表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Free Hugs

誰かに褒められたい…


いや、それ以上か?

誰かに褒め散らかされたい!

甘やかされたい!


髪型なんて気にしないから、

ギュッと抱きしめて「よーし、よし」なんて言いながら頭を撫でまわしてほしい。

人に触れられるのが苦手で、美容室に通うのも一苦労な私がここ最近誰かに甘やかされたい衝動に駆られていて自分でもびっくりする。


きっかけは管理職になってしまったからだろう。

会社勤め16年目。

やっと評価された! なんて勘違いは決してしない。

ただ単に、繰り上げ式でなった管理職…。

この人、このままいったら社長になるだろうなーと思っていた人がまさかの退職。

その上司の穴を埋めるために直属の上司が我が課から旅立ち、

結果一人となった私が課長職を務めることになった。

 

一人で業務をこなしていた時はまだ楽だったのだが、そこに転職で入社してきた同じ年の部下を教育することになった。

ここから、私の甘やかされたい衝動が発動されることとなる。

 

人に何かを伝えるってこんなに難しいのか…って言うくらい伝わらない。

そもそも私は説明がへたくそだ…


同じ年の部下は真面目でヤル気も人一倍あるのだが、

面接で自分のことを「おっちょこちょい」と言っていた通りの人であったため、

毎日「コントかな?」というようなミスが繰り返される。

例えば、

「このボタンを押すと、壊れてしまうから絶対に押さないで下さいね」

「はい!」

と、気持ちいいくらいの返事をした直後に、そのボタンを押してしまう…みたいな。

いつもの私なら心の中で怒り狂っているだろうが、

日常業務+コントのようなミスの連発、なにより部下の人柄の良さが相まって、

徐々に心が削られていく日々。

ある日、一人で作業をしていると急に「だ、誰か。私を抱きしめてー」という、

言葉が私の頭の中に響いたと同時に涙が出てきた。


悲しいとか寂しいとかいう感情ではない。

ただ、ひたすらに疲れている感覚。

職場の誰かにいっそお願いしてみようか…

なんてことも頭によぎったが、絶対にダメだ。

いつも一人でなんでもこなし、弱みなんて見せてなるものか! なんて強がっている私が、急に「すみません、ちょっと疲れてしまって抱きしめてほしいです」なんて言いだしたら…

同僚たちはパニックに陥り、天変地異の訪れを予感するだろう。

そもそもなにかしらのコンプライアンスに引っかかってお暇を貰う事になってしまう。

あぶない、あぶない。

…そういえば「Free Hugs」なんてものがあったような。

確か、2・3年前に流行ったよな?

そう思い、ネット検索してみた。

当時は「えっ、誰がこんなのやるの?」なんて冷ややかな目をしてみていたが、

まさかFree Hugsを検索する日が来るなんて…

人生、どこでどうなるのかなんて誰にも分らないもんだな。


検索欄に「Free Hugs 場所」と入力すると、驚愕した。

つい最近の話だと思っていたのに、流行したのは2005年くらいらしい。

もう、20年前じゃん。

それをつい最近って…

年を重ねると時間の流れが速くなるって聞いたことあったな…

それにしても、早すぎだろ!

 

Free Hugsは諦めたものの、私の甘えたい衝動は急に顔を出してくる。

でも、それは決して表には出さない。

クールな自分(そう思っているのは私だけかもしれないが…)を常に保っている。


ふと、心の中が読める人が周りにいたら・・・

もし、自分がサトラレだったら・・・


そう思うと、一気に血の巡りが良くなって汗が吹き出してしまう。

誰かにギュッと抱きしめてもらう日が来るよりも、

いっそ自分の心の中をもクールに保つ方法を獲得する方が現実的かもしれないな。


なんて考えながら過ごす今日この頃です。

 

 

 

 

 

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
よーしよしよし ( T_T)\(^-^ ) フリーハグが20年前の事だと?! ごめん、笑ってしまったよ。 そっかあ…頑張ってるんだね。 心が壊れる前に少しお休みされたらいいと思う。 自分が思ってい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ