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私にとっての一歩

 私は家に帰ると、いつもの通り自分の部屋に入り、着替えを済ませベッドに寝転がった。

 スマホを手に取りSNSを見ていると、自分を少しでもよく見せようと必死の女子たちが笑顔でこちらに向かってポーズをとっている。

(この子達のこと少しバカにしてたけど、私よりも確実に男子からは人気があって青春らしい青春を送っているんだよなぁ。)

 そんなことを考えながら、スクロールしてもさして変わらない映像を映し出す画面をぼんやりと眺める。

 心のどこかではこのままじゃ結局何も変わらないことには気が付いている。しかし、一歩を踏み出すことができない。今の環境から飛びだす決心をした私を見たら家族や友達はどう思うだろう。もし嫌われたらどうしよう。そんな思いが一歩踏み出すことを邪魔してしまう。

 私はスマホの画面をオフにすると、ベッドから起き上がり下に降りた。そしてそのまま家の近くの公園に向かった。小さい時からよく遊びに来た、ごく普通の公園だ。

 特に気持ちが変わったわけじゃない。ただ部屋にいても鬱々とした気持ちが膨らむばかりで、なんか嫌だった。だから少し家を出てみた。そんな軽い気持ちだった。

 公園に着くと、沈みかけの太陽がさながらライトアップしているかのように満開の桜を照らしていた。私はこの桜の木の隣にあるブランコにゆっくりと腰を掛けた。何も考えず、ただそこにある桜を眺める。桜の花というのはせいぜい5日ほどしか満開ではいられない。それでもこうして毎年毎年、精一杯咲き誇る。そんな桜を眺めていると、「お前もこんなところで油売ってないで、もうちょっと本気で生きてみろ」と背中を押されているような気分になった。桜を見てこんな気持ちになるなんて我ながらどうかしている。しかし、今の状況はもっとどうかしている。転生したかと思ったら、前世の自分がスーパー優等生になって自分の目の前に現れたのだ。これ以上にどうかしている状況なんてこの世のどこを探してもないだろう。それから考えたら、こんなのかわいいものだ。そうだ、変わってみよう。変わる努力をしてみよう。一回失われた人生、もう一回やり直すチャンスをもらえたのだから、今度はリンとして精一杯やりきってみよう。公園に来てから10分ほど時間が経っていた。

 ブランコから降りると、少し遠回りの道のりを選んでランニングして帰った。自分を磨きなおそう。自分が自分に自信を持てる自分になろう。そんな気持ちが私の足を前へ前へと進めた。

 自己改革はまだ始まったばかりである。


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