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狂愛の魔王  作者: ラー油
4章:天敵

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95/117

95.伽耶視点

 「暴走する少年少女の捕獲?」

 それがあの日私と響香と正志に命じられた任務だった。

 「もう暴走してるんですか?」

 「あぁ、今すぐにあたってくれ」

 「やんちゃ盛りだなー」

 この時は楽観的な雰囲気で指定された場所に移動した。

 移動といっても〈入れ替えの勇者〉でテレポートしただけだけども。

 「……へえ、結構ヤバめな感じ?」

 正志がそう言うのも無理がない程に異様な光景が広がっている。

 人々が悲鳴を上げながら逃げている。

 「上から行きましょうか」

 「うん、お願い」

 最近では箒に乗ることは減って響香に浮かせてもらうことが増えていた。

 「……嘘、まさか狂愛?」

 「一応十六歳って聞いてんだけどな」

 私達の中に緊張感が流れる。

 視線の先に映ったのは赤黒い煙を纏って暴れる姿だった。

 二人とも狂愛との戦闘経験は一回あるが死にかけている。

 「とりあえずマーキングを付けましょうか」

 響香はそう言って白紋を刻むと無数の鉄球を放つ。

 暴れている能力者は強化系という話は本当らしく速すぎる動きで建物を飛び全ての鉄球を回避する。

 「私がサポートするわ。二人は何とか一回だけ攻撃を当てて」

 そうすれば勝てるのが二人の勇者の能力だ。

 「目覚めよ深淵の監視者よ、闇に染まらぬ純真な瞳を塞げ。闇の太陽(ディスミステーション)

 この魔法はマーキングが付いていない相手が見たら視界を奪う太陽を作り出す魔法だ。

 ただ効果時間が短く周りと合わせないといけない。

 召喚と同時に鉄球を放ち避けずらくしたが大きく建物に突っ込まれて回避される。

 「これは相手するだけ無駄だな」

 「ウラヌスよ、我が身に宿りて空間を統べよ。空間色覚」

 周りの人間を探知すると〈入れ替えの勇者〉で避難は終わって暴れている狂愛状態の子しかいない。

 そう思ってヒットアンドアウェーに徹しようと思ったが地面の下の方に気配を察知する。

 「下に誰かいる!」

 私がそう叫んだ瞬間地面から二人の男女が出てくると直径20メートルの炎の柱が襲ってくる。

 「危ないな。暴れてるのは一人だと聞いてたんだけどな」

 〈入れ替えの勇者〉で回避したが笑えない被害が出ている。

 町の復興にどれだけかかることやら。

 「三人かしら」

 「能力は強化系と〈噴火〉?と〈影移動〉っぽいな」

 「〈影移動〉が少し嫌だね」

 こっちが移動速度で負けることはないだろうが厄介だ。

 「君達!もうこんなことは辞めないさい!狂愛ってことはまだ大切な人が生きているんでしょ!」

 これ以上の戦闘は正直言って無駄だ。私達がこれ以上被害者を出すことはない。

 これで納得してくれればいいのだがますますやる気が出てしまったらしい。

 〈影移動〉の少女も狂愛の状態になる。

 「死ね」 

 ほんの瞬きの一瞬で〈影移動〉で強化系が突っこんでくる。

 「っしま!」

 テレポートが間に合わないと判断した私は鬼門を開いて呪文を省略する。

 「聖なる壁(プロテクション)

 私が一瞬だけ拳を止めた時間でテレポートする。

 「これ以上は本当に不毛よ、お互いの寿命を縮めるだ――」

 私が説得の言葉を言い終わる前に目の前の少年少女はバラバラに切り刻まれる。

 「は?」

 何が起こったが理解できずに風が飛んできた方向を見る。

 遠目に見えたのは日本のトップである如月尊だった。

 〈神風〉で狙撃したことを理解する。

 「狂愛相手に説得は無駄じゃろう?」

 「……そうですね」

 私は胸にしこりを残しつつも納得する。

 「後一人は――」

 私が〈噴火〉の子に視線を向けると身の毛もよだつ殺気と熱気を感じる。

 「……噓、殺るなら全員殺ってよ」

 目の前には漆黒の煙を上げている太陽のような塊がある。

 その塊は今にも爆発しそうになっている。

 「……まずいのぉ」

 「まずいのぉ。じゃない!どうするんですか!?」

 この爺は何を言っているんだろうか?

 本当に余計な事しかしない。

 「どうしますか伽耶せんぱ――」

 「プー!プー!」

 「っ!やむを得ん。正志、どこかに飛ばせ」

 「どこかって、どこに!」

 正志が言う通りで飛ばすにしても飛ばせる場所なんてない。

 「……やるしかない」

 これが爆発したここら一帯は消し飛ぶ。

 そんなことを許すわけにはいかない、

 莉緒と淳史は守らないといけない。

 「開け冥府の扉」

 久しぶりの感覚だ。いつぶりだろうか。

 命が燃えていくのを感じる。

 「先輩!煙が!」

 自分が赤黒い煙を出していることなんてどうでもいい。

 目の前の太陽を消し飛ばさないといけないと皆が、家族が死ぬ。

 「開け冥府の扉。消滅の神よ、壱万の生贄を喰らいて顕現せよ」

 嫌な予感はした。でも止まれなかった。

 それにこれ以上悩む時間は無い。

 「霧に隠されし神聖よ、老若男女を隠せ。神隠し(アポカリプス)

 この呪文を唱えた瞬間目の前とそして後ろの方で黒い柱が建つ。

 「……ごめんなさい、ごめんなさい。私が弱いばっかりに」

 後ろで柱が上がったところは避難場所だった。

 

 

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