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第146話 王様ゲームの試練#2

 引き続いてクリスマス会。

 女子の方が気合が入っている王様ゲームにて俺はまさかの花市とポ〇キーゲームをしなければならなくなった。


 いや、待て待て。これはガチなのか?

 王様の命令は絶対とあるけど、実は言ってないだけで「男女の間にはさすがにあります」とかではないんか。


 というか、そもそも男と女のポ〇キーゲームぞ!?

 そんな合コンの陽キャ集団が乗りと勢いでやるようなことを本当にやるのか!?


「さて、やるのん」


「は、マジかお前!?」


 花市が顔色変えずに告げてくる。

 こっちは恥ずかしい以前に周りの姫島達からの視線がやばいんだけど?

 雪なんか完全にやっちまったみたいな顔して石化してっけど?


「いちはなだってルールとして言うたーるやないどすか。『王様の命令は絶対」て。

 こんなんも余興として楽しめへんのどすか?」


 まるで煽るような言い方。

 せっかく楽しんでいるという空気に水を差すなという目線。


 いや、お前だって光輝の手前で......いや、こいつの場合、むしろ嫉妬のようなもので光輝の支配欲を刺激しようとしてるのか?


 さすがに考えすぎかもしれないが、花市だったらどこかやりかねないという俺の直感が囁いてやがる。


 コイツは俺という存在が花市家にとって価値があると判断するやすぐに昴をけしかけてきたからな、あり得んことでもない。


 そんな俺の脳内思考は現実世界で割に長考してしまったせいか、それを面倒に思った花市は告げる。


「もうこっちも一応それなりの覚悟決めてんのに、これ以上待たされるのんはじれったおすなぁ。

 あたなともとっとと覚悟決めたらええのに」


「むぐっ!?」


 そう言って花市は俺の口にポッ〇ーを突っ込むとそのまま両手で頭を掴み、ポッ〇ーの端を咥えた。


 や、やべぇ、まだ両端を咥えただけだってのに想像以上に近く感じる!?

 まつ毛の一本一本が数えられそうなぐらいに鮮明に視界に入ってくる。


―――カリッ


 花市が食べ進め始めた。

 その表情に一歳の赤み無し......と思いきや耳の先端が赤い。

 そ、そりゃあ、さすがのお前でもこれはハズイよな......やばい、伝播してきた。


 急速に熱が込みあがっていく。

 心音の動きが速くなり、体中が熱くなってきた。

 ちょ、心臓さん頑張りすぎ!


―――カリカリッ


 またも躊躇なく進めてくる。

 こっちは花市に頭を固定されてるために顔を動かして無理やり折ることが出来ない。

 ちょ、お前、これ、ほんと、いよいよやべぇって。は、鼻が当たりそう!


―――カリカリカリッ


 なんでちょっとずつ食べるペースが速くなってんの!? やばい、やばい、どうする!?

 ここでそれこそ花市と事故......はさすがにねぇと思うけど、それに近い状態になったら!?

 ただでさえ人数多くて恋模様が複雑だってのに、さらに混沌に突入しそうじゃねぇか!


 落ち着け、冷静に慣れ。そ、そうだ!

 別にポッキー折るのに顔を振る必要はない。

 歯で砕けばいい......って待って、これ間に合う? あ、やべ、当た―――


「ストーーーーーープッ!」


 その直後、俺の目に高速で誰かの手刀が通過した。

 鼻先掠った......けど、おかげであの地獄のような時間は回避できた。


 まだ心臓が収まらぬままに横で見てみると見ていた全員が自分のことのように顔を赤らめていた。

 光輝ハーレムズの乾さんや結弦は目を覆ってるはずの指の間から結局見てる。


 止めたのはどうやら生野であるみたいだ。顔が真っ赤である。

 そして、生野は花市に対してルールの抜け道を告げた。


「『王様の命令は絶対』でも別に周りが止めちゃいけないってことじゃないわよね?」


「そら当然。うちはルールで言ったことしか守らしまへんさかい」


 つまりは花市のルール説明で言われてないことだったらたいてい大丈夫ってことになるが......確かにルールに第三者の介入禁止とかあったらマジで詰みだったかもしれん。


「にしても、意外に行動遅いってことは案外脈があったってこっとすか?」


 花市はまるで俺以外の誰かを煽るように薄ら笑いを浮かべで告げてくる。

 その瞬間、俺に向けられる5つの視線が猛烈に強くなった。

 もはや誰とは言うまい。


「違うな。それは考え過ぎだ。というか、お前が手で押さえてたせいだろ」


 さすがにすぐに否定しておかないと後であいつらに何言われるかわからない。

 とはいえ、この言い訳はかなりガバいだろう......口開ければ良かったとか刺されたらマジ返す言葉ない。


「フフッ、それもそうどすなぁ。確かに自分(わし)が悪かったどす」


 あれ? 思ったより随分と簡単に引き下がったな。

 あいつのことなら俺の言葉の甘さに気付かないはずがないのに。


 もしかして別の目的を達成したから?

 ハッ、まさかこいつの目的は光輝を煽ることよりもむしろ姫島達の嫉妬心を煽ることが目的なんじゃ......ってのは考え過ぎか?


「ほな元気よう3回目行きまひょ」


 花市の言葉で3回目の王様ゲーム。それでも俺の番はこなかった。

 それから数回のゲームが流れていく。とはいえ、仕方ない。

 まぁこればっかりはランダムだ―――とぉ!? 王様来たコレ! 


 となれば、俺がやることは当然光輝ラブコメ計画のための行動である。

 今の席順であれば光輝の隣は姫島か。

 はい、ウインクで合図ドーン。

 何投げキッス返しとんじゃ。いや、可愛いけども!


 いや待てよ、姫島の手の指が不自然に折れている。

 まさかその番号が光輝の数字ってことか。

 となると、光輝の番号は3番として、後は光輝ハーレムズの誰かに―――


「そういえば、北斗七星って何座で見られるか知ってる?」


 ん? 生野が結弦に向かって突然関係ない話を持ち掛けたな。

 いや、さすがに関係......って目が合った。

 オーケーオーケー、把握した。

 ここまで散々引っ掻き回してくれたが、一応協力してくれんじゃん。


「では、3番と7番が愛してるゲームで負けた方が勝った方を背中からハグする」


「「なっ!?」」


 光輝と結弦が立ち上がり同時に声を上げた。

 そして、互いに目線を重ねるとすぐさま目を逸らしていく。

 そうそうこのラブコメが見たかったのよ。


 健全さみありつつ、ちょっぴり所ではないドキドキがあるこの感じが!

 俺は決して自分自身のためにラブコメを演出などする気はない。ビバ光輝のため!


 とはいえ、俺のゲーム内容に対して花市が感心したように頷くのは怖いなぁ。後で何をされるか。


 だがしかし、この王様の棒には俺が爪で跡をつけてわかるようにした。

 これでもう天下は俺のものだ。


 そして、俺は甘々な空気が広がるその空間を実に楽しんだ。

 その際、異様に血走った5つの目線を無視したけど。

 まるでやりたかったなぁみたいな視線はオールカットしたけど。


「んじゃ、気を取り直して9回目~」


 ここで俺が2回目の王様を引いたとしても2回目なら何の問題もない。

 さぁ、我がラブコメ道を示してみせ―――


「これですね」


「へ?」


 横から俺でも見逃しちゃう素早さで狙っていた棒が掻っ攫われた。

 そして、それを手にしたのは沙由良である。

 よりによって、暴君かよおおおおおおおおお!

 だがしかし、俺の番号がわからなければ問題ない。


 執事の方が空いた皿を片付けにやって来た。

 あ、ありがとうございます―――っとその時、花市がウインクした。

 待て、それはどういう意味だ?


 より注意深く見てみると両手で数字の9を作り出してる。

 おい、それって俺の数字......!

 なんで隣にいない花市が俺の数字知ってんだ!?

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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