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でも、お高いんでしょう?

「パクリかwww」っていうオマージュ、パロディが分かってる反応好き


「パクってんじゃん」っていう、冷めた感じの発言するのっておもろないよね

しかも決まってパロディとか分かってないという








「…本日は臨時休業で」


「ああ!!?」


「って言ったら怒りますよねー」




1時間23分わざわざ律儀に待った女性騎士のアナは、ようやく店内へと入ることが出来た。9:30ぴったりにドアを開けた溜池語呂之介の小粋なジョークも、アナをただイラつかせるだけだった




「いらっしゃいませ!雑貨屋『ZUKO」


「それはもう知っている!ここまで待ってやったんだ!早く店に入れろ!!」


「はいどうぞ」




お決まりの挨拶もそこそこに、戸を開けて店内へと入る。相変わらず、狭いというかこじんまりした店である。アナは待ちきれんと言わんばかりに店内に入り、キョロキョロと見回していく




「私の剣と盾、小物入れはどこだ!?」


「はい、こちらです」




語呂之介はそう言って、棚を漁る。そこには軽く布で巻かれたアナの装備品があった。




「えー、ではこちら三点のお買い上げですね。現金はお持ちですか?」


「はあ!?元は私のだ!まだ店のルールに付きあわせる気か!?」


「まがりなりにも、店ですので」


「ふざけるな!!盗人猛々しい!」




アナは当然納得がいかず、代金を払う気はない。アナからすれば奪われ、勝手に商品として売られているようなものなのだから、さらに苛立つ。語呂之介の両手に抱えられた装備品をアナは有無を言わずに取り戻す




「あら」


「ったく!どこも異常はないか…?」


「お支払いいただけないとなると、窃盗としてデマンド王国に報告(ここ韻踏んでる)させてもらってよろしいですか?」


「ああ!?まだ言うか!?しつこいやつだ!」


「今の会話と映像を納めたクリスタルを王国に持って上がります。ついでに前のヤツも」


「う…!で、でたらめだ!さっきはそう言ってたが本当にあるのかも疑わしい!」


「ポチッとな」




語呂之介がいつの間にか手にしていたのは、手のひらに収まる青いクリスタルだった。語呂之介は、クリスタルを人差し指をいじる。すると、映像がホログラムのように表れ、音が流れ始める




『…貴様あああああ!!』


『「胸倉を掴み、店主を脅す謎の女性騎士!その名も!」』


『アナだ!!私はアナ・クッコ・ローセだ!(エコー)』


『もういい!とにかく来い!今すぐ来い!!』


『「有無を言わさず、傍若無人な振る舞いで強制連行を試みる謎の女性騎士!その名も!」』


『アナだ!!私はアナ・クッコ・ローセだ!(エコー)』


『………だあああああ!!!』


『「遂には実力行使!一般市民を力でねじ伏せる悪辣非道な謎の女性騎士!その名も!」』


『アナだ!!私はアナ・クッコ・ローセだ!(エコー)』


『「いやあ、あのお嬢さん、怖かったですねえ。急に乗り込んで、私に対して同意も得ずに拉致しようとしたんですよ。おまけに最後はぶん殴って叩き伏せたんです。でも、私はこんなことでは負けません!これからもより良い商品を皆様にご提供するために、たゆまぬ努力を惜しまない所存であります!皆様、私に清き六十九票を、どうぞよろしくお願いします!」』




以前、アナと語呂之介が店内で繰り広げられた寸劇がクリスタルにより投影された。ドキュメンタリー風に、アナの顔がまるで4Kテレビを彷彿とさせるほど鮮明にばっちりと映されていた。




「な………」




アナ、思わず絶句する。誇張された編集により、自分の行った行動がこれでもかとアピールされていた。




「そ、そのクリスタルを寄越せ!!」


「えー、無修正版、ループ版、店主側モザイク版、字幕版と作って複製して隠しております。今現在も、私の防犯用クリスタルを奪おうとしている蛮行が現在進行形で納められつつあります」


「ぬぐぐう…」


「お支払い頂けないなら、どんな手を使ってでも王国に報告(ここ韻踏んでる)させてもらいます」




特に笑うこともなく、淡々とアナに告げる。何が何でもやり遂げようとする変わらない姿勢に、少し不気味さを覚える。




「………訳がわからん。貴様は何がしたいんだ?金が欲しいのか?」


「ここは『お店』でルールを守って欲しいだけです」


「だから!これはもともと私のだと言っているだろう!」


「お嬢さんの管理が杜撰なのが悪いんじゃないですかね?だから落とすんですよ」


「管理云々は貴様のせいだろう!何をやったかは知らんが貴様が」


「やっぱ報告します」


「な…!?ええい分かった!!くそっ!払えばいいんだろう!?払えば!」




つい、口をついて出てしまった。アナは払うつもりはなかったが、しつこさに根負けしてしまった




「ようやく分かっていただけたようで。それではですね」


「(くそっ!高い値段を吹っかけるんだろどうせ…)」




語呂之介は、伝票のような細長い紙みたいなものを取り出し、羽ペンで何かを書いていく。アナは、大変渋い顔をしてそれを待つ。絶対に碌な値段じゃないと思いながら語呂之介の言葉を聞く




「えー、銅貨3枚になります」


「安っ!!」




それは、驚くほど安かった





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