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時代背景?脳内補完してください

注意点は1話に書いてあるので、割愛させていただきます。

おでんとビールって、この時期最高




「はあ…はあ…ほんっとに重たいわあこれ…。死体何キロ持てる?………バカ言ってないで早く行くか…」




一人、道を歩く溜池語呂之介。そいつは車輪の付いた台車みたいな物を、それに繋いだロープを掴んで引っ張っていった。台車は大きく、何が乗っているかというとズタ袋のような物が2つ乗っていた。その中身は、外観から見れば開けなくても分かるようになっていた。明らかに人の形をした何かだ。




「…寝てようかと思ったのに。…まあでももらえる物はもらいたいし」




その中身は、昨日雑貨屋強盗の2人だった。森の中に行くわけでは無く、ある場所に運んでいる。語呂之介はとても重そうにして運んでいる。汗を流し、一生懸命に道をたどる。こんな重い物が無ければ、とっくに着いているだろう




「…モンスターに会うのはしんどいなあ。…もう出てくるなよ?」




語呂之介は腰に、鞘に収めた剣を装備している。後は何か小物がいくつか入ってそうなカバンをもっている。そして、服のあちらこちらが荒れて穴が開いている。まるで、何かに噛みつかれて引き裂かれたように見える。だが、ご安心を。過度な露出は無いようになっている。誰得よ




「…はあ…あああああ着いたあああああ」




語呂之介が到着したのは、立派な門を構える大きな王国、ソフ=トオン=デマンド王国。

縮めてデマンド王国と言う。彼はここに用があるため、大きな荷物を運んできた




「…門番さんいるわねえ、この人達ってブラックやろなあ。給料貰ってんのかな」


「む、商人か?大きな荷物を持ってそうだが」


「あーそうですね。ギルドに用があります」


「ギルド?冒険者登録でもするつもりか?普通は市場で物を売るもんだが」


「(げっ!こいつは確か…)」




門前には2人の門番が立っていた。鎧を着て、いかつい柄の長い斧を装備していた。一人は語呂之介の用件を聞いていたが、もう一人は何かに気づいたのか顔が強ばる




「…お前、その後ろのはまさか人か?血の匂いがする。何の用だ?害をなすようなら」


「待て!こいつに関わるな!お前、本当にギルドにだけ用があるんだな?」


「まあ、それとどこかでメシが食いたいですね。賞金を貰ってからですね」


「…今日は賞金稼ぎか。誰にも極力干渉をするな、手短に済ませろ」


「こっちも干渉されたくないですから大丈夫ですよ。それじゃあ」




門番は、もう一人の門番の発言を遮り入国を許可した。とにかく早く会話を断ち切り、関わりを最小限に抑えた。語呂之介は再び、重そうに台車をロープで引っ張っていき入国した




「おい、何だってんだ。入国許可書も入国料すら払ってないじゃないか」


「そうか、お前最近この国に来たからあいつを知らないんだな」


「…ワケありか?」


「得体の知れない不気味なヤツさ。無関心を貫けよ?」


















綺麗に舗装された石畳の道路を語呂之介は歩いて行く。剣士、紳士淑女、馬車も闊歩している。ガス灯が道の両脇に等間隔に並んでいる。LEDなどあるわけない。大体が石造り、木造の建物だ。武器屋、質屋、飲み屋、裏の道に行けば娼館もある。国によっては、奴隷売買の店などもある。地球にあったら完全アウトだ、倫理的に。




「…イャンバッカ先生のケバブ食いたいな」




頭の中は昼食のことで一杯になっている。歩く語呂之介を見て、皆は視線を合わせず、よそよそしい感じだ。とにかく関わらないようにしようと務める。デマンド王国には、まあまあの頻度で訪れている。なので、語呂之介の顔・姿は知る人は知っている、悪い意味で。だが全員が詳細を知っているわけでは無い




「…着いた」




重い台車を引っ張ること10分、ある立派な建物の前に着いた。異世界もののお約束、ギルドである。そこでは、冒険者が依頼を受注したり、報酬の受け取り、結果を精算するための施設だ。ちなみにこの世界にも、冒険者のランクがあるが、語呂之介には何も関係ない。建物のドアを開けて、受付業務をしている職員の元へ歩いて行く。




「えっと、あー『死還者』か。ったく」


「毎回言うんですが、この年で中二病溢れる通り名とかイヤなんすけど。語呂之介と呼んでくれませんかね」


「皆通り名で呼んでるよ。親しくないのに呼ぶ義理はねえって毎回言ってるよな」




羽根ペンを走らせて、紙に何かを走らせている30代後半くらいの男がいた。その男は、語呂之介の顔を見た途端、悪態をついた。めんどくせえやつに当たってしまったなと言う反応をありありと出しながら




「じゃあ今度一緒に飲みに行きましょう!」


「断る」


「あ、娼館が良いですかね?やーねー飲みより女とは」


「うっせえ、てめェ!ぶっころ…せないんだよなあ…」


「親しくする気あるんですか?」


「ねェよ!!相変わらずめんどくせえやつだな!!とっとと用件を言え!!」




語呂之介のことを『死還者』と呼んだ。この国の門番はもちろん、そのほかの大半の住人が、この通り名で語呂之介を認知していた。語呂之介は、職員に用件を伝えるため、後ろの荷物を指さした




「まあまあ、そうはしゃがないで。この強盗の顔を見てほしいんです」


「こいつ…。ふん、まあいい。で、強盗?」


「盗賊もやってたんでしょうね。多分、賞金首ですよ。職員さんにも判断していただきたいのですが」


「なるほど、まあ仕事だからやってやるよ。隅っこで座って待っとけ。お前のせいで客が来なくなったらたまらん」




そう言って、別の職員をもう何人か呼んで死体を運んで奥の部屋へ行った。様々な書物や魔法などを使って鑑定するのだろう。言われたとおり、語呂之介はあまり人目の着かない端っこの席に座って待つことにした。




「…あいつが『死還者』ってやつか」




その人目の着かない席に座る語呂之介を、別の冒険者が見ていた。怪しい視線で














「待たせたな、『死還者』。お前不気味だが、やはり腕は立つんだな。だが、あいつらも中々腕の立つ方でな、盗賊のジル兄弟だ」


「賞金首の手配書に似てる顔と思ったのですが、間違いないですか?」


「ああ。兄のホーン・キィ・ジル、弟のガーマ・ン・ジルだ。間違いない。道行く冒険者や商人を食い物にしている、悪質なやつらだ」


「そ、そうっすか(やっぱひっでえ名前)」




奥の部屋で数人の職員と照合した結果、被害を断続的にもたらしている盗賊であることが発覚した。威厳溢れるその名前に対して、語呂之介は顔を背けて小刻みに震えていた




「何だ?笑ってるのか?」


「いえ。それで、賞金は頂けるんですか」


「ああ、認められたよ。お前は不気味なやつだが、助かったのは事実だ。金を払わずにお前に呪い殺されたらたまらんからな」


「私は殺しは嫌いですよ」


「よく言うぜ。現に賞金稼ぎしてるヤツが言えることかよ。得体の知れない能力を利用してるじゃねえか」




何度かデマンド王国のギルドに赴き、語呂之介はこのように賞金首となる人物を連れてくる。これまで全て死体の形だが。この職員も何度か顔を合わせているため、何らかの能力で賞金首、犯罪者等を仕留めているものかと認識している。職員の発言に対し、語呂之介は




「………これが『能力』なら是非受け取ってほしいですね。代わりに死にながら生きてみますか?」


「…銀貨700枚だ。戻れ」


「…あなたは話が分かる貴重な人ですね。ありがとうございました」




さっきまで軽口を叩いていたときの表情から一変、仏頂面になってそう答えた。職員は、これ以上何も言うこと無く賞金が入った袋を渡した。袋を受け取り、空の台車を再び引っ張っていき、ギルドを後にした




「………はあっ…!なんださっきの真顔は!…心臓にわりい…」


「刺激しちゃダメって言ってたじゃん?聞いた話では、『死還者』はこっちから手荒なことをしなければ良いって話らしいじゃん?」


「そうだが…何がきっかけだ?あの表情」


「さあね。藪を突かなきゃ蛇は出てこないらしいじゃん?それにしてもこの盗賊の傷跡が妙じゃんこれ。剣で斬られたみたいだが、服が斬れてないじゃん?」


「分からん、ヤツの考えなど。この間持ってきたのは首を縄で絞殺された死体だった。その前は頭を矢で射抜かれていて、さらにその前は全身火傷のものだった」


「死因がバリエーションに富んでるじゃん?当の本人は、悪いけど殺しなんて出来そうに無い性格と肉体じゃん」


「だから得体が知れないんだ。あいつ、自分の事を話そうとしねえ…」




応対した職員は、平静を保っていたが語呂之介が見えなくなってからドッと冷や汗を流した。もう一人の口調の軽い男と、語呂之介について喋る。何度か訪れてきた語呂之介の詳細は、不明瞭なことが多い。王国の人間が調べた事や、偶然戦闘を見かけた様子からしか語呂之介の中身が分からないと来ている。本人もあまり喋らないらしく、今日も情報の収穫は得られず、妙に不自然な死体を残しただけだった。




「銀貨690枚が良かったなあ。蠱惑的な数字は素晴らしいねえ」




疑惑を残した当の本人は、屋台が並ぶ通りを歩きお目当てのケバブを探していた。飲食店に入ろうにも、ほとんどの店の者はよそよそしくしい。出て行ってほしくても、出て行けとも言えない。さっと買える場所の方が都合が良い。その後を、後ろから付いてきている者がいた




「さあて『死還者』、早く国から出ろ」


「その時にはお前の最期だ」


「どれだけ腕が立つか、見せてもらおうか」




目つきの鋭い3人の男達が、舌なめずりをしていた。それぞれ、物騒な得物を背負って語呂之介の全てを奪おうとしていた


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