えっ!?物語に華として女の子を!?………………………出来らあっ!!
尊かったり砂糖吐きそうなイラスト見るの好きであり、
それに「ぐあああああ」とか「浄化される」っていうコメント見るの大好き。
そんな中、この方言どこのやろ、とか、
着物の着方間違えてる、とかどうしてそんな鬼どうでもいいことが気になるのか
頭をひねる今日この頃なんですが皆さんお元気ですか?
「…『死還者』って、○姦者みたいでイヤやなあ、私ネク○フィリアの気はないんだあ」
自身の営む小さな雑貨屋の店内にて、椅子に座り、独り言を呟く。店主の溜池語呂之介は、くたびれた顔をして、どこを見るまでもなく座っていた。腰には、一振りの剣を携えている。
「…」
店内には、剣、盾、ポーションなど冒険にお役立ちの道具が置かれている。そのほか、小物入れや、杖、魔物の素材、モンスターを解体加工した肉など多岐に渡る。うわさでは、ドラゴンの素材も置かれていたりするそうだ
「…」
接客以外は、死んだような顔をして無気力極まりない姿で佇んでいる。そしてたまに、奇怪な独り言をしゃべったりする。端から見れば、なかなかヤバイ人である。
「…!」
ぼーっと座っていると、ドアが開きベルがカランコロンと鳴り響く。誰かが入ってきたと言うこととなる。それを聞いて、語呂之介はすっと立ち上がり接客に勤しむのだ
「…いらっしゃいませ!雑貨屋『ZUKON/BAKON』へようこそ!私、店長の溜池語呂之介と申します!どうぞよしなに!」
先ほどまでの姿からは想像しにくいほどの変わりようである。切り替えるときは切り替える、という考えで良いのだろうか。さて、この小さな雑貨屋に足を踏み入れたのは
「ああ。貴様がタメイケゴロノスケ、『死還者』だな?」
「あー、通り名というか、なんかそんなのですね。恥ずかしい」
「間違いは無いようだな。私はデマンド王国騎士団の一人だ。貴様に幾つか聞きたいことがある」
「騎士団?あらあ、ご苦労さんですねえ、お嬢さん」
珍客だった。辺鄙な場所で、お世辞にも綺麗とは言えない雑貨屋なため、人が訪れるのは少ない。来店したのは、長い金髪で整った顔立ちの18歳ほどの女性。威厳溢れる剣と盾を装備している王国騎士である。なぜか、少々眉根を顰め、険しそうな視線を送っていた
「お嬢さん?はっ、随分とまあ歯の浮くような事を言ってくれる。そんな事はどうでもいい。貴様、3日ほど前にデマンド王国から離れた場所で見つかった、3人の男の死体について知らないか?」
「知りません」
「…嘘をつくな!!」
即答した語呂之介に対し、騎士の女性は大きな声を叩きつける
「貴様、悪びれもなくそのような事を言うとはな…」
「お客さん、店内で大きな声を出さないでください。迷惑ですよ?」
「…ああ!?誰が客だ!それに迷惑も何も私と貴様しかいないだろう!」
「この弓、銀貨6枚と銅貨9枚で売ってるんですけど買います?」
「人の話を聞け!!」
しかし、暖簾に腕押しのごとく、騎士の言うことを流しまくる。営業をしっかりと忘れない商人の鑑である。人間性に問題ありだが
「い、いかん落ち着け…。騎士たる者、平静でなければならん…」
「ふわーあ。えっと、女性ものの服は置いてないんですよ。ちょっとねえ、ニーズにお応えするのが難しくてですね」
「だから!買い物をしにきたのではない!ええい、『死還者』!よく聞け!あの3人の男の死体だが、我が王国のギルドに所属していた冒険者だ!」
「はい」
「やつらははっきり言って素行は良くなかった。低ランクの冒険者を恫喝していたこともあると聞き、犯罪の噂もあった。だが、尻尾をなかなか掴ませてくれなかった」
「はい」
「そこで3人の訃報を聞いた。ギルドとしては悩みの種だったが、死んで欲しいわけではない。ブタ箱にはぶち込んでやりたかったがな」
「ブーブー」
そして、死んでも蘇るという噂の語呂之介を殺人したため、殺人者という前科もその3人の冒険者につけられる。人間にも色々いるように、冒険者にも健全ではないものもいる。3人の冒険者について、聞いているのかどうか分からない軽い態度で返事をする
「…貴様、真面目に聞いてるのか?調査の結果、貴様が殺害したのではないかと容疑が掛かっている。殺人は度が過ぎている!ただでさえ得体の知れないヤツが、これ以上王国の民に不安を募らせる気か!?」
「やってないですけど」
「シラを切るな!ならそこに商品として置いてある弓と杖はどう説明する!?あの3人の内の2人の得物じゃないか!」
「さー、タマタマ同じ物じゃないですかね」
というか同じ物です。本当にありがとうございました。ハイエナのように、回収しては売りつけていくのだ。ちなみに縄使いの男の縄は、売り物にしていない。というか燃えてしまったからだ
「…どこまでしらばっくれるつもりだ。今まで貴様がギルドに持ち込んできた賞金首だが、いつも妙な死体だ。頭部を損傷している物はさておき、胴体を損傷しているものについては明らかにおかしい。例えば斬撃、炎撃となれば服にどう影響が及ぶか分かるだろう?それらによる損壊の影響が見当たらない。服を脱がせてから殺すのも手間だし意味がない」
「脱がせてからとか変態やないですか」
「…貴様はもう黙れ。そして今回の死体!絞殺はまだしも、矢で右足のズボンが貫通していないこと、全身火傷なのに服が全く燃えていない死体だ不自然なのは。今まで貴様が持ち込んだ死体の傾向と合致している!」
「…」
「よって貴様を王国に連行する!これ以上、のさばらせる訳にはいかない!」
まるで死体の鑑定士のような台詞とともに、語呂之介にそう伝えた。確かに合致するとは思うが、もちろんそれで100%決まるかと言えばそうではない
「貴様は不明瞭だ。王国の上の者たちも調べているが、まだ解明には至らない。おまけに皆、貴様と関わろうとしないものだから一向に調査が進まない。民に脅威が向けられるとも限らない」
「…」
「我関せずでいるつもりか?それに腕を隠してるようだが、死因は決まってその死体の得物だ。それも妙だが、こだわりか?どの道、殺しに精通した危険人物を放置できない」
「…」
「ふん、いまさら大人しくなったか。さあ来い、馬に乗れ」
ここまで語呂之介は軽口を発することなく黙っていた。騎士はここまで馬に乗ってきたそうだ。店の表には立派な毛並みの馬が待っていた。騎士は、特に語呂之介を拘束はしなかったが、自分の言ったことを痛感させ観念して付いてくると思った。颯爽と騎士は、店の戸を開け外に出ようとしたが
「…ふわーあ」
語呂之介は違った。何事もなかったかのように、雑貨屋の椅子に座りなおしたのだ。その予想外の行動に、騎士は驚いて勢いよく振り返る
「なああ!!?おい!!貴様何をしている!来い!!」
ズカズカと足音荒く、語呂之介の座る椅子の前まで来た。だが、一瞥するだけで立ち上がらない。それどころか、お茶を飲もうとしている
「…なかなか頭がおかしいヤツのようだな。確かに誰も関わろうとしないだけのことはある…。だが私は違う!騎士として役目を果たさせてもらう!!」
再び動かない語呂之介の前で大声を叩きつける。立派な矜持を掲げて。だが、それでも動かない。今度は茶菓子を食べながら
「ぼりぼり」
「来いと言ってるだろう!!立て!!」
「…」
「貴様あ!!何か言ったらどうだ!!?」
いい加減、堪忍袋の緒が切れる頃合だ。騎士も人間である。想定違い、おちょくられる態度を示されるとストレスが溜まる。それを知ってか知らぬか、語呂之介がトドメを刺す
「…黙れってお嬢さんが言ったでしょお?後うるさいです、店内では静かにし」
全てを言う前に語呂之介は席を立った。いや、立たされた。騎士の腕が語呂之介の胸倉を掴み、凄みを利かせて睨んでいた