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1 spirits of the war dead 開始

 その新登場したばかりのアプリをダウンロードした理由は、デモ映像のグラフィックが素晴らしかったから、美しいとか綺麗とかじゃない、言葉では表せないような人間味を感じたからだ。


 戦闘に勝利した時の喜び方や、仲間が死んだ時の描写、その者が死にゆく時の顔がまるで映画のワンシーンを越えたリアリティを映し出していた、普通そういう宣伝映像って仲間を守ったり、敵を攻撃したり、魔法をぶっ放すシーンでしょ?このゲームは違ったんだ、そこに深く惹かれた。事前告知もなければ聞いたことも無い【Create・G】という会社のゲームアプリだ。


 詳しい説明など読まないまま簡単な登録をすると、アプリがダウンロードされ、ゲームスタートの文字が出る、迷いなくスマホに映し出されたゲームスタートを押すと、画面いっぱいにグラフィックが広がりタイトルが現れる。



【spirits of the war dead】


 SERVER1 【ラバルナ】Station



「凄いリアルな映像だなラバルナ?。」


 映し出された砦のような建物には[待機場]と書かれていて、隣には[訓練所]と書かれた人をかたどった人形や、射撃で見るような的などが置かれている施設がある、他の施設を見ようとすると…。


 ピロンと音が鳴り、画面上にテロップと美しい女神の様な女性が現れる。


【ようこそマスター、あなたの下で働く英霊達をまずは召喚しましょう、尚同じ英霊は二度と出て来ません、存分に可愛がって下さい。】


 女神の様な女性がそう言うと、左下のメニューに矢印が出て、無料10連召喚という項目を見付けた、これを押して英霊とやらを召喚しろということか、しかし同じ英霊は二度と出て来ないってどういう事だ?キャラをどれだけ作ればそんな事が可能なのか、考えても仕方ないので後回しだ今は。


「排出確率はえ〜っと★が65%★★が34%★★★が1.0%」


「うわぁかなり渋い確率だなこれは。」


 このアプリには★★★★★までの英霊が登場すると書かれているが、この無料のお試しガチャでは★★★までの英霊しか出ない、それも最高レアの★★★の排出確率は1%しかなかった。


「取り敢えず引いてみるか」


 無料10連召喚をポチッと押すと、神殿みたいな建物の画面に移動する、先程の女神の様な女性も移動した、名前はやはり[女神ディアーナ]と書かれている。


 複雑に折り重なった読めない文字の魔法陣が丁度10個現れると、その空間から人が落ちて来る。


 ボトッ、スタッ、ボトッ、ボトッ、ガチャ、ボトッ、ボトッ、スタッ、ボトッ、スタッ。


 尻もちをついて落ちて来る者、上手く着地した者、鎧を着込んだ者、落ちてすぐ辺りを見渡す者、男も女も格好はバラバラだ。


「なんだこれ、すげぇリアルだな。」


 英霊達は神殿の中で警戒したり、ウロウロ動いたり、隣同士で話したり、驚いたり、泣いたり、怒ったりしているように見える。


「うおっ、召喚されて意味がわからない人がこんな反応するって感じの画像だな、これはヤバいな。」


 オラついてる感じの怒っていた奴が、ディアーナの所に近付く。何やら揉めているように見える。


 パンッ


 ディアーナが手を叩いたようだ。


【★オルグ・カイマンが女神ディアーナに逆らった為処刑されました。】


「えっ……、どういう事?勝手に処刑したってこと?」


 女神ディアーナの画像がアップになりテロップが流れてくる。


【マスター聞き分けの悪い英霊は処分致しました、これで召喚された英霊達は立場をわきまえるでしょう。】


 ニコッと笑う女神ディアーナがなんだか恐ろしく感じる、オルグという男はキラキラとした粒子と共に消えた。神殿に召喚された英霊達は女神ディアーナから距離を取り離れたり、逃げようと扉を叩いたり、泣いたり怯えたりしていた。


「最新のゲームはここまでリアリティを追求してんのか、すげぇなマジで。」


 女神ディアーナが何やら説明してるように見える、音声が聞こえないのは残念だ。召喚された英霊をタップすると名前と説明が出るのに気付く。


 ★★ギレン・エドガー 重騎士


 先程ガチャって音がして降りた奴をタップすると残念ながら★★だった、重騎士ね


 何人か着地した奴を探してタップする、動いてるので押しづらい。


 ★★アンネ・リュース ハンター


「ハンター?狩人かなんかかな?弓持ってるし。」


 ★★ベラ・ハイネルン ヒーラー 発動可能Skill ヒール


「おっ、ヒーラーは偉い、パーティーに一人は欲しいキャラだ。」


 ★★ジュリオ・ロイスター 剣士


「剣士ね、アタッカーは欲しいからいいだろう、残念ながら★★★は居ないかな?」


 残ったボトッと落ちた奴等をタップする


 ★マリー・スイフト 農民

 ★バラク・モーゼン 設計士

 ★ハンス・ジャ・ベイモン 学者

 ★ローゼン・ハンブルボン 侍女

 ★マーク・ランチュート 木こり


「何だこれ?農民とか木こりとか学者とか英霊って言うより一般人じゃん、10連なのに既に一人居ないし。」


「リセマラじゃねこれ?」


 メニューを開きリセットを探すとテロップがまた流れてくる。


【※このアプリは個別プログラムにより1人一度しかダウンロード出来ません!】


「はぁ?マジかよ、心を読んだようなタイミングでそんな事いいやがって!」


 家のパソコンで[spirits of the war dead]と検索すると、既にサイトが有り、リセマラを試みた人達が2度目のダウンロードが出来ないと書き込みがあった。


「うげっ〜マジかよ、危ない取り敢えず進めるか、つまらなければ消してもいいし。」


 そう言いながらも男は既に心惹かれる物があった。男の名前は[山下駿(ヤマシタシュン)]31歳 独身 その辺にいるサラリーマンだ。


【マスター次はダンジョンにパーティーを派遣しましょう。】

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