この連載作品は未完結のまま約2年以上の間、更新されていません。 今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。
いかんいかん、そんな難しくないはずの文章書くのにこんなに時間かかったらあかんわ。2年放置したらこんなこと言われるんやね。それもシャクだからしぶとく生存してるアピールします。
「よっし!我ながら大収穫ね!これなら、あいつも驚いてくれるでしょ」
溜池語呂之介が経営する雑貨屋『ZUKON/BAKON』の前に、リンカがいた。彼女は、妹のアオカが盗賊団にさらわれ、偶然にも語呂之介に助けてもらった経緯がある。リンカも他の皆の例に漏れず、語呂之介をずっと気味の悪い『死還者』と認識していた。それでも、助けてもらったため、自分にできることを考えた結果、店の商品になり得そうなものを確保しようということになった
「『死還者』ののらりくらりとした態度は腹立つけど、あいつからアジトのお宝を貰いっぱなしってわけにはいかないもの。はあ、とっとと帰ってこないかしら。あいつってほんと読めないわね。早くギャフンと言わせてやるんだから!」
リンカ自身も、生きるために動物を狩ったりすることができる。それにより、素材となり得そうな動物、食料となる果物などを1人にしてはかなり多い量を集めた。よほどの労力がかかっている。語呂之介をあっと言わせるため、今か今かと待っていた
「…この店か、間違いないな」
「ああ、ようやく見つけたぞ。必ずヤツをエスト王国に連れて帰るぞ」
そんな語呂之介の店を、遠くから捉えた2人の騎士。その2人は、デマンド王国の騎士ではなかった
「おら!ノロマのロエ!早く宝を寄越せよ!」
語呂之介と、ダンジョン内で出会った元奴隷のベケスとハーピーのロエ御一行は、数匹のハーピーに囲まれていた。どうやら、同族であるロエと面識があるようだ
「な、なんだよこいつら!」
「我々はハメられてしまった、そして性的にハメる、そういうことですねお嬢さん」
「いや!違う!何言ってるの!?本当にそんなつもりはないから!」
ロエを明らかに下に見てそうな、横柄な態度のハーピーに語呂之介以外は警戒する
「それとも結局見つからなかったとか!?ほんとダメだなお前は!見つかるまでダンジョンから帰ってくるなよ!」
「しかも誰だよそいつら!知り合いがいないからって、そんな冴えなさそうなやつらとつるむとか!」
「冴えなくて悪かったな…なあ、こいつらなんとかしてくれよ!」
「う…わかってる…。ちょっと、そんな言い方ないよ!こっちは死ぬかもしれなかったんだから!やっと戻ってきたのに…」
こう取り囲まれてはいつ攻撃されるかわからない。ベケスは、ロエになんとかするように訴え、ロエもまた好き勝手言ってくるハーピーに言い返す
「だから知らないっての!人間より頑丈なんだからちょっとやそっとじゃ死なないって!わかったら戻りな!」
「結果を出せよ!それくらい役に立て!」
「ひ、ひどいよ!話は最後まで聞いて!私は戻ってきたの!お宝をもって!」
「はあ?どれだっていうんだ?デマカセか?」
「ほら!あの人の………ってゴロノスケ!?」
このように魔物や敵に囲まれていたら、ふつうは止まって動揺するのがお約束なのだが、語呂之介はまったく違った。なんて事はなく、普通に歩いて前を進んでいた
「おいおい待て待て待て!人間には関係ないだろうが、黙ってどこか行くとかナメてるのか?」
「私はおうちに帰りたいんですよ。話ならそっちでやっててください」
歩みをやめない語呂之介の前に、青い体毛のハーピーが飛んできた。道を塞ぐようにはばたくが、そんなことは関係なく、迂回しようとする
「止まれ!さっきロエのやつが言いかけてたが、お前あのダンジョンから出てきたんだろ?その剣はもしかして宝か?」
「あー、いえ、違います。これは、あれですよあれ、あー、その辺で拾いました。じゃ」
「止まれって言ってんだろ!この野郎!!」
「あ!!」
適当にはぐらかし、歩みを止めない語呂之介にカチンときたのか、鋭い爪を伴った蹴りを食らわせた。蹴り飛ばされ倒れ、背中に傷が入り出血をした
「なんてことするの!?」
「うるせえ!こっちが止まれと言って止まらねえからだろ!おい、お前の言ってる宝ってこの剣のことだよな?もらうぞ」
「駄目だよ!さっき言いかけたんだけど、それはゴロノスケのだよ!」
「お前、人間の肩を持つのか?ほとほと呆れるな。ノロマでグズなやつは、弱い人間と仲良くなるしかないってか!」
「うう…」
人間社会でも格差があるように、ハーピーなど、コミュニティを形成するものにはそういった差別がどうしても出てしまうのか。ロエはハーピー内でかなり悪い待遇を受けているようだ
「おい人間、その剣を奪わせてもらうぞ」
語呂之介が持っている剣を、蹴り飛ばしたハーピーが奪う。人間の手に該当する部位は翼なため、器用に両脚で掴む。すると
「ああ?」
その剣を取られまいと、語呂之介は倒れながら両手で掴んで抵抗していた
「…てめえ、離せ!!」
人間は魔物の力には敵わない。ハーピーは、剣を脚で掴んだまま空高く飛翔した。語呂之介が掴まってぶら下がっている状態のまま
「お前、しつこいんだよ!!何かしゃべりやがれ!」
「剣を返してください!泥棒!略奪者!犯罪者!狼藉者!人でなし!フライドチキンの原材料!」
「…お前ら!こいつを蹴り落とせ!!」
しゃべったかと思ったら、煽り全振りの言葉を投げかける。剣をつかみ語呂之介を蹴り飛ばしたハーピーは、周りにいるハーピーたちに攻撃指令を出した。飛び立つハーピーたちが迫る中、語呂之介はロエに対して大声で尋ねる
「お嬢さん!同族のハーピーがもし死んだら、お嬢さんは悲しみますか?」
「え!?そ、そりゃ悲しいけど、何をする気!?」
「私が助かるために反撃します。じゃあなるべく殺さない方で。ソクイキ、ヘイトマシマシ、ツラメ!」
語呂之介はそう言って、謎の言葉を唱えた。その言葉を迫りくるハーピーたちが聞いたとき、一瞬止まる。それから、表情が何かを憎んでいるような険しい表情となり、ぶら下がる語呂之介に襲い掛かる
「おらああああああ!!!」
勢いよく飛びつき、鋭い爪の蹴りを叩き込んですれ違う。しかし
「うぐあ!!?」
5秒ほどたち、次々とハーピーたちが高度を落として地面に墜落する。それぞれ胴体の一部に爪でえぐられたような跡が残り、痛みに悶えている
「なんだこれは…ゴロノスケがやったのか…?」
刺激しないようにおとなしくしていたベケスは、遠くからその様子を見て静かに驚いていた
「………は?お、お前ら!?どうしたんだ!?」
「はあ………はあ………」
剣を掴んでいるハーピーは、異様な光景に驚く。語呂之介は、蹴りにより服が容易く引き裂かれ、肉が削ぎ落されている。痛みに苦しみながらも、それでも剣を離さない
「お前!離せ!離せや!!なにかやったのか!?しつこい野郎だ!!こうなりゃ木にぶつけてやるからな!!」
「はあ………もう少し………」
痺れを切らしたハーピーは加速し、剣を掴んだ語呂之介を遠心力を利用して樹木にぶつけることにした
「くらえや!!」
「おいゴロノスケ!手を離せ!ぶつかるぞ!」
「ゴロノスケ!」
「(ソクイキは持続しているはず…)」
スイングされた語呂之介は、頑丈な樹木にもう少しで叩きつけられる。このままでは、内臓裂傷、骨折まであり得る。ただでさえハーピーの蹴りを浴びせられた身に、追い打ちをかけられる。ボロボロな体で、思考は冷静だった。そして
「ぐぼあ!!」
語呂之介は、樹木に勢いよく腹から打ち付けられた。たまらず声を上げ、体がきれいにクの字に曲がった。遂に剣を手放し、地面へと落下していった。その5秒後
「あぎゃっ!ごっ!!」
空中を飛んでいた語呂之介を叩きつけたハーピーは、急に背中に蹴られた跡が生まれ、急に体がクの字に曲がり、同じように地面に落ちていった。たまらず剣も手放した
「お、おい!ゴロノスケ!」
「1人でこんなに…これってきっとゴロノスケがやったってことだよね…?」
空を支配していたはずのハーピー達は、全員地面へと倒れ、うめき声をあげていた。同族であるハーピーであるロエは、複雑な顔をしながらベケスと共に語呂之介の元に駆けていった。
「しっかりしろ!俺は回復魔法なんて持ってねえから見てられねえんだよ!」
「ねえ!無茶しすぎだよ!早く治って!」
2人は、ダンジョン内で死んでは蘇る語呂之介を何度も見てきている。なので、語呂之介がそんなに時間をかけずに再生することはさすがに知っている
「ロ、ロエ…お前…なにした…?」
「まて…待て…」
「ひっ!ご、ごめん!もう離れよう!」
「あ、おい!ゴロノスケ!抱えていくぞ!死ぬなよ!?死にたいってずっと言ってるが!」
周りのハーピーは倒れながら、語呂之介たちに向かって、手ならぬ翼を伸ばして近づこうとしていた。同族が傷つき、複雑に思いながらもロエは思わずその場を離れた。満身創痍の語呂之介は、ベケスに抱えられながら離脱をした。いつも30秒くらいで蘇るはずだったのだが、今回はそれ以上経っても傷は癒えなかった。明確に再生時間は数えられなかったが30分を要し、その間、苦しみは持続していたのだった。ロエとベケスは、とにかく見てられず心臓に悪い時間を過ごしたのであった
見てる人なんて居ないと思うけども、キリのいいところまで行きたい思います