アメサーラ0
バナナ。
成丈大きく太く、そして硬いものを選ぶ。バナナは硬ければ硬いほど、青ければ青いほど美味いのだ。
まずは皮のまま嗜む。
ズボンとパンツを脱ぎ捨て、尻を突き出す。
バナナを冥界へ。
迷い込んだバナナが私の魂を刺激する。
十二分に愉しんだら取り出して水洗い。
皮を剥く。
校長室へ行く。
いざ、ビンタ!!!!!
「2組の佐々木くんですが、校長先生をちくわでビンタしたとして退学処分になりました」
担任が報告すると、生徒たちはざわめいた。
数十秒が経った頃、1人の女子生徒が手を挙げた。
「先生! なぜ空は青いのですか!」
教壇から降り、その生徒の席まで歩く担任。
「テメェで考えろ」
その隣の男子生徒も手を挙げた。
「先生は彼氏いるんですかぁ!」
ピクリと耳が動き、目がつり上がり、眉間に幾重もの皺を寄せ、歯をギシギシ言わせる担任。
「そそそそそそそうゆうこと聞いちゃダメだよタコシくんっっっっっっ! もうっ!」
そう言ってちくわでビンタした。
担任は現行犯逮捕され、裁判の結果地獄行きとなった。
新しい担任は男だった。歳は40代前半から10代前半と言ったところで、ニッと笑った歯は全て銀歯だった。
この学校での男の初めての仕事は家庭科の調理実習であった。
「今日は馬小倉トーストとタイ料理のヌルチャパを作ります」
ヌルチャパとかいう聞き慣れない料理の説明はあとにして、まずは馬小倉トーストの解説をしよう。
読んで字のごとく、馬刺しとバターとあんこが乗ったトーストである。当然馬刺しはあと乗せである。あと乗せサクサクだ。
ヌルチャパは説明が難しいからまぁ、実習を見ていこうか。
材料は砂糖漬けにしたキムチ、梨、キリン、ミャクミャク様、八尺様、パクチー、コリアンダー、コリアン、123ダー、おケツ、醤油、みりん、酒、犬だ。
これらを全てオセロで負かして敗北の味を覚えさせ、2日間冷蔵庫で熟成させるところから始まるが、それは前の担任が仕込んでおいてくれたので今日はヌルチャポの段階から始められる。
ヌルチャポになってしまえばもうこっちのもので、あとはこれをオーブンにぶち込んで10秒焼くだけで完成である。
チンっ!
「はい焼けましたね〜! 食べたら冷めやすい大きさに切り分けてくださいね〜!」
「あつっ!」
「あっつ!」
「あっつあっつ!」
「熱すぎィッ!」
「熱」
「激アツ!!」
「超激アツ!?」
「大当たり濃厚!?」
各々熱々のまま平らげ、冷めやすい大きさに切り分ける。
「先生! なんも残ってないんだけど! どうやってヌルチャパ作るのさ!」
そう、ヌルチャポはもうどこにもない。ゆえに、ヌルチャパを作ることが出来ないのだ。
「サッカーしよっか」
「うおおお。」
「わーい。」
「ワロタワロタ。」
「遊ぶぞー。」
先生の一言で教室は熱狂の嵐、らっきょうのカラシになった。
外に出る5年1組一同。持ってきたボールを地面に置き、「ちょん」と足で触れる先生。
「終わり! 教室戻るぞ!」
「うおおお!!!」
「楽しかったぁ!!」
「いい汗かいたぜぇ!」
「だろぉワイルド?」
「ゲッチュ!」
「ウンチを縦に真っ二つゥ!!」
「豆ピーナッツ!!!」
しょんぼりしながら教室へ向かう生徒たち。
この時、数名がグラウンドと校舎の間にあるセブンイレブンに寄り道してファミチキとビッグマックと桃を買ったことは2026年以降の現社の教科書にしか記載されていないという噂だったが普通にネットニュースになったし、桶屋も儲かった。世の中とはカービィなのである。
校舎まであと1km。その道中には様々なイベントがあったりなかったりした。
ガガガガガガガガ!!!
ドリルを地面に突き刺してガタガタ揺れている男。そして、その前で赤と白の旗を振る男。
「悪りィが、こっから先は交互通行だ」
旗振りの男に言われるまま、対向車が終わるまで待つ一同。
1分⋯⋯2分⋯⋯
9年99分⋯⋯
こうして10年の時が過ぎた。
「お疲れ様です〜! こちら給与明細です!」
「ありがとうございまサンゼンマンッ!?!? こんなに貰っていいんですか!?」
「いいんですいいんです。だってあなた、10年間休まず働きっぱなしだったでしょう?」
「ありがたやぁ⋯⋯ありがたやぁ⋯⋯」
(10年間休み0で飲まず食わずで働いて3000万か、社会って厳しいんだな)
そう思う15年1組一同であった。
「校長先生はバナナで殴られたはずでは!?」とパニックになっているあなたへ。
この世界のバナナは皮を剥くと50%の確率でちくわが出てきます。あと39%の確率で2000発、10%で3350発、1%で4700発です。バナナは出ません。