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第89話 二学期も騒々しくなる(確定)

 夏祭り以降、あっという間に時間は流れ早くも二学期はへと突入した。

 俺の光輝ラブコメ計画は順調とはいかず、されども三人のヒロインルートの開拓することに成功した。


 だが、それはおかしな話ながら俺もまた同じであるのだ。

 光輝の妹が色々あって姫島、雪のヒロインズに加入してしまった。

 なぜ光輝のラブコメが進むと同時に俺のラブコメも進んでいるのか。


 しかも問題なのが、ラブコメしてることに俺自身が気づいていることということだ。

 こういうハーレムラブコメというのは、あくまで主人公は無自覚でハーレムを展開しているのが普通であろう。


 で、なぜ無自覚なのかを俺個人の見解で言えば、無自覚でなければ主人公は単に女好きの最低野郎となり果てるからだ。


 無自覚で勝手にかかわった少女が自分のことを好きになっていく、されど主人公はそのヒロインに気付かない。


 これはあくまでこういう形になるから女の子の恋心をむやみに刺激して遊んでいるわけではないとなるのだ。


 ところが、今の俺はどうであろうか。

 姫島、雪、沙由良の三人からの好意を知っていて、その上でできればその恋心の自然消滅を願いながら、答えを保留にしている。


 保留というとまだ感じ良く聞こえるが、控えめに言ってもキープだ。

 俺は一体どこぞの悪女だ、と言いたいほどにクズな行動をしてる気がしている。


 されど、俺が安易な答えを出したところで認めてくれるような三人ではないだろう。

 俺はあいつらに対してどう答えてやるのが一番誠意となるのか。

 ......いやまぁ、それは俺の選択が一番の答えになるんだろうけど、正直俺は何も見えてこない。


 俺は俺自身の恋愛なんて毛ほども興味ないし、ましてやあると思っていなかった。

 俺が光輝をメインとした人生とわき役と自覚した以上、それ相応の決まりきった不変な人生が展開されると思ていた。


 だがどうだ、実際は光輝と同じ数だけのハーレム学園がなされてしまっている。

 光輝のラブコメで同時にその友達もラブコメしてるってどういう展開なんだよ。


 簡単な話だが、俺のラブコメを消す方法は至ってシンプルにある。

 それはあいつらに対する俺への好感度をヘイトで打ち消してやればいいというものだ。


 しかし、それをしてしまえばいよいよもって俺は最低最悪なクズとなり果てるだろう。

 そうでなくても、俺は光輝の親友としてあいつに泥を塗るようなことはしたくないし、さすがに女子にそんなことをするのはどうかと思うからしないけど。


 だが、そんなことをしていればずるずると時間だけを伸ばしていくだけになる。

 さすがに勇気をもって行為を伝えてくれてるのだから、こっちもしっかりとケジメをつける必要があると思うんだけど......俺は俺自身の良い所が何一つ見つからない!


 だって、ぶっちゃけ「提供屋」なんて平然と相手のプライバシーを侵してるわけだし、言い方変えれば他人に知られたくない情報というものでマウント取ってるだけだ。


 そんな俺がもとより好かれるなんて皆無だ。

 にもかかわらず、それを知ってまで好きになる姫島とか雪は変人の極みかよ!


 それに雪は何をもって俺をいい人と認定しているのかこっちは皆目見当がつかない。

 はぁ......最悪、俺の提供屋(うらしごと)を知れば沙由良は削れるか?

 いや、あいつは特に変人代表みたいな感じだからなぁ。


「―――――く」


「はぁ......」


「おーい、学。どうしたため息吐いて」


 俺の後ろの席から声がかかってきた。気が付けば光輝が登校してきたらしい。

 教室や廊下の雑音も増えてきて、すぐ近くには乾さんや結弦、姫島、雪、生野らの女子ーズが姦しく話している。


 あいつらもいつの間にか登校してたんだな。

 意外と長く自分の考えに没頭していたらしい。

 チラッと見ると姫島、雪と目が合った。

 すると、二人は会話の隙間にこっそりと俺に向かって軽く手を振ってくる。

 いや、付き合いたての彼女かお前らは。


「はぁ......」


 そんな姿を見て再びため息が漏れる。

 二人の好意を知っておきながらすでに二、三か月は経っている。

 されど、ああいう行動をして来るということはまるで熱は冷めてないようだ。

 うっ、妙に胸にズキッと来るな。これが罪悪感か。


「ホントにどうした? 体調悪いのか? 悪いだったら保健室に――――」


「いや、そうじゃない。昨日やってたギャルゲーが神作すぎて今思い出してもため息が出るほどに感動しているだけだ。それを今はプレイバックしてるだけ」


「妙に紛らわしいことするなぁ」


 これで光輝に対する言い訳は成立した。

 俺の普段のキャラ属性も相まって信じてもらえたようだ。

 とはいえ、こうして光輝を騙してるのは更に気分が悪くなる。

 ここは明るい話題で話を変えていこう。


「光輝、ついに待ちに待った二学期だな。二学期と言えばなんだ?」


「なんだってそうなだなぁ――――」


「そう! 文化祭にハロウィーンだっ!」


「まだ何も言ってないし、ハロウィンは学校行事違うから」


 うんうんこれこれ。これだわ俺と光輝の会話のテンポは。

 夏休み入ってから俺はちょっと頑張りすぎて、難しく考えすぎたな。

 一旦リフレッシュすることで返っていいアイデアが閃く場合もある。

 うん、ここしばらくはフリーダムな思考で行こう。


 考え過ぎでヘマするパターンはもう生野の時にやっちまったし、また生野みたいに誰かに弱みを見せるわけにはいかないからな。


「俺の調べによるとここの楤場際は年々結構派手なことをやってるらしいな。

 メイド喫茶さながらのクラス出し物とか、学生の有志ライブイベントとか」


「そう言えば、なんだかんだで中学生の時にここの文化祭とか行ってないね。

 だからかもしれないけど、それだけ聞いても結構ワクワクしてる」


「安心しろ、俺は必ず実行委員になる。その実行委員に今のうち己の欲望を吐き出すと言い。その希望を叶えてやろう」


「悪い顔してるなぁ」


 そりゃその文化祭は光輝のラブコメストーリーの大きなイベントになるからな。絶対に外すと事は出来ない。


「ならば、私は男子が女装する喫茶店が見たいわ!」


 そう俺と光輝の話に割り込んできたのは姫島であった。誰がお前の欲望をぶちまけろと言った?


「わ、私もその......見てみたいです!」


 雪も瞳を輝かせて言うんじゃない。


「そうね、案外面白いんじゃない? 男子のじょ・そ・う」


「光輝君に女装とか......ぷふっ」


「こう君は絶対似合うと思うよ! いや、似合う! 確定!」


「「お前ら......」」


 生野、乾さん、結弦まで調子のいいことを言い始めた。

 特に生野のニヤついた顔はムカつくな。絶対面白がるつもりだ。

 すると、朝のホームルーム前の予鈴が鳴り響く。

 その音で一斉に生徒が自分の席へとつき、担任が教室へと入っていく。


 しかし、それに関して少しだけ俺は小首を傾げた。

 なんか担任来るの早くね? いつもなら予鈴から五分後くらいに来るのに。

 そんな俺の疑問を他所に担任は全体へと声をかけていく。


「よし、お前ら聞いて驚け。転校生だ。それも二人でとびっきり可愛いく、カッコよくな」


 ......転校生? 待て待て、俺の情報網なら確実にそんな人物が来るなら情報はキャッチするはず。

 しかし、微塵もこっちに何も流れてこない。

 まさか教師側が意図的に伏せてた? いや、伏せるメリットなんて――――


――――ガラガラ


 すると、教室のドアが音を立てて開かれていく。

 二組の男女が入ってきた。

 その瞬間、俺の全身に寒気がした。


「初めまして、うちは【花市 杜代(はないち とよ)】言う。どうかよろしゅうおたのもうします」


 あ、あいつは......あの京都弁は――――俺の腐れ縁幼馴染!?

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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