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【第2巻発売中】ツンな女神様と、誰にも言えない秘密の関係。  作者: 赤金武蔵
初めてのイベントはトキメキと共に
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第60話 心のモヤモヤ

「あぁ〜……しんどい」



 十八時までの勉強会を終えて、ようやく家に帰ってきた俺と雪宮。

 雪宮もさすがに疲れたのか、ソファーに腰を下ろしてそっと息を吐いた。



「雪宮、大丈夫か?」

「ええ、私はね。あなたの方が大変だったでしょ。水瀬友人に勉強を教えるの」

「あー……まあな」



 黒羽高校の授業スピードとは段違いだし、ある程度ついていけないのもわかるが……今回は本当にやばそうだ。

 淳也は、黒羽ではむしろ成績はいい部類だった。

 それほど、白峰のレベルは高いんだ。



「今回ばかりは、淳也には泣きをみてもらうしかないな」

「八ツ橋くんは余裕そうね」

「余裕ってわけじゃないけど、いつも雪宮に勉強見てもらってるからな」



 むしろ毎日勉強してるのに、成績悪かったら泣く。

 それに雪宮に合わせる顔がない。せっかく自分の時間を削ってくれてるのに。

 そんなことを考えていると、雪宮は意地悪な笑みを浮かべた。



「もし八ツ橋くんの成績が悪かったら、もっと厳しく教えていこうかしら」

「え」

「冗談よ」



 冗談なら冗談らしく言ってくれ。あれより厳しく教えられたら、俺の頭パーンってなるから。



「今の八ツ橋くんの実力だと、二桁くらいには入ると思うから、安心しなさい」

「そんな上に行けるかね……?」

「行けるわよ。私が保証するわ」



 う……それは却ってプレッシャーなんだけど。

 けど雪宮にそう言われたら、頑張るしかないよなぁ。

 淳也には悪いけど、俺は俺でやることはやらないと。



「八ツ橋くん、お腹空いたわ」

「あ、そっか。じゃ、今日は簡単にオムレツにするか」

「ふわとろがいいわっ」

「はいはい。冷や飯はあるから、チキンライス作ってくれるか?」

「ええっ」



 雪宮はうきうきとエプロンを着けると、冷蔵庫を漁って材料を取り出す。

 雪宮の料理の腕も相当上がった。正直、もう一人で食っていくには十分なくらいには。

 洗濯物も一人でできるし、苦手な掃除もこまめにできている。

 元々飲み込みの早い雪宮だけど、一ヶ月ちょっとでここまでできるようになるなんて……。



「これはもう、俺が教えることはなくなったな」

「え」

「ん? どうした?」

「い、いえ……」



 どうしたんだろ。なんか慌ててる?

 俺、変なこと言ったかな。

 ……うん、わからん。弟子に教えることがなくなった師匠の気持ちなんだけど。

 雪宮は何かに気を取られてるのか、俺の方をチラチラと見てくる。



「おい雪宮、そんなによそ見してると──」

「ッ……!」

「あ」



 案の定、指先を切った。

 ほんの少しだから、少し血が滲んでるくらいだけど。

 傷口を流水で洗わせ、消毒液で指先を消毒する。

 にしても小さい手だ。指も細いし、本当に同年齢か怪しくなる。

 雪宮はミスが恥ずかしいからか、俺に消毒されてる最中も顔が真っ赤だ。



「大丈夫か?」

「だっ……だだ、だ……だい、じょーぶ……ます、ですっ……!」

「全然大丈夫そうに見えないけど」



 疲れもあるのかな。いつもより呂律が回ってないような。

 ばんそうこうでしっかり固定し、処置管理っと。



「ほれ。できたぞ」

「ご、ごめんなさい……」

「気にすんな、俺も声を掛けたのが悪かったし。でも、包丁を使ってる時に目を離すのはダメだぞ。あと火を使ってる時もな」

「はい……」



 ふむ。ちょっとミスしちゃって、落ち込んでるみたいだ。

 そんなに落ち込むことないけど、雪宮のプライドが許さないんだろう。

 相変わらず、完璧主義というかド真面目というか。



「後は俺がやっておくから、休んでていいぞ。慣れない勉強会で疲れたろ」

「だ、大丈夫よ。私にやらせて」

「……じゃ、炒める時はやってもらおうかな。包丁と水回りは俺に任せとけ。怪我してる奴に、この辺はやらせられないからな」

「…………」



 あら、しゅんとしちゃった。

 でもこれも勉強ってことだ。こうやって一つずつ覚えていけばいいさ。



   ◆雪宮side◆



 ……最近、変だ。

 なぜかわからないけど、八ツ橋くんのことでモヤモヤすることが増えてる気がする。

 別に八ツ橋くんのことなんてどうでもいい。

 私と彼は、利害の一致で一緒にいるだけ。本当、ただそれだけの関係。

 でも、なぜかしら。

 八ツ橋くんの部屋にいると落ち着く。

 布団で寝てると、いつもより寝れる。

 料理を作ってる後ろ姿とか目が離せない。

 黒月さんと手を繋いでるところを見るとムカつく。

 仕方ないなって笑いかけてくれると心臓がキュッとなる。



「…………」

「……あの、雪宮? なんでそんなに睨んでくるの?」

「……八ツ橋くんのくせに」

「なんで唐突にディスられたの俺」



 訳がわからない。

 ……もしかして私、病気なのかしら。今度医者に見てもらったほうがよさそうね。

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