8 大声
英霊Side
「むっ、ここは先程と同じ場所か?」
ガシャガシャと音をたてる重そうな鎧と盾しか持たない男がそう言った。
「先程ご一緒した剣士とハンターさんは居ない様ですね、私は★★★水魔術師のマイア・ディ・パイモンです、宜しくどうぞ。」
「★★ギレン・エドガー、重騎士をしている、こちらこそ宜しく頼む。」
剣士とハンターと言えば先程一緒に戦ったジュリオとアンネの2人だろう、あの2人は連戦していたのかとギレンは考察した。
「★★ナバート・ボールだ拳闘士だ、此方の2人は先程ぶりだな。」
「★★バロン・ダイナス…。」
最後に残った1人が口を開く。
「★★ベン・コナー、演説家です。なっ何ですかなここは?」
「何ってここは戦場よ?」
マイアがそう言って先程行った戦いを少し説明する。
【ゴブリンレベル2 ▽1体】
ギャギャッ
緑色した子供のようなそいつが現れると拳闘士のナバートが即座にぶん殴った、一撃でゴブリンの首の骨を折っている。
「なっ、なんですかコイツは、私は戦いなど出来ませんよ…。」
確かに何も持ってないし、戦えるとも思えない風貌をしている、だが戦場に居るのだ、戦えなくとも足手まといは困る。
「次会うのがゴブリン4体なら先程来た場所と同じ可能性が高い。」
ギレンがそう言うやいなや
【ゴブリンレベル2 ▽4体】
敵の襲来を教えるテロップが流れる。
Skill高速移動を使い、すれ違いざまに1体のゴブリンの首を切るバロン、その隣のゴブリンをナバートの長い足がSkill飛び蹴りで吹っ飛ばしている。ただの飛び蹴りと何が違う?単純に威力が、精度が速さが違っている。
テロップ発生から僅か5秒程で2体を倒した2人は残りの2体も瞬殺している。
「はっハハッ私など要らないんじゃないですかな?」
ベン・コナーがそう自虐をする。
ギレンは思う、コイツの今の言葉は自虐ではなく、逃げようとしている。自身が戦う必要が無いと知らしめて安全地帯に居場所を求めたのだ。
「戦わなくとも構わないが、お主そのままだと近い内に死ぬぞ。」
何も戦闘だけが死に場所ではない、合成もそうだ。コイツが生き残ったのはたまたま★★だったからだとギレンは推測している、残りの★は女性を残して全て合成されたのだから。
「わっわたし、私は!」
ベン・コナーが何かを言いかけて止めた、バロンとナバートがゴブリンを殺して戻って来る。
「この後は矢印が出て先に進むとホブゴブリンが2体、ゴブリンが4体出てくる可能性が高い。」
「先程に比べたら楽ですね、一度に会う量は多いですが。」
ナバートがクイクイと足の調子を確かめるようにしながら話す。
「てっ敵が多いのなら私の大声が役立つかも知れません。」
目の前に出た矢印を見つめながらベンがそう言った。
「大声?出てくる敵が決まっているなら呼べば分散出来るのか?」
「ホブゴブリンとゴブリンでは機動力はゴブリンの方が上でしょう?、それならばと思ったのですが…。」
戦闘手段を持たないベンはギレンに言われた通りこのままでは合成一直線だと考えた結果何か自分が出来ることを模索しているのだ。
そしてそれは逃げではなく生きる為の活路を見出そうとしているのだ。
「やりたいならやれば良い、先程に比べたら楽な相手だからな。」
先程はホブが3体、そしてアンネが居なかったから実質4人で戦った、数が多少増えてもゴブリンなら瞬殺出来る、分散してくれれば尚楽だ。そう思ったバロンは口数を多くして伝えた。
「ギレンさん、この矢印をどの程度進んだら敵と遭遇するのか分かりますかな?」
「ざっと200メートルって所だな。」
「分かりました、それでは100メートル程進んだらSkillを使いましょう。」
矢印を進む一同が100メートル程進んだ所でベンが耳を塞げと言う。
「ここに居るぞ!」Skill大声を発動し普段より大きな声を出したベン。
ブーという音と共に
【DANGER】
[ゴブリンレベル2 ▽4体]
ホブゴブリンが居ない、上手いこと分散されたようだ。
出るのが分かっているのでマイアは詠唱を唱え終わっている、「ウォーターシュート」
ドンッドンッドンッ
3発の水の塊がゴブリン達を襲う、全弾命中し3体のゴブリンが吹っ飛んだ。
吹っ飛んだゴブリンを追ってバロンとナバートが命を刈取りに走る、何も受けてないゴブリンがマイアを狙いに来るがギレンの厚い守りに阻まれた。
「Skillシールドバッシュ」
ドゴン
重い盾の体当たりを食らったゴブリンはまるでダンプカーにぶつかったように吹っ飛んでいく、ウォーターシュートで吹っ飛んだゴブリンを倒した2人が今飛んできたゴブリンの命も絶った。
[ホブゴブリンレベル4 ▽2体]
遅れて現れたホブゴブリン2体も攻守に長けたチームの前に何も出来ずに倒された。
【チュートリアルダンジョンレベル1CLEAR】
★★バロン・ダイナス
レベル4→5 Skill獲得なし
★★ナバート・ボール
レベル3→4 Skill獲得なし
★★★マイア・ディ・パイモン
レベル4→4 レベル変動、Skill獲得なし
★★ギレン・エドガー
レベル2→3 Skill獲得なし
★★ベン・コナー
レベル1→1 レベル変動、Skill獲得なし
【報酬獲得1,000金】