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6、これで最後だ


そんなこんなの一件があり俺は家に帰る。

すると八鹿が出て来た。

俺を心の底からだろうけど心配げに見てくる。

その姿を見てから俺は八鹿の頭を撫でた。


「...大丈夫。死んでないから」

「...まあそうだけど...でもそれは...」

「心配してくれて有難うな。八鹿。でも俺は大丈夫だ」


そして俺は八鹿の頭を撫でてからそのままリビングに入る。

すると八鹿は背後から「何か食べる?」と聞いてくる。

その言葉に俺はビニール袋を見せた。

中にはケーキが入っている。


「コンビニのケーキだけど」

「...お兄ちゃん...」

「紅茶でも沸かそうか。...そして食べよう」

「そうだね。...お兄ちゃんが言うなら」


俺は紅茶を淹れようと思いキッチンに向かうが。

八鹿が首を振って俺の手を止める。

そして「私が淹れるから」と笑みを浮かべてくる。

その言葉に甘えた。



私は...お兄ちゃんを裏切った山﨑を決して許さない気でいた。

全てを裏切りやがって...私は絶対に許さない。

そう思いながら私は紅茶を淹れる。

それからお兄ちゃんの元に持っていく。


「...八鹿。有難うな」

「何が?...私は何もできてないから」

「できているよ。...俺にとっては最高の妹だ」

「...山﨑とはどうなっているの?関係」

「ああ。...アイツの方から接触があったから。別れた」

「別れたんだね。...良かった」

「...アイツの。...後輩の力もあってな」

「お兄ちゃんの後輩...?...それは...」

「ああ。今度紹介するから」


そしてお兄ちゃんは笑みを浮かべる。

私はその姿を見ながら頷いた。

それからケーキを出す。

苺のケーキとモンブランだった。

私はそのケーキを静かに見つめる。


「どっち食べる?」

「私?...いや。お兄ちゃんが買ってきたんだから」

「いや。決めてもらって良いよ。お前に」

「...そうだね。じゃあモンブランを食べる」


お兄ちゃんは落ち込んでいる私に柔和になりながら「じゃあ半分こしようか」と提案する。

私は頷いた。

それから私はフォークで切ってからお互いに入れ替える。

そして私はモンブランを食べる。

有名な店舗のモンブラン。

美味しい。


「...美味しいな。流石に」

「コンビニの力は上がってきているからね...こういうのも」

「そうだな。...大丈夫か」

「...お兄ちゃん。私は山﨑...を許せない」

「...それで怒っていると?」

「そうだね。...お兄ちゃんはないの?そういうの」

「...無いって言ったら嘘になる。...お前達がそうやって怒ってくれるのが本当に嬉しいしな」


そう言うお兄ちゃん。

私は「?」を浮かべてからお兄ちゃんを見る。

お前(達)?

お兄ちゃんに向いてから「お兄ちゃん。お前達っていうのは?」と聞いてみる。


「...ああ。...いや。後輩も同じ事を言っていたなって思って」

「ああ。そうなんだね。...じゃあその後輩さんと私、仲良くなれるかも」

「...後輩は俺思いだからな。...七瀬って言うんだけど」

「七瀬さん...そうなんだね」

「...」


お兄ちゃんは静かに黙る。

それから顔を上げてからこう言う。


「だけどこっちから手を出したら負けっていう話はしている」

「...だけどもう出されているよね?お兄ちゃん。...負けもクソもなくない?」

「だが...」

「お兄ちゃん。ソイツは。...山﨑は調子に乗って来ると思う。...いくら幼馴染であってももう論外に手を出さないと。...絶対に敵意を向いてくる。それに調子に乗ってくるよきっと。弱腰は駄目だよ」

「...確かにな」

「...私は弱腰だから...負けてきたけど。...お兄ちゃんは負けてほしくないしね」


そう言いながら私は紅茶を見る。

茶柱が立っている。

はは。無駄に運が良いな。

思いながら私は怒りを露わにする。


「...山﨑を地に落とすべきだよ」

「...確かにな」

「...お兄ちゃんが言う手出しは確かにそうだけど...だけど耐えれば耐えたなりの見返りがあるわけじゃ無いから。...何かされたら直ぐに反撃しないとね」

「...」


私は言いながらお兄ちゃんを見る。

そうしているとインターフォンが鳴った。

その事に私は「宅配便...」と呟いてからモニターの無いインターフォンなので玄関を開ける。

そして見開いた。


「...山﨑雪香」

「...こ...こんにちは」

「...何の用事ですか」


威嚇する様に私は目線を向ける。

すると背後から「どうした。八鹿?...っておま...」と声がした。

山﨑雪香は「その...」と言う。


「...誤解を...解きたくて」

「...は?誤解もクソもない。証拠を直に見た。...帰ってくれるか」


そして私を室内に入れてから山﨑雪香を追い払う様にする。

だが山﨑雪香は動かない。

私達に縋ってくる様な目を向ける。

しつこいなコイツ。


「...お願い...は、話をさせて。1回でも良いから」

「馬鹿か。話なんぞ無い。死んでくれるか。100回ぐらい。帰れっつーの」

「...」


山﨑雪香は横に首を振る。

私はスマホを取り出してそれから威嚇する。

そして睨む。


「警察呼びますよ。あまりにしつこいと」

「...!」


そして山﨑雪香は「...分かりました」とドアを離す。

それから「...」となる私達。

お兄ちゃんが動かない山﨑雪香を見てから「...これが最後だ」と言う。

そうしてから山﨑を睨む。


「...お兄ちゃん。もう話を聞いても無駄だって」

「...これが最後だ。...話次第だが。...絶縁する」


山﨑は私達を見る。

そして雨に濡れている身体を向けてくる。

それから口を開いた。

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