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第152話 一年の振り返り#2

 さて、これで関わってきた姫島、雪、沙由良の関係性......というか、どういう感じかダイジェストで振り返れたな。


 残すは二人。そして、この二人は割に直近の出来事だった故に印象深い二人なんだよな~。


 関係順から言うと四人目は國零昴。

 花市家のご令嬢である花市杜代の幼馴染であり、最高理解者でもある執事である。


 そして、花市は俺の幼馴染であるために、必然的に昴とも仲良くなるキッカケはあった。

 こう考えると俺って何気普通は誰も近づけないような花市大財閥の令嬢と幼馴染ってそれだけでやばくね?


 昴との出会いはそれこそ幼い頃の話だ。

 小さい頃のアイツはすでに花市の側近としての自覚があったようすだけど、はっちゃける花市に大概振り回されていたよな。


 んで、同じ振り回され同士で仲良くなったって感じか。でも、小学校以降の思い出はない。


 アイツは花市家の方針で容易に未来が変わる。

 アイツの手綱は花市に握られてるようなものだ。

 アイツ自身の意思でどうこう出来るレベルにはとっくにいない。


 だから、いなくなった時子供ながらもう再会することはないんだろうなと思っていたけど、まさかあんな形で再会するとはな。


 再会の時はだいぶ嬉しかったな。

 なんたってその時はまだ昴を男だと思ってたし、だから邪魔しないようにしていた光輝とは違って気軽に話しかけられる相手と分かったからな。


 でもきっと、今更ながらあの時から......いや、昴は俺に会うと分かった時から自分の本当の姿をどう過ごすか迷ってたのかもしれないな。


 そうとは知らず、俺はアイツを安息の地みたいな扱いをしていたわけで。

 そう考えるとめっちゃ失礼な奴みたいに感じてきた。

 その時は知らなかったとはいえ。


 で、アイツと関わって行く度に妙に女性っぽい仕草が垣間見えてきたんだよな。

 最初こそ俺が周りに変態しかいないせいで一件TS娘にも見えなくもない昴を清楚枠ヒロイン的な目で見てしまったのかと思ったけど、あれは普通にマジでガチだったという。


 確か、花市にも急されていたみたいな感じで、遠回しに俺に自分の存在が曖昧だってことをアピールしてたんだっけ? 違ったっけ?


 ともかく、俺はそれらから昴から妙なメスを感じていたってわけだ。

 でも、深くは考えなかったよな。


 考えたくもなかったし、考えたら考えたらでデリケートな話故に今後の関係性が危うくなると思ったのだ。


 だが、俺の思いとは別にそのことは昴自身から伝えられた。俺に告白という形で。

 ただその告白は冷たかった。

 自分が自分でも曖昧だから、俺にどちらでいるべきか選択肢を与えたのだ。


 それはつまり俺にとって都合の良い存在になると。

 恐らく花市から事前に俺の周りとの関係性が筒抜けだったからだという理由だろう。


 アイツは俺に負担をかけたくなかったんだ。

 どちらの心であっても俺のことを好きだという感情は変わらなかっただろうに。


 確かに、最近だとよくネット漫画で友人がTSした際に割にコミカルに描かれてることが多いけど、実際に抱えてる人達からしたらそこまで簡単な話じゃないのだろう。


 あれはあれで例えそういう感じでも受け入れやすい社会性を示している......っていうとさすがに考えすぎか。


 ともかく、昴にとっては一世一代の告白であり、俺に「諦めろ(ノー)」と告げられるか「そうなのか(イエス)」と決めてもらう大事な場面であったわけだ。


 しかし、俺にはその場で決断できる意志はなかった。

 その間、昴はすごくモヤモヤしたことだろうな。


 そしてそれに対し、俺は出来るだけ重く捉えて欲しくなく、それでも確実に俺の意思を伝えられる方法を探した。

 それがあの文化祭だった。


 メイドは実際に昴に気持ちを近づけるための表現方法で、ふざけたものでは決してない。

 さらにバンドを組み、死ぬ気で練習し、歌詞も作り、曲も作りとゼロからスタートでよく形に持っていったと思う。


 それだけアイツの言葉は俺に残ってたんだ。

 どっちであろうと俺は純粋にお前の気持ちを受け止める気概ぐらいあると示したかったんだ。


 結果、昴は吹っ切れたみたいだ。

 その上で俺に男友達のように近づいて、一途な乙女のように可愛らしさも見せる完全無欠男性? 女性? になってしまったわけだ。ふっ、ハーレム化が止まらねぇ。


 そして最後は一番直近の出来事である生野莉乃。

 こいつとの出会いは光輝絡みだ。


 光輝に積極的にぶつかっていって当たって砕けたからそれを俺が回収して組み立て直した。


 最初は単純な関係性だけを組もうとしたが、思ったより波長が合ったために仲良くなってしまったわな。それが良かったのか、悪かったのか。


 別にハッキリしてるわけじゃないが、アイツがきっと俺の意識も含み始めたのは林間学校のあの時ぐらいだろう。


 その時ぐらいから生野の俺に対する反応が少し悪くなった。

 気にしない方が得策だと思ったからそうし続けた結果、昴の一件が終わった辺りでついに爆発してしまった。


 生野の気持ちに気付いていたのは一番近くにいた雪だった。

 同じ人が好きだからというシンパシーか、はたまた女の勘かどちらかわからんが、あの雪があんなに大胆な行動に出るなんてな。


 そして、俺はというと、もう四人の気持ちを抱えておいてそれでもなお増やそうなどという不埒な真似を防ぐために......聞こえが良い言い方をしたが、結局は俺がアイツまでの言葉を聞くのが怖かっただけだ。


 光輝のためにやって来た行動がまるで自分が攻略するみたいになってて、それがなんだかおかしく感じたから。


 もともと薄々ながら勘づいていた。

 だから、俺は生野に何か言われる前に関係を破綻させた。

 だが、その後にまさか花市が絡んでくるとはな。

 そのせいで生野は言わばやけくそ気味に吹っ切れて俺にアタックし始めた。


 あの時は本当に学校の雰囲気が嫌だったな。

 いや、それ以上に光輝達からどのように思われてるかが一番気になった。


 そして仕舞には、俺はずっと目を逸らし続けていた事実を生野から突きつけられた。

 それすなわち、俺は漏れなく関わって来た女子に高い好意を持ってるということを。


 自覚したことで納得した部分もあり、酷く取り乱したこともあったな。

 それこそ恋を自覚したヒロインがいざ主人公と向き合ってどういう感じで接してたか分からなくなる感じで。


 そんな日々を過ごしていくうちに開かれたのがあのクリスマスパーティー。

 もはやそのことについて触れる必要はないだろう。

 あれで起こったことが全てだ。


 ......いや、もし追加で言えば、そのクリスマスパーティーが終わった後の生野からの正式な告白か。

 あんなのもはや受け止めない道理なんて俺にはなかったわけだし、負けイベントだったな。


 というわけで、それから冬休みの現在に至る。

 さすがにこの時期は年末に向けてゆっくりしてるだろう。

 俺も安息が出来て嬉しい限りだ。


 やっと普通に話せるようになったが、やっぱり顔を合わせると胸の高まりが抑えきれないからな。ホント心臓に悪い。


 にしても、俺がヒロインにしようとした4人中4人が全員こっちに好意向けてるってもはや自分のためのギャルゲーしてね? 失敗しすぎて才能のなさを感じる。


 いや、普通は当たり前のことなんだとわかってるけど。

 深く関わって気心知れた仲の方がそういう気持ちになりやすいのはわかってたけど......やっぱりこういうことはリアルなんだな。


 俺のやってることはソフトNTRさせるみたいな感じだし、やっぱそこら辺も関係してるんだろうな~。


 んで、俺は来年にはきっと決着をつけることになるだろう光輝に合わせて、自分も自分の気持ちに覚悟をつけなければいけない。


 はぁ~、結局攻略されてんのはどっちなんかねぇ~。クソ雑魚かよ、俺。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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