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【第2巻発売中】ツンな女神様と、誰にも言えない秘密の関係。  作者: 赤金武蔵
初めてのイベントはトキメキと共に
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第69話 変化

「でも、本当に何もないのですか? 雪宮会長、去年と全然雰囲気が違うんですよっ」

「そう言われても……」



 あるっちゃある。俺と雪宮は、実はほぼ毎日一緒にいるという事実が。

 当然そんなこと言えないし、言ったら最後、女子の情報網のせいであることないこと言いふらされる気がする。

 春風さんの性格からして、そんなことはないと思うけど。

 しかし春風さんは、俺が否定してもまだ興味津々みたいで。ふんすふんすと鼻息を荒く距離を詰めて来た。



「や、八ツ橋様は知らないと思いますが、去年の雪宮会長はそれはもうすごかったんです。こう、空気がぴりぴりしてるというか、圧倒的孤高というか……!」

「あー、そんなイメージあります」

「そうですよね!? 四月の初めの定例会議でも、雪宮会長と八ツ橋様は一触即発でしたもの!」



 そんなことを嬉々として言うな。

 あとあれは俺のせいじゃない。雪宮が悪い。……悪いったら、悪い。



「そんな雪宮会長が、この一ヶ月ですごく丸くなったんです。いえ、柔らかくなったというべきでしょうか……とにかく、女子生徒の間では雪宮会長の変化が話題なんですよ」

「そ、そっすか」



 おかしいな。白峰女子って、日本有数のお嬢様学校だったような。

 そんな下世話な話で盛り上がるのか……ちょっと意外。



「ただここだけの話、それをよく思っていない方々もいらっしゃいまして……」

「……何?」



 雪宮の変化をよく思っていない、だと? そんな噂、聞いたこともない。

 まあ、俺の女子の知り合いって、雪宮と黒月だけだから、そんな噂は入って来ようがないんだけど。

 春風さんは辺りを気にしつつ、俺にしか聞こえないほどの小声で話しかけて来た。



「雪宮会長が変わったのは、黒月高校の皆様がいらしてから。つまり、雪宮会長は殿方の目線を気にしているのでは、と……」

「……それは暗に、雪宮が男に媚びてるって言いたいんですか?」

「だ、誰もそこまでは……! ただ、それが面白くない方もいるようで」



「すみません」と小声で謝る春風さん。別に春風さんが謝るようなことじゃない。根も葉もない噂の方が悪いに決まってる。



「生徒会の面々も、雪宮会長と八ツ橋様の仲を疑っている方もいらっしゃいます。雪宮会長、八ツ橋様と一緒にいるときが一番イキイキしていますから」

「イキイキとつっけんどんにされてるだけですよ」

「ふふ。面白いことをおっしゃられますね」



 面白いことなんて何も言ってないけど。

 お嬢様の笑いのツボがわからない。

 屈託のない笑みを浮かべていた春風さんだが、それもすぐ影のある笑顔に変わってしまった。



「私たち白峰の生徒は、一年生の頃から雪宮会長のことを……氷花さんのことを、知っています。あの方は相手が先生であろうと、間違っていることは間違っていると声を上げられるお方です。だから、皆様から人望を得ているんです」

「うわ、想像できる」

「はい。なので、厳しくも優しく、冷たいようで温かい……他校の生徒からは氷の女神様と呼ばれていますが、そんな雪宮会長を、私たちはお慕いしているんです」



 そ……うか。慕っているからこそ、男子が現れただけで前とは違う雪宮になってしまったことに困惑し、怪しんでるってことか。

 スマホをカバンにしまった春風さんは、「でも」と続ける。



「私は、雪宮会長の変化を歓迎しています。あの方があなた様を選び、氷が少しでも溶けていくなら」

「…………」

「お願いします、八ツ橋様。雪宮会長と、これからも仲良くしてあげてください」

「……ええ、勿論」



 是清さんからも、雪宮を任されてるんだ。

 俺にできることなら、なんでもする。なんだってしてやる。

 俺は、あいつのよき隣人だからな。

 にこやかに笑った春風さんは、深く、深く息を吐いた。



「はぁ~……ようやく言いたいことが全部言えました。この写真だって、どうしようか迷っていたんですよ」

「あー……無駄なご心配をおかけしまして」

「いえいえ、そんな。それに勿論、雪宮会長の変化を喜んでいる方々もいらっしゃるんですよ? やんわりしてきて可愛いとか、雰囲気が柔らかくなったとか、話しかけても刺々しさがないとか」



 にこにこと楽しそうに話す。どうやら、春風さんも雪宮の変化が嬉しい派閥らしい。

 あいつの変化、か……確かに、最初に比べたら丸くなった気はする。気も許してくれてる感じがするし。

 どこの世界、どこの学校でも、派閥ってのがあるんだな……はぁ、めんどうくせえ。

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