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ざまあをするときはね、誰にも邪魔されず、なんというか救われてなきゃダメなんだ

「キノコのほうし」って言葉を一文字変えると

『キノコにほうし』になって大変上品だよ!


こんな上品なこと言う暇あったら、分かり切った展開の物語を早く書けって話だよ!

我ながらウンコちゃんだなと思いました






「ま…またひどい目に遭ってる…。ごめん、ゴロノスケ…助けに行きたいけど…」




仰向けに倒れている溜池語呂之介を、遠くから隠れて見ているハーピーのロエ。女魔法使いと奴隷の男は、もうハーピーのことはもう頭から抜けていそうだ。女魔法使いは、目の前の不死である語呂之介に意識が向いている。具体的には怒りを




「うわあ…ひでえや…。あんた…一体何考えてんだ…?」




奴隷の男は、語呂之介の姿を見てそう言った。語呂之介の色よい返事のどこがまずかったのか、女魔法使いの魔法によって、ズタズタに切り裂かれたのだった。カッターで指を切ったどころではない。ケガでは済まない、肉体を十分に切り裂いている。指も何本か吹き飛んでいる




「貴様あああああ!!!この高名なるアグラプ家の魔法使いである私に向かって、何を言った!!!」


「…いや………お嬢さんって………」


「その前の発言…忘れたとは言わせないよ?この私に向かってふざけたことを抜かすやつなんざ初めてだよ…」




女魔法使いは、杖を倒れている語呂之介に向ける。声は静かだが怒りによる圧を感じる




「死ねなくて可哀そうだねえ。だが、この私、ルナ・アグラプ様を怒らせたなら仕方ないわな。愚かな自分を恨みな?」


「お、おいおい、もう動けないぞ?そんなことより、前に行ったほうがいいんじゃねえか?」


「黙りな!!」


「ひっ、ひい…!」


「この無礼者をまずは徹底的に屈服させてやる!!それに私はまだ32だ!!そんな私にあの言葉!!絶対に許すつもりはない!!」


「(クソババアのところ思ったよりでかい地雷だったのかあああ!!)」




怒りのままに、女魔法使いは自分の名前を明かした。名をルナというらしく、自分から高名と口にすることから、実力のある魔法使いのようだ。奴隷の男は、ブチ切れたルナを見たことがなかったのか、委縮してしまった




「さあ貴様。この私に言うことは?まずはしっかりと自分の失言を謝罪しな?コキ使うのはその後だ」


「………はあ…あの…」


「ふん、息も絶え絶えだね。だが貴様が悪いのだからな、血みどろになろうが言ってもらうよ?」


「………あなた、本当に高名な魔法使いですか…?」


「………あ?」




語呂之介は仰向けに倒れながら、ルナのほうを見ながらそうつぶやいた。またしても予想外の言葉に、ルナはまた怒りが込み上げてくる




「お、お、おい…!だからあんた…」


「…どういう意味か聞こうか」


「………はあ…まだ私が死ねてないんですよ…それで高名な魔法使いって…かっこわらいかっことじる…ってなもんで…」


「(何言ってるかわからないが馬鹿にしてるのはなんとなくわかるううう!!)」


「………ああ…でも失血死するか………やっぱいいですわ…お宅の魔力じゃそんなもん…」


「死ねえええええ!!!」




ありったけの声でルナが叫んだ。杖を振り、魔力を込めて渾身の魔法を叩き込もうとした




「がばばばばばば!!?」




魔法が発動しようとした。杖から解き放たれようとした瞬間、ルナの声が突然痺れて、身を激しく痙攣して床に倒れたのだった




「……!!????!?」


「な!?なんだ!!?」




とても立っていられず、杖を構えることもできずに、突然のダメージがルナを襲った。奴隷の男も、急変したルナに驚いた




「(なんだ!!?なに!?この私が!!?倒れた!!???この服は防魔仕様だ!!なにが起こった!!??)」


「………あー…タイミング悪っ、もうちょっとで死んだのに…」




ルナは信じられないといった表情をしていた。今まで自分が攻撃されたことなんてないのだろう。奴隷を率いて肉盾にし安全圏で活動していたのだろう。語呂之介は倒れながら悪態をついた




「はああ…!!クソッ!!なんだこれは!!おい貴様!!何が起こったか見てないのか!!?」


「し、知らねえ!!わかんねえよ俺だって!!急に倒れたようにしか…」


「ちいいいい!!使えない!!はあ…!!」




ルナはよろよろと身を震わせながら、床に手をついて立ち上がろうとする。放してしまった杖を拾い、険しい表情で睨む




「屈辱だ!!苦痛を伴うのは奴隷である貴様の役目だろうが!!」


「なっ…んなこと言われてもよ…(ムチャクチャだこいつ)」


「………あんま怒るとシワが増えまっせ?………そんなだから結婚できないんですよ」


「………」


「(………………そうだ、俺は空気になろう。そう、俺は空気なんだ)」




語呂之介の息も絶え絶えのおちゃめなジョーク再び。ルナは怒りによるシワが増えた顔で黙って杖を構え、奴隷の男は絶句していた




「………もう黙れ、死ね」




ルナのその一言ともに




「………………あ?」




杖を再び落とした




「………ああ?」




ついでに自身の指も。目に映るものがスローモーションのように見えた。服の下の体のあちらこちらが裂けていくように感じた。生暖かい液体が飛び出しているように感じた。目の前には、見るも鮮やかな赤が飛び散っていた




「…あ」




ルナはいつの間にか、再び力が抜けて支えを失った人形のようにぶっ倒れた。それと入れ替わるように、語呂之介の血液は元の自分の体に吸収されて戻っていき、床は白くなった。飛び散った指も、裂けた傷もまるで逆再生された映像のように戻っていった。その様子は誰も見ていなかった。それよりも視線を奪ったのは




「あぎゃあああああああ!!!!!」




見るも無残な姿のルナの方だった。自分の身に起きたことを受け入れられなかったようだが、ついに痛みがやってきたようだ。再び信じられない出来事に、ダンジョン内によく響く叫び声を発した




「お!この杖いいですねえ!背中かくのに使えそう!貰っていきますね?ちゃんと布団かけて寝たほうがいいですよ?」




周りを見れないほど苦しみ、冷静に考えることもできないルナを、語呂之介はいつのまにか立ち上がって顔を覗き込んでいた。発するのは叫び声ばかりで、回復呪文を詠唱する暇もなさそうだ。暫くのたうちまわっていたルナは




「ああああ………ああ……」




次第に衰弱していき、声を出すことすらままならず




「ああ………」




目を閉じて、動かなくなった。その瞬間に、奴隷の男と語呂之介の首輪がパキンという音とともに外れて床に落ちたのだった










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