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第77話 最近被ダメが多い

 俺と生野が岩場から戻ってくると昼食を取ってる乾さんや結弦を含めたグループから離れて、光輝が一人の程よく日焼けした褐色少女と言うべきこと話していた。


 その様子は初対面の相手にしては随分と砕けたリアクションを取ってるような気がするではないか。

 ふ~む、どちら様? さすがの俺でも光輝の全てを知ってるわけじゃないしな。


 にしてもまぁ、まるで旧友に会ったみたいな感じだな。

 もしかして、結弦みたいな感じで昔小さい頃に数か月一緒に過ごしていた子みたいなパティーン?

 まぁ、そこら辺に関しては光輝からでも沙由良からでも直接聞いてみればいいか。


 ふと横を見てみる生野がその二人の様子をじっと見ていた。

 どこか呆けたような気もしなくもないその顔に思わずほくそ笑んでしまう。


「気になるか? あの二人の関係が」


「まぁ、それなりに」


「......なんか思ってた反応と違うな」


 そう聞けば前の生野なら「べ、別にそんなことないし」的なツンデレ風の返答が帰ってくると思っていたのだが......やはりどうにも感じが変わってしまったな。

 どこか......そう、どこか興味が別に移って関心が薄れてしまったようなそんな感じ。


「なによ?」


「前の方が可愛げあったのにな......」


「かわっ!? な、何言ってんのよ! あたしは別に前から可愛いし? あんたに言われてもどうとも思わないけど!」


「そうそう、それそれ。そんな感じが欲しかった」


「何言ってるかさっぱしなんだけど!?」


 うん、杞憂だな。生野は別に何も変わってない。

 変わって......ってあれ? なんか妙に引っかかる部分があるが......気のせいだよなさすがに。


 一先ず光輝達の方はそっとしつつ、皆がいる場所に集まっていく。

 そこにいる女子達はプラスチックの容器に入ったやきそばやらフランクフルトやらといろんなものを思い思いに食していた。


「あら、随分と遅い帰りじゃない。莉乃さんと何かあったのかしら? それも岩場の所でなんて」


 来てや早々に睨みつけられるような目で姫島にそう言われた。

 この目......俺と生野が話してたこともそうだが、サンオイルの件も怒っている気がするな。


 姫島の機嫌を損ねても別に放っておいてもいいのだが、なんか後々めんどくさいことになりそうなので早めに対処するとするか。


「何って別に――――」


「ふむ、沙由良んの妖怪レーダーもとい色欲レーダーがギンギンに発動しましたね。まさしくナニをヤっていたのでしょうか」


 おい水木し〇る大先生の鬼〇郎の大事な触覚をそんな下品なものに仕立て上げるな! っていうか、その「何」じゃねぇ!


「単に話してただけだよ」


「ピロートーク?」


「とんでもねぇこと言いやがるよこいつ」


 おっと思わず素が出てしまった。幸い、怪しまれなくて良かったが。

 にしても、沙由良......陽神家のどういう教育を受けたらそんなにさも当たり前のようにそんなこと言えるようになるんだよ。


 まだ光輝の妹として定着している今、お前の発言は光輝及び陽神家という印象に関わってくんだぞ?

 お前が下ネタ言えば光輝までもがそういう目で見られることになるからやめてくれ。


 ほらもぅ、乾さんと結弦は飲んでいたもの軽く吹き出してしまってたり、赤面したりしてるじゃん。


 雪だってバグって......ってこれは正常か。

 一先ずの安心はなぜかここに妹がいないことだろうか。

 どこか行ってんのか? またどっかで買い食いしてそうだな。


「まぁまぁ、学兄さんや異論反論大いに結構。ただ認めた方が良い事実というものもありますよ」


「なんで俺が悪い方向で話が進んでんだ。そもそも俺をどういう人間だと思ってんの?」


「そりゃ――――沙由良ん先生の大ファンだと」


 お、お前、ここでその発言をするんじゃねぇぇぇぇ!


「雪ちゃん、少し手伝ってもらっていいかしら」


「奇遇ですね。実は私も手伝ってもらおうと思ってました」


 その声に思わずビクッとしてしまった。

 顔を俯けたままゆらりゆらりとまるで生気のない人間のように立ち上がる姫島と雪。

 その二人はそれぞれ俺の両腕を掴むとそのままどこかへと連行し始めた。


「お、おいお前ら!? え、ど、どこ連れてくつもり?」


「「岩場です」」


 さらに威圧が強くなったような姫島の目にそれに負けず劣らずの雪の目。

 見て明らかに怒っているとわかる。ゆ、許すまじ沙由良め。


 ふと目線を後ろに向けてみれば、まるで今生の別れのように流してもない架空の涙をハンカチで拭きながら見送る沙由良となんとも呆れた表情をしていた生野の目線が刺さる。


 まぁ、ぶっちゃけその二人の視線はどうでもいい......沙由良には一発ビンタしてやりたいが。

 問題はその場に乾さんと結弦がキョトンとした表情で眺めていることであった。

 これは......余計な勘違いを発生させた可能性が高いな。


 しかし、そんな訂正の言葉を送れるはずもなく、二人に連行されていく。

 そして、岩場へ到着――――したものの、別のカップルが正しくイチャイチャしていたので、二人は別の岩場へ。


 二つ目の岩場は複数の子供達がたくさん遊んでいたのでそこもスルーしていく二人。

 最後の近くにある岩場ではリアルハーレム男と言うべき奴が二人の女性相手にイチャイチャしていた。


 その光景に雪の妄想が捗ってしまったのか、盗み見る雪を俺と姫島が両脇を抱えながら無理やり退散させていく。そして現在、ビーチの上にて。


「私も岩場が欲しい人生だったぁ!」「私も岩場が欲しい人生でしたぁ!」


「そんなことでがっかりする奴初めて見た」


 姫島と雪は砂の上で四つん這いになりながら、成長系主人公の壁にぶちあったった瞬間並みの悔しがり方をしていた。

 いや、それよりも気にすること色々あるだろ。


「だけど、やはり岩場というのはリアルでも人気スポットであるということは確かなようね!」


「はい、人気のないされど人の声はして見られる可能性もある背徳感を得ながらイチャイチャするのはリアルでもアリなようですね」


「アリにすな」


 お前ら頭の中淫乱ドピンクすぎるだろ。

っていうか、岩場=背徳イチャイチャって思考がまず犯され過ぎだわ。


「でも、影山君も考えて見なさい。人間という生き物はどこまでもエゴにまみれた生き物なのよ。でも、生き物であることには変わりない」


 姫島はちょいちょいと手招きして、砂の地面を軽く手で叩きながら座るよう促してきた。

 そして、俺がそこに座るとそのままその場に寝かせていく。

 うっ、砂の地面ってクソ熱いな。


「植物であっても動物であっても、自分もとい種の存亡が危ぶまれた時子孫を残す行動を取ると言われています。

 故に、岩場での背徳は言わば自らをあえて危険な状況に置くことで種の存続という意味合いの発情を促してるわけです」


 姫島と雪は俺を埋めるように砂を盛っていく。あー、昔に光輝と海に行った時もやったな。

 正直、受ける側ろしては拷問でしかないが、こいつらを怒らせた罰として甘んじて受け入れよう。

 ......いや、別に俺悪いことしてなくね?


「「それ故に、背徳というネタは好まれるのです!」」


「変な理屈をこねくり回してそれを隠れ蓑にすんじゃねぇ」


 俺の顔以外すべて砂を盛った頃には変なことを自信満々に言われた。

 いや、背徳イチャイチャが肯定的意見出されても困るんだけど。

 だって、そもそも俺と生野は話してただけだし。

 どっちかって言うとお前らが勝手な勘違いしてるだけだし。


 っていうか、お前らどうして女性型に砂を盛った?

 全体像は見えないんだけど、明らかに胸の部分が大きいんだけど。


 姫島と雪はどうにもその砂の盛り方が気に入らないのか一度崩して改めて砂を盛り始める。

 その際「これぐらいがDカップぐらいかしら」とか「逆にこのぐらいがBじゃないですか」とか言っているが、俺は全然気にしない。

 どうしてそこまで真剣に話してるのかなーんにも知らない。


「本当はわかってるのよ。莉乃さんとは何もなかったことぐらい」


 胸の形を拘って砂を盛る姫島はそんなことをふと言ってきた。それに続いて雪も言葉を告げる。


「どちらかというと、陽神さんの妹さんの発言が問題なのです」


 問題......あー、大ファンとか言った奴か。


「あれは......ちょっと細かく話すと長くなるんだが、あいつが携わってる同人誌......お前らが俺の家で見た同人誌があいつの関わってる作品なんだ。

 俺はそれが好きでまぁ知ってると思うけど集めてて、そういう意味で言ったんだ、それだけ」


「......わかったわ」


「私は影山さんを信じます」


 二人は納得するように頷くとそう告げた。

 良かった、ちゃんと理解力はあるんだよなこいつら――――


「できたわ!」「できました!」


 そう言って声を揃えて告げる。


「「右半分がDカップで、左半分がBカップの女性!」」


 ......なるほど、理解力が足りなかったのはどうやら俺の方だったようだ。


「気持ち悪っ」


 ってか、はよ昼飯食わせて。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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