表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

#14 上野の日常

は~い、私こそが上野です。みんなの中ではいつも田中と話しているってイメージしかないだろうけど、結構独り言が多いタイプだと思うんだよね。なぜそう思うかって?いつもほかの人が喋ってるのを聞くけど、私みたいに独り言が漏れ出したり、視線があちこち行ったりするのをあんまり見ないから。というわけで、私の大体がわかったかな?今日はどんなことが起こるのかねぇ?


朝、登校するとそこにはいつものように騒がしい教室が待っていた。

「ね~、この前のメイドラゴン見た?すごかったよね~、あれでDはさすがに大きすぎるよね」

田中がそう言う。彼女が言っているメイドラゴンというのは、正式名称小林さんちのメイドラゴンという作品で、おそらくアニメの最新話のことを話しているのだろう。田中はすごく楽しそうに話すが、あれ結構エッチな描写多くなかった?原作漫画だと無修正も多かったし...女子がクラスで話すのはちょっとどうなんだろう。...あぁ、田中って鈴木と話すときにはちょっと興奮してるから、そういういつもだったら周りを気にして話さないような話題を話しちゃうんだろうね。可愛いというか、なんというか。

「見たよ。イルルっていう子が新しく出てきて、めっちゃ可愛かったよね。あのロリ巨乳はカンナのムチムチとは違う癖を感じた...新しい扉開いたかも」

鈴木がそう反応する。え、こっちはこっちで本音言い過ぎじゃない?あんたの目の前にいるの、あんたが大好きな女子ですけど?アニメのキャラに嫉妬とかはしないだろうけど、セクハラで引かれてもおかしくないでしょその発言。

「だよね!あの子、めちゃくちゃおっぱいでかいし私もああなりたいわ~。かわいいから味方になる可能性大とみた!」

...おっぱいを大きくしたいのはわからなくもないよ。好きな男子がおっぱい大きいの好きって言ってるしねぇ。っていうか、鈴木に限らず男子はみんなデカいのが好きか。いっぱいもんでもらったらいいんじゃない?なんなら私が揉みたいけど。

「メイドラゴンに出てくるかわいいキャラはほぼ全員味方になるから、そこはたぶん確定か。いや~、どんなほのぼの生活を送るのか気になるわ」

確かに気になる!どんなイチャイチャを見せてくれるのか、これからに期待だねぇ。...いや、こいつ、田中がおっぱい大きくなりたいっていう発言に対して特にアンサーを示してないよね...わざとか?わざとっぽいな...わざとに違いない!恥ずかしくて言いたくないから逃げたんだこいつ!

「...」

田中が鈴木をジトーっと見つめている。

やっぱりそうだ!田中はでかくなりたいの部分で突っ込んでほしかったんだ!だんだん鈴木もそれを察したのか、焦り始めてる!さあなんて答えるんだい!

「あの...俺は今の田中も、その...十分大きいからいいと思うけどな?」

噛みながらそう答える鈴木。

こいつ、うまい冗談が思いつかなかったから本音言いやがったな。腰抜け~、卑怯者~、そういう会話は部室でやれ~!

「え?何のこと?別に私、何も言ってないけど???」

ニヤつきながら田中がはしごを外してきた!もう駄目だなこれ。鈴木の敗北決定だよ。でも、若干田中の顔も赤くなってるから、両者無傷とはいかなかった様子。

「は~~~、そういうことですか!はいはい、わかりました!いいわ!正直に言うわ!別にお前の胸そんなに大きくないだろ!食べてから昼寝ばっかりしてるくせに、全然肥え太らないよな!」

鈴木、キレた!田中がそういわれてさぞ悔しいだろう...と思ったが、なぜか至って冷静な顔でいる。なぜだろう?まさか...場外乱闘!?

「鈴木君、人の身体的特徴に対してそういう言い方をするのはどうかと思います。昼休みに話があるので部室まで来なさい。いいわね??」

冷酷な笑顔で言い放つ田中。あ~あ、キレちゃったから...しかも、傍から見れば委員長に対して変な言いがかりを大声で言ったのは鈴木なので、誰も助けてくれない...まあ、いつものことだからどうせ誰も助けてくれない。また、鈴木の弁当と腕が犠牲になるだろう...哀れなことだぁ


田中と鈴木のじゃれあいが終わった後、次に目についたのは藤井と賽瓦と山田の会話だった。

「やっぱりさ、今度はあいつも誘ってみんなでどこか行こうぜ。大人数のほうが楽しいって」

山田がそう話す。どうやら、何か遊びに行く計画を立てているようだ。

「賛成~。私はみんなと一緒ならどこでも行きたいよ~」

藤井が賛成した。うん、まあ、あの人は何も考えてなさそうだから、本当に遊べればいいんでしょうね。

「え~...私はあの人はちょっといいかな...」

賽瓦がそう答える。まず、あの人って誰?それがわかんないとちょっと何の話か理解しにくいねぇ…

「賽瓦は江野畑のこと、苦手なのか?...そうだな。あいつっていっつも写真撮って投稿してるし、賽瓦みたいな保守って感じの人間とはあんまり相性よくないかもな」

あの人って江野畑のことだったのか!それなら納得いく。大方、山田が全員で遊びに行きたいって誘ったんだろうけど、残念ながら江野畑だと相性合う人があんまりいないでしょ。っていうか、さすがにあそこまで自己中心的すぎると、遊んでいても楽しくなさそうだし~。大体、人に対して尊重するとか譲歩するとか、合わせるとかそういう概念を持ち合わせているのかすら疑問。藤井も似たような感じだけど、こっちはまだ合わせようというか、楽しもうって気があるよね。

「う~ん、でも、何とかしてみんなで遊びたいんだけど...時間もないし、また後で話そう。あ、上野!ちょうどよかった。お前はみんなで遊びに行くって言ったら来るか?」

いきなり話が振られたが、会話を聞いていたので答えは決まっていた。

「うん、行ってもいいよ。みんなと一緒にいるの好きだし」

なぜか賽瓦がちょっと驚いた顔をした。

たぶん、私のことあんまり話したくない人間だと思ってたんだろうなぁ。自分の中の世界に入ってる時間が長いだけで、人とかかわるのは好きなんだけど、わざわざ言う必要もないから説明しなくてもいいか。

そんなことを思っているうちに、ホームルーム開始のチャイムが鳴った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ