様もお肉がほしいのだ。
(——しっかし、最近、腹が出てきたか?)
パンティーをずらそうとして途中でやめ、半ケツ状態のまま、鏡の前でポーズを決める。白い肌。ピンク色の乳☆。いつも通りの曲線。
「気のせいか」
わたしは狩用のシャツを手に取る。袖を通す。ボタンを留める。ズボンをはこうとして、
(ホイッ! ホイッ!)
ジャンプして、なんとかズボンをはこうとするけど、
(——尻がデカすぎて入らない!(ガーン))
「くっ、お気にだったのに!」
わたしは別のズボンをはいて、ベルトをきゅっと締めた。
♢ ♢ ♢
「じゃあ、モンスターハントに行こうか」
ご主人様はにっこり笑顔。
「レッツゴー!」
二人で森へ出向いた。
一時間後。
わたしたちは森の奥深くにいた。
ご主人様は聖剣を構えて、モンスターを探している。わたしは後ろをついていく。
ざくざくと草を踏みしめる音。鳥のさえずり。木漏れ日。
ヒュン!
木々の間に、モンスターの影が見え、ご主人様が弓を使って仕留めた。剣でとどめをさす。
「やったね! 今夜は豪華なステーキが食べられそうだよ!」
「はい! わたしが腕によりをかけて作ります~♡」
そのとき——
「そこの冒険者さん~」
突然、怪しいローブを着たNPCっぽいおじさんが現われた。彼のバッグには薬瓶がずらり。
「森の薬屋でございます~。冒険者様、何かお探しで?」
わたしは——ピンときた。
薬瓶の一つ。ピンク色の液体。ラベルには『媚薬』と書いてある。
(これだ!)
わたしは小声で薬屋のおじさんに耳打ち。
「あのう、コレってどんな効果なんですか?」
「お客さん、お目が高いね。それは悪用厳禁の惚れ薬ですよ。100万はくだらない逸品ですがね、お客さんには安く提供させていただきやすよ。これを使えば、どんな堅物でもトロットロのメロッメロでっさ」
「買います」
即決。
わたしは財布から小銭を出して、媚薬をゲット。
(ふふふ。これをご主人様の料理に混ぜて、わたしに夢中にさせて、油断したところを殺せば完璧!)
♢ ♢ ♢
それから、
わたしたちは屋敷に帰って、さっそく調理開始。
ジュージュー。お肉を焼く。いい匂い。香ばしい。
(よし、ここで惚れ薬を……)
わたしは小瓶を取り出し、ワイン代わりにお肉へちょろり。
ピンク色の液体が肉に染み込んでいく。
(これでご主人様はわたしにメロメロ。隙を突いて毒ナイフでズブリ。楽勝!)
わたしはニヤニヤ。
「それじゃ、味見っと……」
——ぱくっ。
わたしは、お肉を一口。
もぐもぐ。ゴクッ。
「——あ」
遅かった。次の瞬間、視界がぐらり。身体が熱い。心臓がドキドキ。息が荒い。
「ダンジョンちゃん、大丈夫?」
ご主人様が心配そうに近づいてくる。
——その瞬間、
わたしの目はハート。
「ご主人様……かっこいい! ご主人さまあああ♡」
わたしはご主人様に飛びつく。
抱きしめる。密着する。
「うわっ!? ダンジョンちゃん!?」
「ご主人様~♡ 大好き~♡ チュッチュッ♡」
わたしはご主人様の首に腕を回し、顔を埋める。
(そうだ! この間使ったローション、まだ残ってたはず!)
棚からローションのボトルを取り出す。
とろりと手のひらに出して、胸に塗りたくる。てかてか光る。お尻にも。ぬるぬる。つるつる。触り心地が劇的に変わる。
「お待たせしました~♡」
わたしはご主人様の前に立つ。
シャツのボタンを一つ、二つ、外す。デカメロンがこんにちは。
「だ、ダンジョンちゃん!?」
「見てください、ご主人様~♡」
わたしは自分の胸に両手を当てて、柔らかさを強調するように揉む。ローションの効果で艶めかしく光っている。
むにゅ、むにゅ。
左右に揺らす。上下に揺らす。重みを感じさせる動き。
「こんなに柔らかいんですよ~♡」
「ちょ、ちょっと……」
ご主人様は顔を背ける。耳まで真っ赤。
「あら、恥ずかしいんですか?」
わたしはご主人様の腕を掴んで、ぐいっと引き寄せる。
「ほら、触ってみてください~♡」
「だ、ダメだよ!」
「ダメじゃないですよ~♡」
わたしはご主人様をソファーに押し倒す。
どさっ。
馬乗り。お尻を押し付ける。ローションの滑らかな感触。
「ねえねえ、ご主人様~♡」
わたしはうるうるの瞳。上目遣い。
「生意気メイドをわからせてください~♡」
「だめだよ、だめだよ!」
ご主人様は必死に抵抗。
「お願いします~♡ お願いします~♡」
涙目。懇願。両手を合わせて、拝む。
胸が揺れる。視線を奪う動き。
「わたし、ご主人様のこと、本当に……」
「……わかったよ」
ご主人様が折れた。
「ご主人様~♡ 大好き~♡」
もう一度抱きつく。頬をすりすり。ローションが肌を滑る。
「じゃあ、いれますね~♡ えい♡」
——バンッ!
扉が開いた。
褐色の肌。赤い目。アホ毛ぴょこん。
西のダンジョンちゃんだった。
「うわっはっはっはー! 勝負しに来てやったぞ、ありがたく思え! 今日こそワシが勝つ ……って、うええええええええ!?」
固まった。
「お、お主ら何しとるんじゃああ! 破廉恥ぃぃいいいい!!!!(ボカッ!)」
♢ ♢ ♢
——それから数時間後。
わたしはベッドに寝かされていた。
頭が痛い。身体がだるい。
「目が覚めたか」
西のダンジョンちゃんが、ベッドの横に座っていた。腕を組んで、呆れた顔。
「お主はほんとうにアホでドジじゃのう」
「……何があったの?」
「覚えておらんのか? お主、惚れ薬を自分で飲んで、ご主人様に『生意気メイドをわからせてください♡』って腰を振っておったんじゃぞ」
「うえぇぇええええええええ!?」
わたしは叫んだ。顔から火が出る。わたしは枕に顔を埋める。
「忘れろ! 今すぐ忘れろ!」
わたしは西のダンジョンちゃんをぽかぽか叩く。
「まったく、こんなヤツが、ワシの宝物を盗めるほどしたたかとは思えんのう」
「だまれええええ!」
くっそう! 次こそは!




