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第204話 後輩乙女の最強伝説#1

―――陽神沙由良 視点―――


 しまった。夏コミでハッスルしてる内に夏休みが終わってしまいました。

 今年の夏コミは過去一の売り上げを記録して気分的にもウッハウハだったせいもあるでしょうが、この大事な夏休みに学兄さんに全く何もしていない。


 覚えているのは一度だけ学兄さんにアタックしたことだけ。しかし、それ以外が何もない。

 くっ、沙由良んとしたことが......この代償は大きくつきますよ。


 とはいえ、過ぎてしまったことは仕方ありません。

 もうあの時間は取り戻せないのですから、これからの行動で挽回するしかないです。


 幸い、その挽回の機会は遠からずに巡ってきます。

 というのも、この時期に起こる大きなイベントがあります。

 その名も文化祭! この機会を逃すわけには決して行きません!

 えぇ、決して! それこそ学兄さんを多少脅してでも!


 ......おっと、S気沙由良んが出てしまいました。

 しかし、いつもは学兄さんの方がガツガツ来るタイプで妄想していたので逆転というのもアリですね。

 さすがにいつも同じじゃマンネリ化してきますし。


 ふむ、ここは誤って学兄さんに飲ませるはずだった惚れ薬を沙由良んがうっかり飲んでしまったという体で生きましょう。

 そこから始まる普段は受け身の沙由良んによる逆襲撃。ほほ、これはこれで上がる。


「おっはーよう! お、沙由良ちゃん、なんか楽しそうだね」


「はい、朝からくんずほぐれつの取っ組み合いを妄想してました」


 朝、早めに登校する沙由良んとは違いのんびりと登校してきたちゃん沙夜。

 相変わらず独特なイントネーションの挨拶をしますね。慣れましたけど。


「いや、朝から何話してんのさ」


 そこから続いて声をかけてきたのはちゃんキリこと流川霧江ちゃんです。

 覚えてる人は少ないかもしれないですが、兄さんズハーレムの一人であります。

 褐色肌でボーイッシュな髪形をした彼女は未来の姉嫁候補ですね。


 ちゃんキリとちゃん沙夜、そして沙由良んの三人でのメンツが基本です。

 ちなみに、ちゃんキリはツッコミ担当。


 学兄さんがいなければボケが渋滞するだけだったのでそういう意味でも丁度良かったです。安心してボケれます。


「それは当然インモラルな話ですよ」


「そんな堂々として言う言葉じゃないね。ここは男子中学生の集まりか」


「ノンノン、そんなことはないかもしれない.....だよね? 沙由良ちゃん?」


「はい、女の子も存外スケベェですよ。ソースは沙由良ん」


「いや、沙由良を基準に一般化してるような発言されてもこっちとしてはただただ心外なんだけど......」


 ふむ、そうでしょうか。沙由良んの周りも十分にそうだと思いますが。

 例えば、言う時は遠慮なく下ネタを言うちゃんユカ(※姫島のこと)でしたり、ムッツリなちゃんスバ(※昴のこと)、同じくムッツリなちゃん莉乃、そしてインモラルクイーンことちゃん雪。


 このメンツだけ見てもかなりのものですよ。その五人はこの学校でも影響力が強い人物達ですから。

 ふむ、学校のマドンナ達が全員なんらかの変態性を持っている。

 ピッキーン! こ、これは......! 忘れないうちにメモっておきましょう。


 ともあれ、類が友を呼ぶと言われてしまえばそれで終わりのような気がしますが......まぁいいでしょう。


 エッチなのは悪いことではありません。人類エッチでなければ今頃ここまで繁栄してないのですから!


「エッチは誇って大丈夫ですよ」


「どんな結論から急にそんな発言をすることになるんだ?」


「ふふん、ならこれから『私は変態です』って名乗ってみようかな」


「やめようか。死ぬから。社会的に。人間性的にも」


「ちゃん沙夜の人間性は調教済みです。ブイ」


「あんたの仕業か!」


 ちゃん沙夜は良くも悪くも純粋で偏見を持たずにとりあえず吸収してくれる性質のおかげで非常に魔改造しやすかったですね。


 学兄さんに怒られた手前、完全にこっちよりには出来てませんが。

 まぁ、下手にヨスガ〇ソラみたいな近親エッチになっても困りますからね。初物は沙由良んのものです!


「それはそうと、文化祭シーズンが近づいてきましたね」


「確かに。去年来た時も結構面白かったし、今度はこっちが色々企画できる考えると面白いかもね」


「なんなのその急な話の切り替えの早さ......さっきの話よりはいいけどさ」


 ちゃんキリは呆れたようなため息を吐きながらその話題に乗ってきます。

 おやまぁ、存外ツッコんでる時の顔は活き活きとしてましたのに。

 これは沙由良んだけの秘密にしておきましょう。沙由良んはレディーですから。


「そういえば、文化祭に向けて準備も考えるとそろそろどんなことをやるかって発案をしなきゃだよな。

 内容によっては長期間の準備が必要なのもあるし」


「そうだね。学校で取れる準備時間なんてたかが知れてるし。

 場合によっては個人で作業してくる必要もあるかもだし」


 ちゃんキリとちゃん沙夜が真面目な話をしていきます。真面目な話は苦手なんですよね。

 なんでしょう、この無性にふざけたいという気持ちは。


 ハッ、ちょっかい出してはいけない場面で好奇心を押さえきれなかった沙由良んがちょっかいを出してしまい、その結果学兄さんに怒られて犯されるという名目のお仕置きが始まる。

 いつも純愛イチャラブ系だったのでたまにはこういうテイストもありかもしれません。


「お、沙由良は何メモってんだ?」


「ちょっとした思いついたものを。二人のおかげでまた違った魅力のエッチシーンが思い浮かびました」


「なんで?」


 ジトーッとした目でちゃんキリが見てきますが、やめてください。

 沙由良んはこう見えても可愛い子には興奮しやすいタイプなので。


「そういえば、去年の文化祭はちゃんキリも来てましたよね?」


「あぁ、来てたな。で、途中で二人とも合流したはずだけど。

 といっても、あの時は海の旅館でたまたま知り合いになったぐらいだったから今に比べればだいぶ大人しかったけど」


「その割にはだいぶツッコんでたような」


「なんだろうな。誰かが処理しなきゃという使命感に襲われたんだよ」


 「話が脱線したな」とちゃんキリは告げて言葉を続けました。


「二人に合流する前にいった場所といえば、正門通りの屋台だったり、自分で好きに描いたせんべいを食べれる落書きせんべいの教室だったり、後は光輝先輩がいたメイド&執事喫茶かな」


「メイド喫茶......!」


 あぁ、今でも鮮明に思い出せます。執事服を着た学兄さんが沙由良んを接客してくれた時のことを。

 あのせいでしばらく執事ものの設定がありえんばかり溢れ出たんですよね。うっ、思い出しただけで興奮が!


「そういえば、その店って結局どんな感じだったの?

 そこで行列が出来てたのは知ってたんだけど、兄ちゃの姿が見えなかったんだよね。見たかったな~執事服」


「あぁ、それは―――」


「ここは沙由良んに話させてもらいましょう」


 ちゃんキリが話そうとしたところを遮ると会話の主導権を貰い、ちゃん沙夜に説明していきました。


「恐らく丁度その時学兄さんは厨房にいたのだと思います。ちゃん沙夜とは途中ではぐれてましたし。沙由良んがちゃん沙夜探すついでに学兄さんの教室を訪れた時はホールスタッフはだいぶ忙しそうにしていて、その時に執事服を着ていた学兄さんがいました。その時の学兄さんの印象は正しく尊いって感じでしたね。いつものやる気なさそうな目でありながらきちっとした執事服はどこかギャップのようなものを感じさせ、さらに沙由良んに対しては毒舌というオプション付き。そのせいでしばらく沙由良んは毒舌俺様系執事キャラというものに嵌ってしまい抜け出すのはかなりの困難を極めました。加えて、毒舌でありながらなんだかんだ対応してくれるという絶妙な塩対応加減がこう......下半身にズキュンと来まして正直見てるだけで食欲と性欲が同時に満たせました。さらに、学兄さんはホールスタッフで忙しいというのに知り合いというだけでわざわざ手作りのオムライスを作ってくれて、それは当然ながら大変美味でありながら同時に愛情も詰まっているような気がして想像懐妊してしまうんじゃないかという気持ちにさえ感じさせ――――」


「うん、一旦落ち着こうか」


 ちゃん沙夜に冷静に言われました。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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