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あと何回、目の前で死んだら気が済むん?

様式美を『飽きた』『ネタ切れ』って言い白けさせるヤツは

早急に足の小指をどこかで打ってのたうち回りあそんでください

「せっかく人に会えたと思ったのに…」




悲しそうな声を出して誰かがうなだれている。それは、とても恐ろしい針の山に男が串刺しになって死んでいるから。その男は溜池語呂之介だった。なぜ悲しそうな声なのかはわからないが、どうにもならないただの死体を見ていた。すると




「…え?」




何かボロボロと崩れる音がした。語呂之介を貫いている針の山が黒く染まり、鋭利な先端部分から崩壊しているのである。やがて、語呂之介を貫いて支える針は崩れてなくなり、語呂之介は床に倒れた




「な!なに!?」




予想外の変化に驚きを隠せない誰か。そしてさらに




「うあああ、鍼灸師の治療より激しい…」


「うわあ!生き返ったあああ!!?」




もっと驚くこととなった。語呂之介は当たり前のように立ち上がり、またしてもあたり一面に飛び散っていた血や肉はなくなっていた




「ん?あー、誰かいますね。お、そのお姿、魔物?のお嬢さん?」


「喋ったあああ!だ、誰!?こっちだって知りたいよ!」




語呂之介は、驚いていた者に出会った。どうやら、魔物で女性のようだ。




「人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗りましょうよ」


「あ、ご、ごめん。そうだったね」


「私は溜池語呂之介。ゴローと呼んでください」


「名乗るの!?」




マイペースな流れるボケに魔物は思わずツッコミを入れた




「さて、ここからどうやって出ようかな。どっか道知りません?」


「え!?ちょっと待って!?私は名乗らなくていいの!?」


「あー、名乗りたければどうぞ」


「なにそれ!?まるで興味なさげな」


「ないです」


「ひどい!」




魔物と言われているが、立ち振る舞いや受けごたえは人間のそれと変わらないように見える。この彼女は何か語呂之介に言いたいことがあるようだ




「せっかく会えたんだから聞いてよ!私はロエ!ねえ!私はこの遺跡から出たいの!お願い!連れて行って!」


「え、めんどくさいです。自分で行ってください」


「えええええ!?ちょ!お願いだから!ようやく誰かに会えたんだから!」


「大体不用心すぎません?私を見て気味が悪いでしょ?私がどうなったか目の前で見たはずです」


「そ…それはそうだけど…」




彼女の名前はロエ。魔物らしいのだが、見た目のすべてがそうではない。顔立ちは人間なのだが、腕が翼となっており、耳の部分はピンクの羽毛で覆われている。足は鳥の趾となっており、その姿はまるでハルピュイア、通称ハーピーと呼称される




「で、でも!どうあがいても頼れる人がいないもん!だからお願い!」


「頼む人を間違ってますね。私は弱いですから共倒れ必至ですよ」


「そんなこと言わないでよ!だって、只者じゃないでしょ?そんな生き返る能力を持ってるなんて」


「能力ねえ…」


「え?」


「いえ、何もないです。大体、そのお姿からして飛べるんでしょ?機動性は抜群なんですから。そもそも魔物のほうが人間より強いんですから、頼る必要性を感じませんな」


「う…」




語呂之介は、ふざけていたと思いきや鋭い指摘をした。基本的には人間より魔物のほうが機動力・パワーが勝る傾向にある。ロエは意外にまっとうな質問が返ってきたことに驚く




「それはそうなんだけど…ここは狭くてうまく飛べないの…。それに、お腹すいちゃって動けない…」


「はあ、というかどうしてここにいるんです?よくこんな針が出てる隣の狭い空間に籠ってましたね」


「その…笑わない…?」


「ぶははははははははははは!!」


「えええええ!?先に笑うことってある!!?なんで!?」


「いや、失礼になる前に笑っておこうかなと」


「意味わかんない返しなんだけど!」




いちいち話が脱線するものだから、語呂之介と喋るものはだいたいツッコミに回ることが多い




「話が進まないよ!ああもう、仲間にお宝探して来いって言われて怖くて怪我して迷って今ここ!」


「あー、はあ、そんな笑うほど面白くないですね。ちょっと期待したんですけど」


「期待って何!?こっちは深刻なのに!」




こんなこと突っ込むやつ、あまりいない説




「ねえ!えっと、ゴロノスケ?お願い!ようやく人に会えたんだから外に連れて行って!」


「私はこの遺跡のお宝に用があるんです。あってもなくても確かめたいので遺跡の奥に行きますよ」


「じゃあそのあとでいい!この遺跡に単身って手練れでしょ?」


「友達いないだけですけど?」


「う…反応しづらい!」




一緒に同行したいそうだが、目的が合わない。語呂之介は、ロエのいた空間の奥のほうへ壁を触りながら歩いていく。その後ろをロエはついて行く。




「ね、ねえ!そんな触って何か探っているの?」


「とりあえず登れないから、隠し通路でもあるのかなと。あなたここにいたんでしょ?探ったりはしましたか?」


「いや、あまり私は動いてないよ…。下手に触ると怖いよ?ここは壁や床に紛れてスイッチが多いの」


「まあ、そうでしょね。とりあえず離れてもらえます?こういうのって大体」




べたべたと壁を触り、恐れることなく進んでいく。ロエはその様子をハラハラしながら見ていた。その時




「あ」




やはりというか、もはやお約束。いとも簡単に壁の一部が四角く凹んでカチッと音がしたのだ




「今『あ』って言った!?」


「あー、とりあえずお嬢さん、逃げ




そこから早かった。壁は語呂之介に向かって勢い良く押し出されて、何の抵抗もなく潰された。壁とせり出した壁の隙間から勢いよく、あらゆるものが飛び散った。凶悪なプリンスオブペ○シャのようなギミックだった




「ゴロノスケーーーーーーー!!!」




スイッチで壁がせり出し、通路が現れたのだが、そんなことは目もくれずロエは再び嘆いたのだった。なお、1分後くらいにまた復活し、再び驚いた模様




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